- Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534273
作品紹介・あらすじ
1979‐2010。未収録の作品、未発表の文章を村上春樹がセレクトした69篇。
感想・レビュー・書評
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この本は本屋さんで見かけて装丁と手触りが大変に気に入って即買いした。
でも、「イッキに読んでしまいたくない」と思い、読む本が切れたときのつなぎに読んだり、トイレで長期戦に挑むとき(失礼)とかに、チビチビと少しずつ読んでいた。しかし、ハルキ氏の文章は極めておもしろく、そんな風にゆっくり読んだにもかかわらず、あっと言う間に読み進み、残り50ページくらいになって「ああ!もう読み終わってしまう!」と気づいてそのまま読むのをやめて、そして・・・要するに忘れていた。
先日、引っ越しをしていたらこの本が出てきて、「そっか、全部読んでなかったんだ」と気づいて続きを読み始めた。そして途中で「最初の方ってどんなこと書かれてたんだっけ」と少し戻ったら、いろいろおもしろくて、どんどん前まで遡っていき、結局最初から全部読んだ。
ああ、おもしろかった。
村上春樹さんは不本意だろうけど、私は小説よりだんぜんエッセイの方が好きです。もう何を読んでもおもしろいと思ってしまう。
(あ、でも「夜のくもざる」に入れる予定で書いてボツにした、という文章は驚くほどしょーもなくて驚愕した。村上春樹をしても、つまんない文章書くことあるんだと笑った。あれはボツにして正解かと)
どの文も全部印象的だったけれど(上記のくもざるは除く)、新人賞と初期のころに受賞したときの言葉がけっこうツッパっていて、ちょっと新鮮だった。そんなにあからさまにツッパるタイプの人じゃないと思ってたけどけっこうあからさまで。
そして、「どんな小説を書きたいか」ということについて、私が知らなかっただけで、わりときちんと丁寧に語っていたんだなぁ、と驚いた。しかも定期的に。けっこう細かく。
そこで語られていることは、小説を通して確実に読者に届いている、と思ったけど。どうかしら。
昔、友達がうちに泊まりに来たときに、しゃべりながら夫のワイシャツにアイロンをかけていたら、途中でその友達が驚愕したような表情を浮かべて、「ちょっと! あなたのアイロンのかけ方って、村上春樹みたい! すごい!!! 手際がよくてすごく上手!」と大絶賛された。
ええ? 村上春樹のアイロンのかけ方? 芝生の刈り方とかシャツの洗い方は書いてたような気がするけど、アイロンのかけ方とかあったっけ?とめんくらったのを覚えているけど、この本に収録されていた。ビックリ。久しぶりに褒められたことを思い出した。
アイロンかけは中学の時、母が手術することになってその前に父のワイシャツのために母から仕込まれた。村上春樹さんと違って、ソウルミュージックではなくていつも海外ドラマを見ながらかけてますけどね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エルサレム賞における有名な「壁と卵」のスピーチ。
こういう腹の底から出た訴えは聞いていて「なんかすごい貴重なものに触れている」感があるな。
非武装市民を殺害したイスラエル政府を非難するときに、人を殺さなければ進展しない物事があるこのシステムから抜け出せ、というようなことを言っていてとても良かった。戦争を起こしているのは個人の決定の連鎖なんだよな。その歯車が回り出す前に、当事者達が「この機構はおかしくないですか!」と言わなければならない。 -
半年くらいかけて、読み物のつなぎにちょくちょく読んだ。とくに音楽と小説にまつわる文章が興味深い。
カフェで借りた本。 -
自己とは何か あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方 の考え方が心に残る。できれば誰かにこのことを話してみたいとさえ思う。滅多にないことだけど。なんだっていいんだ。なんだっていいということがいちばん大切なのだーー。
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「本というのは僕らの内なる凍った海に対する斧でなくてはならない」とはカフカの言葉であり、村上氏の考える本の定義。
