- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334035365
作品紹介・あらすじ
二〇〇五年、東京の谷中・根津・千駄木、通称「谷根千」と呼ばれるエリアで「不忍ブックストリートの一箱古本市」がスタートした。「一箱古本市」とは、その地域に点在する店の軒先を借り、その前で一人が一箱の古本を販売するという、誰もが自由に参加できるイベントである。一箱古本市を含む全国のブックイベントで、「本と遊ぶ」感性をもつ「能動的な読者」の現在を報告しながら、本との新しい付き合い方を考える。
感想・レビュー・書評
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不忍ブックストリートの一箱古本市を初めとした、各地のブックイベントやブックカフェ、フリーペーパー等の取り組みが紹介されている。
都会は良いなぁ。
人の少ない田舎でも田舎なりのことが出来るのかもしれないけれど、やはり人や本の集まる都会ならではのイベントという感じ。
巻末のブックイベント年表に四国がない・・・あぁ・・。
フリーマーケットで本を売ったことはあります。
結構いい感触でした。特に絵本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古書店や古書まつりを訪れる機会がめっきり減ってしまったが、この本を読んで、またふらふらと出かけてみたくなった。春の風に乗って、糸の切れた凧のように!
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新刊時に購入して読んだ本を古本に売り、今回は図書館で借りた。遅ればせながら、一箱古本市に興味を持ったため。経験してみたい。
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本以外の分野でも参考になりそう
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JPN162+配送料JPN257
初期には集中レジ方式なんてのもあったのか(びっくり)。
各地の運営の手法を読んで、もっとなにか自分たちもできるのではないかと考えたりもする。 -
前半は、何舵楼さんがやってきた「一箱古本市」について。
後半は、各地で本をキーワードに町づくりや町おこし、コミュニティーを作っている人や団体の話。
一箱古本市に出店する人の参考書にもなるし、本を使って何かを興したい、という人にもイメージづくりやアイデアの参考になると思う。
出版からしばらく経ってはいるけど、本にまつわるイベントについて、全国の話が一冊に詳しくまとまっている本はあまりないと思うし、また、そのイベントに関わっていた人たちが出してる本のことも知れて、そういうことがやりたい人には読んでみて欲しい本です。 -
本でいろんなことができるのだなぁ。
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よくお便りをくださる「ブックマーク」読者のIさんより、"メッチャおもろいです"と伺って、読んでいなかった本を借りてくる。もう5年余り前に出た本だということに、読み終わって気づく。
著者も関わって、東京の通称"谷根千"エリアで、「不忍[しのばず]ブックストリートの一箱古本市」が始まったのが2005年の4月(もう10年前だ)。このエリアに住み始めて10年ほど経っていた著者と、その妻(『捨てる女』や『世界屠畜紀行』、その他の著書のある内澤旬子さん)との「この辺りで古本市ができたら、面白いね」「お寺の境内を借りられたら、かなりたくさん本が並べられるなあ」(p.18)という会話が、そもそもの発端だったという。
内澤さんの「べつに一カ所に集めなくても、いろんな場所に少しずつ出したらいいんじゃない?」(p.19)とう発想から、イメージが立ち上がる。
▼お店の軒先を借りて、七、八カ所で開催する。スペースが限られているので、出店者が出せるのは一人一箱とする。量が限られているので、プロよりもシロウトの本好きを中心に集める…。当然、イベント名は「一箱古本市」だ!(p.19)
ご近所の本屋や古本屋の店主に谷根千工房のスタッフを交えたメンバーでの忘年会で、この一箱古本市の思いつきを披露し、そこから実行委員会をつくって、実現に向かってどう動いていったか…という経緯が「第一部 不忍ブックストリートができるまで」で綴られている。
ゆるくてやたら時間のかかる会議(それは「楽しく気持ちのよい会議」でもあったそうだ)、内澤さんがイラストを描いた「不忍ブックストリートMAP」(無料)の作成、掲載した店舗を中心に地図配り、一箱古本市の店主さん募集、そして当日の運営、運営になくてはならない助っ人のこと、今後の課題、等々。
この本を書くまでに5年やった活動をふまえて、著者はこう書いている。
▼…この先、「不忍ブックストリート」をどんなカタチにしていくのかについても考えなければならない。…(略)…活動自体が収益につながらなくても、その活動に関わった人たちが何らかの利益を得て、やる気を維持できるようなしくみをつくることはできないだろうか。…(略)…
まだまだ手探りの状況だが、一箱古本市や地図によって生まれた、「本」を媒介としたコミュニケーションがこの地域全体に広まり、店と店、人と人がつながっていく。その結果、この地域が名実ともに「ブックストリート」になる日が来ればいい、とぼくは思う。(pp.70-71)
この本の大部分を占める第二部は「日本全国「ブックイベント」ガイド」で、福岡の"BOOKUOKA(ブックオカ)"、名古屋の"BOOKMARK(ブックマーク) NAGOYA"、仙台の"Book!Book!Sendai"、東京(早稲田・目白・雑司ヶ谷)のエリア名の頭文字をつなげた"わめぞ"、東京の中央線沿線でおこなわれているあれこれ、米子の一箱古本市、広島の"空中一箱古本市"、長野(追分・小布施)の靴をぬいであがる古本屋や図書館まちとしょテラソでの一箱古本市、長野(高遠)での"本の町"のこころみ、関西のブックカフェのいくつか、個人などが出すフリーペーパーのこと…。
フリー(タダ)ではないけど「ブックマーク」という本ネタのミニコミをやってる私は、どれも興味ぶかく読んだ。本のイベントには行ったことがなくても、"Book!Book!Sendai"のことが載った紙モノはいくつか入手して読んだし、米子の今井書店にも行ったことがあるし、昔住んでいたことのある広島は多少の土地勘もあるし、紹介されている関西のブックカフェには行ったこともある。
そして第三部「書とともに街に出よう」では、自身の経験と上の世代とを比べて、本の読み方や本とのつきあい方が変わってきたのではないかと推測し、とりわけ現在は「読んだ本を身のうちに取り込むだけにとどまらず、そこで得たものについて多くの人と話し合ったり、情報として提供したりしている」(p.289)"能動的な読者"、つまり「読んだり、買ったりするだけでなく、本と遊んでいる」(p.289)人たちの声が聞こえてくるようになった、と書く。そんな人たちが、ブックイベントに集まっているのではないか、本をめぐる状況をもっと面白くしたいと考えているのではないかというのだ。
もしかすると、そういう中から、想像しなかったようなカタチで、本に関する新しい動きをはじめる人が出てくるかも…と夢想して本文は終わる。
「おわりに」の中で、「ブックイベントの「儲からないことの楽しさ、美しさ」を強調する文章をブログで書いたために、怒った妻が家出するという事件も起こった」(p.302)というところに、個人的にはかなり笑った。
この本を読んでたら、私も「一箱」もって、古本市に出してみたいなーと思いもした。一箱に詰めて売りにいくとしたら?と、本棚から抜く本を考えもしたのだ。
(2/11了)