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感想・レビュー・書評
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とても面白い本でした。確かに昆虫は種類も数も多すぎて、知らないことばかり。多分ここに書いてあることは今まで分かったことの中のほんの少しなのでしょうが、次から次へと想像を上回る先進的な生態で本当にすごいと思いました。途中の蟻の話が続くところは頭の中がボーっとしてしまいそうでした。子どもの頃はバッタや蝶々、カマキリ、カブトムシ、クワガタ‥たくさんの虫を平気で捕まえられたのに、今は触るのもおっかなびっくり。どうしてなのでしょう?
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2015年新書大賞7位にランキングされた昆虫の本です。
地球に生息するアリ種の総重量は脊椎動物の総重量を上回り、百万種を超える昆虫の数は全生物の半分以上であるなど「数」だけの話となれば、地球の支配者は「虫」だという結論になる。地球に頻繁に現れ先ごろNASAもその存在を認めたUFOなどは、もしかしたら人間ではなく昆虫に対してメッセージを送っていた・・なんてこともありえるのかも。
そんな楽しい妄想も広がる一方、昆虫の生態については未だにわからないことの方が多いという事実に今更ながら気付く。例えば、実用的とはいいがたい奇抜な形態をしているツノゼミ、ヤマアリの蟻塚の快適さの秘密、敵の危険から仲間を救うため自爆するバクダンオオアリの生態、サムライアリがクロヤマアリを奴隷化する仕組みなど今後の一層の研究が待たれる。中でも社会性昆虫のアリやハチなど人間世界の縮図を見せられるようで身につまされる。
本書の良いところは、写真がふんだんに使われていることですが、一部見ずらいものもあったので、その辺の手直しをして続編を出してほしい。筆者は1974年生まれなので、これからまだまだ活躍してほしい研究者筆頭です。 -
本気で読む気はないがどんな本か見るために図書館で借りてきた。
面白かったら買おう、というくらいの軽い気持ちである。
さっと読んでみた感想としては、「かなり面白い」。
というのも出てくる昆虫がなかなかに異常なのだ。
異常というのは人間とかけ離れていること。
メスのお腹(別に穴が開いているわけでもなんでもない)に陰茎をぶっ刺し、静液を送りこめば交尾完了という虫がいるらしい。
人間に置き換えれば、へそ出しの服を着ている姉ちゃんはかなり危ないということになる。
また精子と卵子の出来にくさが原因で、一般の動物においてはオスがメスを取り合う構造になるのだが、これが逆転している昆虫がいるというのだ。
なんという羨ましい話。
こちらがじっとしているだけでメスが自分を奪い合うのだ。
読書においては自分とはかけ離れた存在について知ることも大きな楽しみの一つである。
特に他の生物について知ることは、我々人間を客観視することに繋がる。
「普通と異常」について考えさせられる。
正直全体としては雑学の羅列という感じになっており、深掘りされている部分は少ない印象をうける。
しかし今まであまり興味のなかった昆虫に興味を持つという意味では最高の入門書であると言える。
ただこの本を読んで何か自分の中で大きく感じるものはないだろう、という点で星4とした。
あくまでポップで裾野の広い、良い入門書である。
購入候補に追加だ。
P.S. ゴキブリの写真なども出てくるので苦手な人は苦手だろう。しかしゴキブリなんて生で凝視することなんてないんだから、怖いもの見たさに写真で凝視するのも悪くはない。 -
養老孟司氏推薦! ! 「気鋭の若手昆虫学者が紹介する虫の世界の面白さ。 虫はなんでもやってます」
恋愛、戦争、奴隷、共生…小さな生物の生存戦略
地球上で最も多種多様な生き物たちの生態に迫る
私たち人間がやっている行動や、築いてきた社会・文明によって生じた物事 は、ほとんど昆虫が先にやっている。狩猟採集、農業、牧畜、建築、そして 戦争から奴隷制、共生まで、彼らはあらゆることを先取りしてきた。特に面白いのは 繁殖行動。相手と出会うためあの手この手を使い、贈り物、同性愛、貞操帯、 子殺し、クローン増殖と何でもアリだ。どうしても下に見がちな私たち の思考を覆す、小さな生物のあっぱれな生き方を気鋭の研究者が大公開!
