<オールカラー版>欲望の美術史 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037451

感想・レビュー・書評

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  • 902

  • 美術分野に疎い私でも、美術の大枠の歴史を『欲望』という視点で追っていく点は大変分かりやすかった。人間が考える、本能・欲求が絵画に垣間見れるという面白さに気づける。
    その一方で、美術作品のメジャーなところではない、筆者個人の趣味による美術作品も多く出てくるので、自分の知らない美術作品の教養を得るにはいいかもしれません。
    有名どころの作品をたくさん見たい方には物足りなさが残る本かもしれません。

  • 欲望はやはりあります。だから、死の間際の人間に金貨を渡して欲望を煽る悪魔の絵が恐ろしい。

  • 欲望の美術史という題名だが、作者が興味ある美術テーマにエッセイを書いたような形の為、美術史ではない。
    欲望に関しても最初の一章だけと感じる為、少々肩透かしではあったがそれを補うだけの作者の知識に裏打ちされた
    面白いテーマが紹介されている。
    特に日本の刺青やスペインのとんでもない修復の事件など、幅広く取り上げており、美術にさほど興味がなくても楽しめるのがよい。カラヴァッジョの本を多数執筆されている方なので、他の著書もぜひ読みたいと思う。

  • 人間の歴史の中で美術が何を表してきたのか、シンプルにまとめてある。分かりやすい言葉で書かれており、美術に詳しくない人でも読みやすい。
    美術品が製作された時代背景や環境をふまえると、同じ作品でも受け止め方が変わることに気づかされた。現代の価値観のみで美術を鑑賞するのではなく、美術品をとりまく環境にも目を向けて、包括的に美術を楽しみたいと感じさせられた。

  • 美術

  • 民衆・大衆芸術にも焦点が当てられ勉強になりよかった。

  • 他の著作同様、美術史についてのなるほどな見方が多く紹介されているが、他の著作と比べるとコラムだからか情報量は抑えめ。しかし読んでいて楽しい一冊。

  • 素晴らしい芸術家たちも様々な欲望を抱えていたことや、美術館などではお目にかからないような風習などについても触れており、着眼点が面白かった。
    芸術をもっと身近に感じてもいいと思える。

  • 著者の好みらしいですが、普段取り上げられることの少ないジャンルもエピソードに載せられていて、より幅が広がった気がします。

  • あっても なくても
    とりあえず その日を暮らしていくことには
    困らない
    それでも やはり
    あった方が良い

    すてきな「図書館」がある町は
    いい町です
    もう一つ、
    すてきな「美術館」があると
    もっと いい町です

    あらためて
    「絵画」はおもしろいものだなぁ
    と 気付かせてもらえる一冊です

  • 読みやすかったしおもしろかった。
    でも、こうやって簡単に手に入れた知識はきっとすぐ忘れていく。
    苦労して手に入れたものじゃないと、私は大切にできないたちです

  • 一風変わった芸術論。

  • 西洋絵画を中心に様々な話題を集めた本。
    産経新聞の連載を加筆修正、新たな図版、書き下ろしを加えたものということ。

    少ないページ数で二十八もの話題をわかりやすくかつ豊富な知識で面白く示してくれているのですが、通底するテーマとして「人が根源的に欲するもの」がとりあげられていて、項目によっては下世話ともとられそうなことまですっきりと嫌味なく解説してくれ、興味深く読みました。
    文中の絵もきちんとカラー図版で示されていてストレスなく読めました。( マネの 'オランピア'は同じ絵を二つ掲載している。同ページの図版との比較のためか、ページをめくるのが面倒かも、という配慮か。)


    以下自分用に内容をまとめ。

    01.「モチーフ」: 食べること。
    02.「画家」: 男女関係。その影響下の作品。
    03.「画家」: 画家の金銭意識。
    04.「顧客」: 富、権力、趣味、教養の固持。
    05.「モチーフ」: 女性の裸。
    06.「場所」「モチーフ」: 女性裸体画の日本での影響と、受け入れられ方。
    07.「モチーフ」: 風景。愛国心、郷土愛。

    08.「作品」: 絵の空白のこと。
    09.「作品」: 絵の要素の排除のこと。意味、想像力、象徴。
    10.「場所」: 作品と周囲の空間との関係性。
    11.「作品」: バロック。その空間の影響。
    12.「作品」: 写実のこと。
    13.「モチーフ」: 治癒。
    14.「モチーフ」: 鎮魂。

    15.「モチーフ」: 自画像。
    16.「作品」: 入れ墨。
    17.「モチーフ」: 集団肖像画。
    18.「顧客」「モチーフ」: 権力者のイメージ戦略。
    19.「モチーフ」: 歴史画。風刺画。
    20.「画家」「作品」: アール・ブリュット。制作姿勢。内的な必然性。
    21.「画家」: 同時代者、先駆者の影響。

    22.「モチーフ」: 聖母像。
    23.「作品」: 前衛主義。
    24.「状況」「モチーフ」: 戦争、プロパガンダ、戦時の緊張感。
    25.「画家」「作品」: 弘瀬金蔵。時代、土地の状況。西洋の美術概念輸入による日本の民衆的な芸術の排除。
    26.「顧客」「作品」: 名画の権威。
    27.「作品」: 作品という存在について。
    28.「モチーフ」: 死。

  • 個人的には中盤以降が興味深く発見があった。はじめのほうで読むのを断念しなくて本当によかった本。人の欲望とからめた幅広い芸術作品の紹介は、教養を学ぶためのみにとどまらず、人とはなにか、なぜ人はこういった営みをなすのか、筆者の当たり前のことを深く読み込む能力には感銘を受ける。

  • 人間の持つ「欲望」を表現した美術作品が紹介されていく。食欲、金銭欲、性欲、権勢欲…などにとどまらず、もっと根源的な、いかに表現するかとか、最期をいかに安らかに逝くかといった欲求まで、取り扱う「欲望」はじつに幅広い。

    元は新聞の連載だったというだけあって、項目ごとに簡潔にまとめられていて、読みやすかった。その分、もうちょっと深く知りたいな、と思う部分もあったが、その場合はもっと専門的な本に進むべきなのだろう。

  • 芸術作品と、芸術家についてのゴシップ的な小ネタ・エッセイ集。
    この中の話をするのは、美術館ではタブーかも。
    芸術家へのイメージを壊すことになるかもしれません。
    私は30分ぐらいで読み終わりました。
    気晴らしになる気軽な読み物。

  • 産経新聞の夕刊に連載されていた(2011年5月~)コラムを加筆修正し、書下ろしを加えたもの、とのこと。

    1つ1つの話が短いので、どこから読んでも大丈夫。ものすごい「修復」で有名になったフレスコジーザスの一件など、新しい話題もあり。

  • 20140130

  • 美術館はたまに行くけど、「ふーん、キレイやな~」で終了する気の毒なわたくしに、色んな切り口で美術を紹介してくれる素敵本。

    風景画には国威発揚の意味が込められてるものがあったりとか(俺たちの国土!)、捨てた愛人が赤ん坊連れで殴りこんできた修羅場が一部モチーフになってるピカソのゲルニカとか、トリビアな話題てんこ盛りで、お好きな人にはぜひオススメ。

    病気の治癒を神に感謝するために奉納された"エクス・ヴォト"、早世した子供の来世での幸せを祈る"ムカサリ絵馬"など、全然知らんかったジャンルも紹介されてて、エエ勉強になりました(-_-)

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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