Web3とは何か~NFT、ブロックチェーン、メタバース (光文社新書 1232)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334046392

感想・レビュー・書評

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  • 平易に描かれたなかなかの良書。一方、結論はなかなか皮肉なものに。著者の自虐ネタも健在。

  • あいつらMMOもやった事ないだろ
    ーゲイブ・ニューウェル
    ※MMO 大規模多人数参加型オンラインゲーム

    ゲイブ・ニューウェルは、『Half-Life: Alyx』を開発したValveの共同創業者。見た目は典型的ギークの代表という雰囲気のマシュマロマン。しかし、アイドル的存在だという。確かに、DXだ何だと口にする連中は、Fortniteも知らない。エピグラムは、童心を思い出し擽られる台詞だ。そして彼が言う。「我々は今、人々が思うよりもずっと『マトリックス』の世界に近づいている」

    WEB3とは、ビッグテックの支配から個人が解放されたインフラで、要素技術としてブロックチェーン、中でもNFTあたりを重視する、と本著は言う。ネット界隈の根本的思想として「支配からの解放」を明確にしている論旨は好感が持てる。技術は、人を困難から解放して自由にする目的で作られるはずだ。

    だからこそ、逮捕はされずに済んだが、WINNY事件は惜しい。WINNYという非中央集権システムは、ただの無法地帯であり、民主的でもないと著者は切るのだが、ブロックチェーンにおいても、非中央集権である事が重要ではある。支配や統制がなければ、コピーし放題。そのせいで創作側は損を被る。ブロックチェーンの技術を応用し、前よりマシな世界を求めよ。

    ファンジブルに規格化された人間達が、ファンジブルなお金を用い、ノンファンジブルなNFTを纏ったデジタルデータを新たなイデオロギーに適用する皮肉。希少化が進めば価値は上がる。やがて量産型の規格人間が希求するNFTの集合体として、神を再定義していくのだろうか。データに裏付けられた、民主主義による神。これが新世界の産声と言われれば、そんな気がしないでもない。

  • ブロックチェーン、NFT、メタバースについて、一般人にもわかるように、それでいて俗っぽくならないように、ある程度理論的なところにも付言した良い解説書。最近これらのテーマの本が増えているが、その多くが、NFTでのアート取引やメタバースのケース紹介などを羅列した上で、ネットで書かれているくらいの薄っぺらい話ばかりであるため、一線を画している。

    単にポテンシャルを良い面からだけでなく、想定される悲観的なシナリオまで言及してあるのは良心的で、詳しいからこそと感じます。

  • ブロックチェーンやNFTに対する著者のスタンスが明確で、何回も繰り返してネガティブトークが展開される。ある意味、気持ちイイほど振り切れていて、説得力を感じてしまいます。

    この著者の他の解説書も読んでみたくなりました。

  • どうにも最近世に出てきたWeb3.0が理解できない。ブロックチェーンもわからず、NFTもチンプンカンプン。コンセプトが頭に入らない。

    ブロックチェーンの技術に基づいて実現されているビットコイン等の仮想通貨も何故未だに存在しているのかがわからない。何の根拠もなく単なる投機対象でしかないのではないかと思ってきた。その仕組みも理解していなかった。

    Web3.0を解説している本は2冊ほど読んでみたが、いずれも「非中央集権化」「明るい未来」「必須の技術」であると言う前提で書かれており、結局中身は分からずじまいであった。おそらく私の知識不足なのだろうと半ば諦めていた。しかし本書を読んで何となく手がかりが掴めたような気がする。(まあ、浅はかな知識で理解できたつもりになっているだけかも知れないが)

    身の回りの技術はハード、ソフト共に目覚しい進化を遂げてきている。

    昔はラジオやレコード、テープレコーダーの音質を追求していた。ウォークマンが世に出たのは学生の頃。それが今や人間の聴覚を超える音質の勝負になっている。日頃聴いているのはApple Music。

    会社に入って社会人になってから世に出てきたのはワープロランワード、ランプラン)。特にワープロの一般化は字が汚い私には必要不可欠なマシンになった。

    それからDOSマシーンの世界となり、コマンドを操らなければならなくなったが、一太郎や花子は画期的だと思った。その時代になってようやくハードウェアの上にOSが乗っかり、その基盤上でさまざまなアプリが動いていると言う概念が一般化されてきた。

    ほどなくMacが世の中に現れ、高額な出費を強いられながらも日本語が不得意なマックをワクワクしながら使っていた(間もなくSweet Jamが出現し、マックで日本語も扱えるようになった)。おそらくその頃にインターネットが一般化しつつあった。電話回線を利用し、メールで意思疎通が出来るようになり、プレイボーイのグラビアを途方もない時間をかけてダウンロードしたものである。

