昆虫はすごい (光文社新書)

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  • 光文社
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感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038137

感想・レビュー・書評

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  • 大人になってからは虫は触るのも嫌で、巻頭カラーの昆虫の写真にも気味悪さを感じたが、読み終わった頃にはすっかり興味の対象になっていた。様々な昆虫の多様な生態が紹介されていて、貞操帯や自爆など、驚くようなトピックもあり、全く退屈しない。同じくらい感心したのは、それらを調べ上げたヒトの仕事ぶり。これほどの研究成果を手軽に新書で読めるのはお得感がある。昆虫のすごさを説きつつも、あくまで研究者らしい落ち着いた筆致で、昆虫礼賛本でなかった点も良かった。

  • 多種多様な昆虫を広く浅く紹介している。知らないことばかりで面白かったけど、もっと深く書いてほしい!と思うところも多かった。

    人間の行動に喩えられている部分がたくさんあったけど、「恋する」の部分は一番人間に置き換えたらあかんやつだった。
    他より高い能力のある個体だけが子孫を残せるということだけれど、これからの時代人間も一緒だよね…性淘汰される一方だよね…あらゆる能力が高い人間ばかりが結婚できて売れ残りは一生独身で死んでいくだけ…
    そんなことを思って大変悲しくなりました。

  • 人間なんかよりも遥かに数が多く種類も豊富な昆虫たち。
    我々が普段目にする昆虫はほんの一部にすぎず、その多様性のほとんどを知らずに過ごしている。

    本書では昆虫の様々な特徴について、広い範囲で紹介している。
    昆虫好きにも昆虫を知らない人にもおすすめの一冊。

  • 読み進める中で、誰かに話したくなる本
    ただ、興味のない人には若干引かれるかも…

  • 虫の行動を見てたら人間にも共通するところがある、人間もまだまだ進化の過程なのかしら

  • むしがいっぱい!(当たり前)
    むしの特徴として、狩り、擬態、生殖、繁殖、機能と形、奴隷制、共生(寄生)など、巻頭カラーだけでもおもしろいと思った。
    でもむし嫌いな人は要注意!(当たり前)

    面白いと思ったところをメモメモ。

    p18 昆虫の体は「頭部」「胸部」「腹部」の三つに分けることができる。「頭部」は摂食、「胸部」は移動、「腹部」は生命維持の機能と主な役割がはっきり分かれている。

    p25 蛹は「体の構造の改造工場」!
     姿かたちが異なるだけでなく、性質形状まったく違う生物に成長するというのは興味深い。まさに“生まれ変わったよう”な変化なんだろうけど、だけれど必然のことだということはなんか人間も同じことが言えないかな。
     昆虫によっては成虫は一切餌を食べずに繁殖のみを終えて死ぬというのもおもしろい。
     「完全変態昆虫の生活史を要約すると幼虫は餌を食べて大きくなるための期間、蛹は大きく変身するための期間、成虫は繁殖するための期間である」

    p73 「男の甲斐性」
     贈り物にも意味がある、という話。雄が雌に儀礼的であれ贈り物を贈るということは、その贈り物を獲得できる能力や体力を示しているとのこと。雌は雄に生活能力「甲斐性」を求める一方、雄は雌に若さや腰のくびれなど生殖に関わるさまざまなものを求めている。
     「配偶者が篩にかけられることを「性選択」「性淘汰」という」

    p173 奴隷狩り サムライアリはクロヤマアリを襲う。幼虫や蛹を奪い、奴隷として使役するためらしい。それに特化した機能を持っているというところが凄い。生粋の略奪者だ。

    p181 自己家畜化
     オンブアリやヤドリアリなどは完全に寄主(よりぬし?)に依存するらしい。「永続的社会寄生種」という。そのようなアリは他のアリが持っているさまざまな重要な機能を失っている。
     「特筆すべきは脳などの中枢神経の退化である。つまり寄生に特化さえしていれば、頭を使わなくていいのである」 
     これは凄く興味がある話だ。p222でカイコの例があるけれど、カイコは「昆虫で唯一の完全な家畜昆虫で、イモムシである幼虫は、餌を探して歩き回ることもせず、成虫も飛ぶことができない。このような性質から、野外で生きることは不可能といわれている」とある。

    総じて昆虫は合理的で、それぞれの環境に適応しながら体を進化させているのだなと思った。
    進化、というかある面を特化させるという感じかな。それによって、他の機能が削られたり衰えたりするというところがとてもおもしろい。
    遺伝子的な変化・進化で言えば、生殖や配合が人間よりもずっと短期間で行われ、かつ数も桁違いだろうから、そのスピードたるや推してはかるべし、だなあ。

  • 虫全般を、手広くすごい!と思うのに丁度いい、
    もっと、一種に限定して知りたくなったかも。

  • タイトル通りだ。
    昆虫はすごい。
    百花的に紹介してる内容であるが、所々社会性などの言葉に触れて説明している。
    生き延びるための戦略がこんなに多様な生態を生むのか。まさに驚異的。

    しかし、口絵のカラー写真だけでなく、当然中にも昆虫の写真いっぱいなので、苦手な人は手にとっちゃいかんな。

  • 売れているらしいという理由「だけ」で手に取るのは、私にしては珍しい。
    本来は興味がないどころかむしろ苦手なジャンルの本をとにかく1冊読みきった感想は、「良くも悪くもタイトルどおり」。

    知られざる昆虫の生態、これは本当に驚異的。いくら感嘆の言葉を連ねても足りない。自然の神秘に打たれた。
    カラー口絵も美しく…と言いたいところだが、これがモロに「虫」なので(1枚だけでしかも脇役だが、Gまで…!)、ダメな人には本当にダメだと思われる。昆虫を美しく撮った写真集はギリOKだった私もダメだった…。自覚のある方は要注意です。
    そして何より残念ながら、著者の筆致が鼻につく。この手のマイナー分野の火付け役がたいていそうであるように、虫が好きで好きでしかたないようではあるが、この方は虫に負けず劣らず、ご自分をも好きらしい。行間から妙に自己主張が臭うというか、「愛すべき変人」に不可欠な、あの無邪気さ・朴訥さがないのだ。虫の生殖のほとんどがレイプであることをさらりと無批判に書きながら、オスが抱卵するタガメで、メスがオスに卵を捨てさせたのちセックスし、自分の卵を孵化させる種について「オスが気の毒」と述べるとか、「男ばかりの昆虫学の世界にも女の人が増えてきた」とか、良識を疑うような記述もある。

    確かに面白いし、これは売れるだろうが、それって「昆虫がすごい」だけだよね…なーんて。
    星はそのすごい虫たちに免じて、1つオマケ☆

    2015/3/20〜3/21読了

  • 背中に寒いのを走らせながら読みました。
    昆虫は苦手ですが、昆虫社会の、もっと大きく言うと地球世界の仕組みを垣間見知ることができたのでは〜、と思っています。上手くできているんだなと…。
    そんな目線で「寄生獣」を見ているとちょっともの悲しく思えてきたりして…。

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著者プロフィール

1972年 静岡県藤枝市に生まれる

「2006年 『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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