丸山宗利(まるやまむねとし)
一九七四年生まれ。博士(農学)。九州大学総合研究博物館助教。北海道大学大学院農学 研究科博士課程を卒業。国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)研究員を経 て、二〇〇八年より現職。アリやシロアリと共生する昆虫の多様性解明が専門であり、ア ジアではその第一人者である。毎年精力的に国内外での昆虫調査を実施し、数々の新種を 発見、多数の論文として発表している。著書に『ツノゼミ ありえない虫』(幻冬舎)、 『森と水辺の甲虫誌』(編著)『アリの巣をめぐる冒険』『アリの巣の生きもの図鑑』(共著)(いず れも東海大学出版会)などがある。 -
昆虫の生態についてとても勉強になる本です。著者の専門もありアリについての言及が多いですが、アリが熱帯雨林などではその影響力と数から事実上生態系の頂点に立っていることからも納得ができます。
虫は地球における生物多様性を維持する上で必須の生き物であることが生態などを学ぶことで改めて分かります(逆に
今日の人間というのは地球の破壊者でしかないこと驚く他ないですが)。
自身も農家の家出身で虫が周りにいる環境が当たり前の中にいながらもなぜもっと虫について学んで来なかったんだろうと本書を読んでいて悔やまれます。逆に都市に来て人間以外の生き物の気配がまるでなく、その生物多様性の無さに驚きました。こうした現状に違和感と危機感をもったからこそ本書を手に取ったのかもしれません。
ぜひ多くの人々が虫を好きになって欲しい、そしては虫は人間の安全保障上身近にいなくてはならない生き物であることを理解しなければなりません。 -
昆虫は実に多様性のある生物です。体の構造や生活様式、環境に合わせた生き方など無限の昆虫たちと生き様があります。
人間も昆虫から学べるところがたくさんあります。セミが何故大きい音を出せるのか、ハエのように自由に飛ぶにはどうしたらよいか、まだ未知の部分にも研究が及べばより豊かな生活が出来るかもしれません。
私のお気に入りの部分はここです。
「大部分の好蟻性昆虫はアリと同程度あるいは小型の大きさだが 、なかにはアリよりずっと大型のものもいる 。基本的にアリはそれらの生物の存在に気づかないか 、巣のなかまとして認識してしまう 。アリと感覚の仕組みがまったく異なるヒトにたとえるのは難しいが 、家のなかに自分の子を食べる巨大なクマが歩いていたり 、食卓にいる家族が実は赤の他人どころかまったく別の生物だったりするのとほとんど同じといえる 。」
アリの巣に住みついて、アリが仲間だと思わせるような化学物質を分泌して暮らしている昆虫がいます。アリの巣は暗闇なので、化学物質で仲間を判断しています。視覚を使っていないので、姿が全く似ていなくても、仲間として認識されてしまうのです。
人間は視覚に頼り、少しの嗅覚、聴覚を使って相手を認識しています。もし、その感覚を利用している生物がいるとしたら、隣にいる人は実は人間ではないかもしれません。実は自分が人間でない動物かもしれません。はたまた実は人間はとっくに滅んでいて、人間ではなかった動物が人間として生活しているのかもしれません。
これは考え過ぎですね。 -
人がやっている行動や、築いてきた社会・文明によって生じた物事は、ほとんど昆虫が先にやっている。
狩猟採集、農業、牧畜、建築、そして戦争から奴隷制、共生まで、彼らはあらゆることを先取りしてきた。特に面白いのは繁殖行動。
相手と出会うためあの手この手を使い、贈り物、同性愛、貞操帯、子殺し、クローン増殖と何でもアリだ。 -
クロゴキブリやチャバネゴキブリなど、数種のゴキブリが人家に棲みつくが、大部分のゴキブリは森林性で、ヒトとは関係のないところに生活している
昆虫はすごい、でも嫌い。
小さい頃から苦手意識満載です。妄想なのか、周りにどんなに人がいても自分の方に積極的に近づいてくる感じがしてならず、それが苦手意識に拍車をかけています。近づいてくるから苦手になったとも言えます。
少しでも相手を理解すれば苦手意識が薄れるかなと思って手に取った本書、目を瞑りたくなるような写真のオンパレードでして、却って逆効果でした。
昆虫に関する本は二度と手に取るまいと誓った、昆虫が影を潜め始めたある晩夏の日の感想です。 -
昆虫の生態は、我々哺乳類を含む脊椎動物に比べて極めて多種多様で、進化のバリエーションの幅が広い。まるで子供が自由な発想で創作したかのような生き物が、数多く実際に生きている。本書では、子供の頃から虫が好きで堪らないといった風の昆虫学者が、喜々として昆虫の魅力を語っている。
昆虫に関する新書としては、以前『昆虫―驚異の微小脳』(中公新書)を読んだが、これは昆虫の脳と感覚の仕組みを重点的に解説したものだった。それに対し本書は全体として「昆虫にまつわるトリビア集」のようになっており、ひとつのテーマについて学術的に深く突き詰めたものではない。
初心者向けの新書として妥当な内容だと思うが、知的好奇心の満足度という意味ではもっと深く掘り下げた説明が欲しいと感じた。 -
次男が好きな「アリのくらしに大接近」と同じ著者の本。
昆虫の世界の驚くべき現象が、よりすぐりで載っている。
狩り、擬態、子の数、交尾、寄生、奴隷制、居候、農業など、まさか昆虫がそこまでしているとは!と驚きを隠せなかった。