- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334035013
作品紹介・あらすじ
「野放し」と「厳罰化」のあいだ-。なぜ「心神喪失」犯罪者たちは、すぐに社会に戻れるのか。なぜ刑務所は、精神障害者であふれるようになったのか。
感想・レビュー・書評
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精神障害者の犯罪に関する基本的なテキスト。著者のスタンスは精神医療に関する誤解を解き、まっとうな精神科医の立場を正しさを主張しようというもの。ただ、ちょっと論証が雑という印象。例えば記憶回復療法なんかはサイコロジストによる間違ったアプローチだみたいに書いている。行きすぎた記憶回復療法が間違ったアプローチというのはやぶさかじゃないけど、ちょっとぐぐってみれば記憶回復療法で訴えられている精神科医なんかいくらでもいるみたいですけど・・・ Law & Psychiatry: Third-Party Suits A
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触法精神障がい者に対する処遇の「現実」なのだろう。だけど、あれこれと批判しているばかりで善後策というものが見つからない。
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精神障害者の処遇の歴史から、現在における39条運用の問題点まで。そもそも明らかに責任能力がなさそうな被疑者(知的障害者、認知症の高齢者等)であっても、精神鑑定が行われるのは例外的なケースであるという記述が衝撃的だった。無責任能力者が健常者として扱われた結果刑務所が劣悪な収容所状態となるのは明らかにシステム上の欠陥である。医療観察法不処遇者の対応とともに早急な改善が必要だ。
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精神疾患者の家族を持つ者として、気になる分野であったので読んでみた。世界と日本の歴史を経て、精神衛生法から精神保健法、精神保健福祉法、その他の制度への推移。歴史的経緯や制度を学ぶのにとても良い本だと思う。(個人的には第五章から急に面白さが増し、後半は一気読みだった)明確な答えがある問題ではないだけにとても考えさせられる。
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なにげなしに読んでみた本だったが、非常に考えさせられる本だった。
この本を読むまでは私は触法精神障害者によって、被害を受けた被害者側の立場にたって物事を考えがちだった。もし自分や自分の家族が、何か事件に巻き込まれたとき、その加害者が心神喪失や心神耗弱を理由に、刑罰を減免されたら…
とても理不尽に感じると思う。そんなのおかしいと思うかもしれない。それはそれで咎められることではないと思う。
ただ、この本を読んだことで、(触法)精神障害者の人たちもまた、病と闘う人たちなのだという視点を得ることができた気がする。もしかしたら私だって、精神障害を抱え得るという可能性に気づく。そうしたとき、とても苦しい気持ちになるだろうと想像する。
この本によって過去に、そして現在に触法精神障害者がどういう扱いを受けているのかを、知ることができた。
難しくはあるけれど、被害者と、加害者と、どちらの立場もが大事にされるのが理想なのだろうと思う。
最後に述べられていた、社会には精神障害者の居場所がないということはやっぱり考えさせられずにはいられない。 -
社会
思索 -
仕事で必要に迫られて読む。
精神障害者に関する歴史、法律や法律の考え方が整理されており、精神保健福祉法や医療観察法を理解する入門書としてとても役に立った。
著者の考えが保安処分を許容する傾向にあることは少しきになるが、精神科医と弁護士との考え方の違いは否めない。
また、歴史や制度の説明が主題なので、自分や家族に精神障害が認められた場合や被害者になってしまった場合にどうすべきか、将来制度をどう改善すべきかについてまでには議論が及んでない。
他方で、現在の(出版当時の)精神医学の水準についての説明(多少抽象的ではあるが)や具体的事例における精神鑑定結果の批判的検討が分かりやすく参考になる。
最新の統計や事例がアップデートされたら改訂版も買って読みたい。 -
精神障害者には罰を下さず治療を優先。
罪に問わず強制入院させるのであれば、実刑判決したあとに治療に専念すればいいのでは? -
精神障害者についての基本的な事項が整理されていて、とても分かりやすい本です。精神障害者問題についての歴史的経緯を概観することができます。歴史的経緯を知らないと、今起きている問題をきちんと理解することはできないと思いました。
精神障害者問題は古くからあって、今なお解決策が見出されていない問題。触法精神障害者は、犯罪の加害者であると同時に病に苦しむ人でもあるという言葉が印象に残りました。社会にとって、本人にとって、一番いい方法は何なのでしょうか。少なくとも、今の時代において検討されるべきは、司法と医療が、協力してこの問題に取り組むことなのかなと考えました。 -
とても興味深い内容だった。