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村上春樹が色々なところで書いた文章が雑多に詰まっている、まさに雑文集。
やっぱり、文章を書くのが上手な人だなって思う。自分が興味のない事柄について書いていても、おもしろく読めてしまうのだから。
例えば目玉焼きについてでも、戦争についてでも、きっとすらすらと上手に語ってくれるだろうと思ってしまうのは、きっと彼自身が、自分が何を語れて何を語れないかをよくわかっているからこそなんだと思う。
(そういえばデビュー作の「風の歌を聴け」にはこんな文章があった。「しかし、それでもやはり何かを書くという段になると、いつも絶望的な気分に襲われることになった。僕に書くことのできる領域はあまりにも限られたものだったからだ。例えば象について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない。」) -
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「エルサレム賞受賞の挨拶が読みたくて」
この「雑文集」は文庫化待ちで未読。
受賞を受けると聞いた時には軽く失望して、ネット上でスピーチを読ん...「エルサレム賞受賞の挨拶が読みたくて」
この「雑文集」は文庫化待ちで未読。
受賞を受けると聞いた時には軽く失望して、ネット上でスピーチを読んだ時はウルウルし、それでもビクともしないイスラエルに恐怖。。。
しかし、震災に医療チームを派遣して下さったコトに感謝しつつ複雑な心境。。。2013/03/26 -
私は図書館で借りました。
国と国の問題は難しいですね。
どの国にも、良い人もいれば悪い人もいる…。
そうそう、村上氏からどなたかへの結婚...私は図書館で借りました。
国と国の問題は難しいですね。
どの国にも、良い人もいれば悪い人もいる…。
そうそう、村上氏からどなたかへの結婚のお祝いメッセージが載っているのですけど(詳細は忘れました)、その文章を拝借し、友達の結婚式に電報を送ったらとても喜んでもらえました。
もちろん村上氏の文章であることを添えて。2013/04/03
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僕は村上春樹にはずいぶんとシンパシーを抱いている。彼の小説が好きなのはもちろん、村上ファンである内田樹さんファンでもあり、ジャズが好きでもあり、チャンドラーファンで、フィッツジェラルドファンで、日本の文壇はあまり好きではなく、孤独が好きで、翻訳が好きで、文章をゴリゴリ書くのが好きで、早起き。システムが嫌い。
アイロンがけが好きとか、カズオ・イシグロに対する言及とかは、この「雑文集」を読んで初めて知った。ノルウェーの森のタイトルとかも興味深く読んだ。壁と卵ももちろん深くうなずきながらよんだ。対談も面白かった。青山にまた行きたくなるくらいに。
今は、小説と小説の農閑期みたいだから、このような軽めの本を出したのだそうだ。ということは、また新しい小説が読めるということ。楽しみじゃ。 -
タイトルのとおり、短い文章がとにかくごちゃっと詰め込まれている感じ。内容に一貫性はない。僕自身はまあまあ楽しめたけど、これはおそらく「村上春樹という人物のファン」しか楽しめないのではないかなと思った。また、ジャズ関係の話が多かったので(まったくわからないので丸々飛ばした)わかる方ならもっと楽しめるのかも。
ただ、例のエルサレム賞の受賞スピーチが全文収録されているところはとても良いと思った。未読の方はどうぞ。 -
村上春樹さんの考えていることや世の中や出来事への見方がまた少しわかって親しみが強くなった。
自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)、安西水丸さんの話、結婚はいいときにはとてもいいという挨拶なんかはすごくおもしろかった。
ジャズを理解しているかの話は奥深かった。
アンダーグランドをめぐってでは、漂っていた時代の空気を記してもらったし、(1995年は、自分が小学生6年生になる年)、オウム真理教よりも被害者に寄り添ったインタビューの話などが書かれていた。
海辺のカフカなどについて、書かれた背景のようなものがわかって、より強く興味を惹かれて、またその物語を思い出したり、読んでみたくなったりした。