クワバカ クワガタを愛し過ぎちゃった男たち (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044879

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  • ● 1999年に始まったヤフオクなどのネットオークションサイト。副業としてやるには好都合。匿名なので、アンダーグラウンドの商売もしやすい。つまり、採集禁止になった個体を密売するんです。一度顧客になってしまえば、そこから一対1でやりとりができますから。もう一つ、大きな出来事は、生きた外国産クワガタの輸入が1部解禁となった。それによって90年代にオオクワによって起きた養殖ブームがさらに加速することになる。
    ●大クワガタの3大血統。能勢YG、川西、久留米血統だ。大阪府の能勢、兵庫県川西、福岡県久留米にルーツを持つ個体の血をそれぞれひいていて、いずれも大型化する特徴がある。これらの個体は、掛け合わせれば、掛け合わせるほど、血が濃くなり、大型化してくる。ただ、血が濃くなりすぎると、卵を産みにくくなる。

  • 「クワガタ」を愛した人達の人生記。
    好きなことに人生を捧げた者達の生き様は美しい。
    コーカサスとアトラスは亜種という表記があったがおそらく別種のはず。

  • 好きは最強。クワバカ。採集、ブリーディング、クワガタバトル。クワガタに打ち込む男たちをリアルに追いかけた逸品。

    「男はどこかでバカでい続けたい生き物である。」

    噂に聞いたことはあったが、「月刊むし」(むし社刊)が商売として成り立つぐらい市場があることが意外だった。クワガタに打ち込むのが大の大人ということで納得できた。何十万円を出してまでクワガタを入手する大人買い。

    奄美大島でハブに怯えながらクワガタを採集する人たち。1ミリでも大きな個体を追い続ける。中には沖縄や遠くインドネシアに移住する人もいるそうだ。ネットオークションの進展、地元からの反感など一部の心もとない人たちによる負の側面もしっかり描かれる。

    他の趣味でも同様だろうが、コレクターが亡くなった後、処分に苦しむ家族も多いという。

    エピローグ、高校時代に野球に打ち込んだ筆者。苦しかったばかりの記憶。そんな昔の自分に言ってやりたいという。
    「今は分かる。努力など必要ない。より正確に言えば、努力、努力と言い聞かせなければがんばらないようなものは、向いていないからさっさと辞めた方がいい。」

    筆者は高校野球を中心にスポーツノンフィクションの傑作が多い。本書のテーマ選定は意外だったが最後につながった。

    何か真剣に打ち込める物を見つけた人は幸せである。生きることに精一杯なのはやむを得ないが、どこか遊び、趣味の部分も大切、深く考えさせられた一冊でした。

  • その道にハマる事を、〇〇道などと呼ぶが、本書のテーマはそのクワガタ版。数ミリの差でとてつもなく価値が変化したり、かつて数万円の値がついたオオクワガタが、今は養殖によって値が下がったりと、探索者達の功名心、コレクター達の収集欲から、市場原理が働き、ビジネス化、投機や射幸の対象にまでなる様は、古美術の世界などと同じ。種が多様なのと、種によっては採集が困難なところに奥深さがと魅力があり、ヒトは色んなものに遊びを見つけるんだなと。生き物にとっては受難に違いないが。ムシが格好良かった頃の子供時代を思い出しもして、読み物として興味は尽きなかった。

  • 1973年生まれの「いい年」した著者が、離島のマルバネクワガタにはまった人、オオクワガタ飼育の数値を編み出した「習志野クワガタセンター」、クワガタ相撲の愛好家らに取材した本。マルバネクワガタが、ハブの脅威のため採集家の目に触れず、幻のクワガタだったことなどは、なるほどと思った。採集が進めば、地元は採集禁止の方策を打ち出す。現在、最終が置かれている厳しい現状についても触れた。クワガタを愛でるのは日本ぐらいだと聞く。飼育、採集については著者が子供のころと比べて、格段の進歩を遂げている。この趣味がどうか末長く発展していってほしい。

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1080/K

  • 男のロマンを追い求める男の話は最高に面白い!

  • 本屋で平置きになっており表紙に一目惚れして購入。
    カブクワ好きにはたまらない。ただの昆虫、されど昆虫に人生を賭ける男たちの物語は終始興奮しっぱなし。
    そんな虫取りだけの話かと思いきや、素晴らしいエピローグ。クワバカたちと向き合えば“大人の課題図書”というこの本の帯の文言を一笑に付すことは出来ないはず。

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著者プロフィール

1973年、千葉県船橋市生まれ。同志社大学法学部卒。スポーツ新聞記者を経て独立。スポーツをはじめとするノンフィクションを中心に活躍する。『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮社)でミズノスポーツライター賞最優秀賞、『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』(集英社)で講談社ノンフィクション賞を受賞。他の著書に『佐賀北の夏』『歓声から遠く離れて』『無名最強甲子園』などがある。

「2018年 『高校野球 名将の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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