- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334039837
感想・レビュー・書評
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第1章 マクロ経済を見る「目」(マクロ経済を見るための国民経済計算;GDP統計を使って現状を把握しよう)
第2章 長期経済理論としての新古典派成長モデル(新古典派成長モデルとは何か;収束論と修正される新古典派成長モデル;成長モデルから循環モデルへ)
第3章 需要サイドによる景気循環モデル(有効需要の原理と45度線モデル;資産市場と貨幣市場)
第4章 マクロ経済学の基本モデルとしてのIS‐LM分析(IS‐LMモデルの基礎;IS‐LMモデルの拡張と批判)
第5章 労働と価格のマクロ経済学(フイリップス曲線とマクロ経済学の変容;マクロ経済論争と現代マクロ経済学の始まり;マクロの経済学の現代的課題)
著者:飯田泰之(1975-、東京、経済学)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マクロ経済学の変遷を詳説してくれており非常にわかり易い。その中で現在の我国がマクロに金融・財政政策を打ちながらもデフレを解消できない大きな理由に供給能力の把握が実態より少なかったという指摘は正しいと思うが、そもそもこの著作でも説明されている通り失業率の概念に問題があり、政府も都合の良い詭弁としてその値を使って政策の妥当性を語っており、この範囲では望む効果は得られない。その意味でも「核心」をついた政策の実行が望まれる。
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とても難し。
知識・技術の無さを感じる。
再読したい本になった。
昔にかった教科書読み直そうかな。 -
東2法経図・開架 B1/10/889/K
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『飯田のミクロ』から幾星霜。待望の……。
【書誌情報】
2017年6月15日発売
定価(本体840円+税)
ISBN 978-4-334-03983-7
判型:新書判ソフト
経済学は決して浮世離れした理論ではない。情勢を冷静に分析し、未来を予測するために拠って立つ礎となる。景気のトレンド、国の政策の是非、勤めている会社や業界の先行き、賃金は適正か、貯蓄か投資かなど、自分で判断し正しく行動するためには、マクロ経済学の知識が不可欠だ。
注目を集める著者独自のナビゲートで、現代を生き抜く知性の力を手に入れろ!
<http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039837>
【目次】
はじめに [003-008]
目次 [009-014]
第1章 マクロ経済を見る「目」 015
1 マクロ経済を見るための国民経済計算 017
GDP統計の三原則
フローとストック
名目値と実質値
GDP統計の主要項目
2 GDP統計を使って現状を把握しよう 034
GDP統計の三面等価原則
需要項目別の寄与度分解
マクロ生産関数
セイの法則と有効需要の原理
総需要と総供給のショートサイド原則
第2章 長期経済理論としての新古典派成長モデル 061
1 新古典派成長モデルとは何か 063
成長させる力と衰退させる力
生産能力としての貯蓄と投資
ソロー・スワンの基本方程式
2 収束論と修正される新古典派成長モデル 075
収束論の政治的意味
定常状態の経済水準を決める要因
収束論への疑問としての貧困の罠
内生的成長理論
3 成長モデルから循環モデルへ 090
レオンチェフ型生産関数の意味
加速度型投資と不安定な経済状況
ヒックスの景気循環モデル
第3章 需要サイドによる景気循環モデル 105
1 有効需要の原理と45度線モデル 107
需要が決める所得、所得が決める需要
均衡GDPと望ましいGDP
内生変数と外生変数
波及効果による乗数効果
財政制度のビルトイン・スタビライザー効果
景気変動の主役としての投資
2 資産市場と貨幣市場 125
異時点間を評価する割引現在価値
安全資産利子率と資産価格
裁定条件とリスク資産の価格
貨幣とは何だろうか
貨幣供給量の決定
マネーの元となるベースマネー
貨幣需要の三形態
LM曲線の導出
第4章 マクロ経済学の基本モデルとしてのIS-LM分析 145
1 IS-LMモデルの基礎 196
大胆な仮定とワルラスの法則
IS曲線再論
LM曲線再論
乗数効果と財政政策の効果
クラウディングアウト
金融政策の効果とその影響
流動性の罠と金融政策の限界
2 IS-LMモデルの拡張と批判 170
恒常所得仮説とライフサイクル仮説
中立命題と流動性制約
減税か財政支出か
クラウディングアウトと需要主導モデルの限界
為替制度と財政政策
第5章 労働と価格のマクロ経済学 193
1 フィリップス曲線とマクロ経済学の変容 195
失業の定義問題
賃金の硬直性とフィリップス曲線
AD-ASモデル
2 マクロ経済論争と現代マクロ経済学の始まり 009
貨幣錯覚説と自然失業率
合理的期待形成と政策無効命題
再びマクロ経済学のショートサイド原則
3 マクロ経済学の現代的課題 219
フィリップス曲線は労働市場だけの問題か
フィナンシャル・アクセラレーターと人生の余裕
ゼロ金利と量的緩和
インフレーション・ターゲット
需要か供給かを超えて
おわりに――マクロ経済学の未来 [241-245]
発展編 [246-253]
(1) 生産関数と生産性
(2) ソロースワン基本方程式の導出
(3) 安全資産(債権)の理論価格
(4) リスク資産(株式)の理論価格
索引 [254-255]
コラム1 日本は既に貿易立国ではない 050
コラム2 人口減少悲観論は大げさ過ぎる 052
コラム3 再分配政策としてのインフラ投資 055
コラム4 経済効果って何ですか? 185
コラム5 国際金融から見るトランポノミクスの帰結 189
コラム6 アベノミクスの誤算と雇用者数 237
【抜き書き】
・pp. 52-55
[コラム2 人口減少悲観論は大げさ過ぎる]から。
経済成長は人口の増加、資本の増加、生産性の変化に分解される……と説明すると、「これからの日本は人口減少社会に突入するのだからやはり無理だ」という主張が正しく見えてしまうかもしれません。確かに人口の減少は成長会計の上では経済成長にマイナスの影響を与えます。しかし、だからといって日本経済そのものがマイナス成長になるのは当然だという見解は言い過ぎです。
戦後日本経済の高度成長期(1955年から60年代半ば)にかけて、日本経済は年率10%以上の成長を続けました。その中で人口成長率は何%だったかご存じでしょうか? 同時期の人口成長率は平均で1%弱にすぎません。戦後は健康寿命が延びたこともあり、働き手の増加はもう少し多くなりますが、10 %成長のうち労働者の増加による部分は1.5%未満とする推計がほとんどです。推計の手法によって細かな数値は変わりますが、高度成長期の10%成長は「労働1.5、資本設備2.5、生産性6」の割合で実現したと考えておけば大過ないでしょう。経済成長の肝は人口ではなく生産性なのです。
ではこれからの日本、人口減少社会における経済成長はどのようなものになるでしょう。〔……〕
日本よりも1人あたりのGDPの高い先進各国においては、年率2%前後の経済成長率が平均的です。ここから、日本は最悪期の2030年代末でも1%、その他の時期については1.5%程度の経済成長を期待できるということになります。〔……〕
経済成長の主役である生産性にとっても、人口減少の影響は暗いものではありません。〔……〕
人口減少だから成長はあきらめようという短絡的な結論に至るのは簡単です。しかしその影響の大きさを正しく把握した上で、人手不足による生産性向上がスムーズに生じるように制度・慣習を改革していくことこそがこれからの日本社会にとって必要な姿勢なのです。