    やがてマックのコンセプトを利用したWindowsが登場。会社で一人一台パソコンが支給され、ほぼ同時に携帯電話も普及していった。

    そしてiPhoneが出現し、WIFI、4Gといったネットワークも整備され、今や朝の通勤電車の中で新聞を読んでいる人を探すのは難しくなっている。

    会社ではZOOMやLine-Worksを利用した会議が週2回ぐらい開催されており、家でも家族間の連絡はLineが定着。Facebookで旧友の動向を知り、調べ物は辞書がわりにGoogleやMSの検索機能を利用している。

    こういった環境で生活していていると、普段はGAFAMに生活が牛耳られていると言う自覚はあまりないものの、確かに統治されていると言えばその通りである。

    ただ、YouTuberのように踊らされているわけではない。FBのようなSNSの中毒になっているわけでもない。

    巷では、ビットコインを代表とする仮想通貨なるものがピーク時期を通り越して一部衰退しかけている。ブロックチェーンという基盤が提唱され、仮想通貨によりそれが実現していると言われても、いまだにどこか遠くの世界の話に聞こえている。

    おそらく私はごく一般的な日本人なのだろう。

    本書はそういう私にとって、とても有益な知識をもたらしてくれた。同氏の本は以前「メタバースとは何か」を読み(ゲームに関するところは全く理解できなかったけれど)、面白かったので本書を手に取ってみる動機となっていた。おそらく私でも理解できるレベルでWeb3等を説明してくれるのではないかと期待していたのだ。

    おかげさまでWeb3.0、ブロックチェーン、NFTについての理解は深まったように思う。また、少なくとも今の自分の日常生活にいきなり入り込んでくることは無いだろうということもわかったような気がする。(かといって、一握りのビックテックにコントロールされ続ける現状が継続するのもいかがなものかと思うが)

    本書の前半で私の不明点はほぼ理解できたのだが、後半は今提唱され、実現化してきているWeb3の進化の方向性について、一部の知識人の方々が囃し立てているような方向のまま「その技術が一般化するのは難しい」ということを執拗に説いているように感じられた。何か腹に据えかねている事があるような書き振りであった。

  • 昨年あたりから新たなバズワードとして一般化してきたWeb3。GAFAなどのテックジャイアントに支配されたインターネットを、個人の手に取り戻す非中央集権的なしくみであり、それを実現させるといわれるテクノロジーが、ブロックチェーンとNFTである。だけど、待てよ?少し話がうますぎないか?そう感じていたのも事実。

    本書は、ブロックチェーン、NFTの技術的な解説とともに、現実的に実現可能なことを提示する。ブロックチェーンで社会のすべての仕組みを置き換えることは不可能であり、NFTに至っては、そもそも本物だと示すためのスタンプのようなものにすぎず、利用できることは限られている。きわめて現実的だと感じた。

    Win95でインターネットが一般化した時も、インターネットはそもそも情報に個々人が直接アクセスでき、人々が直接交流できる理想郷をもたらすとよくいわれた。しかし、よりインターネッとをより使いやすく(面倒なことなしに)するために、人々はGoogleやFacebookに頼るようになり、結果として彼らプラットフォーマーによる支配があたりまえの現実となった。

    Web3も同じ道をたどるのでは?個々人がWeb3を使いこなすのは面倒なので、新たな企業、組織に頼る構造が生まれるのではないか?Web3の要素技術を用いてはいるが、それはWeb3的な思想で言われる社会(非中央集権的な社会)ではない。それは、現在のGAFAによる支配構造と大差ない。著者の予測である。非常に現実的である気がする。

  • 著者の本を読むのはブリーバックスの『ブロックチェーン』に続いて2冊目になるが、本書を読んでこの方の新刊は今後チェックしていこうと思った。分かりやすさを非常に意識した構成(1行開けを多用している点とか)がまず目を引くが、著者自身の見解を決して押しつけがましくなく伝えつつ、読者に対してニュートラルな姿勢で向き合っている点が気に入った。そして時たまオタク気質の顔を覗かせる芸風も読んでいて楽しい。
    内容について、Web3と呼ばれるものが本当に「巨大IT企業の支配から個人が解放されたインフラ」を目指すものなのであれば、著者が述べた通りうまくいかないだろう。プラットフォームの決めたルールの下で自由に発信できるのであればわざわざ面倒なことはしない、という主張はまあそりゃそうだよね、と思った。
    ただ、例えばコロナ禍で公衆衛生やら感染対策やらを錦の御旗に掲げたプラットフォームによって個人の発信が制限された事例を目の当たりにした身からすると(まだやってるのか?)、前述した理念は全く無意味というわけではないと考える。Web3と呼ばれるものに代わるシステムは恐らく今後も出てくると思うが、それが本当に自由なものになるかは分からない。

  • 著者は情報処理試験のテキストの著者でもあり、そのテキストのお世話になったこともある。読みやすい一般書もかなり書いていることを知って興味を持って読んでみた。

    Web3を、
    "「巨大IT企業(ビックテック)の支配から個人が解放されたインフラ」で「要素技術としてブロックチェーン、なかでもNFTあたりを重視する」くらいが最大公約数的な説明"
    と定義し、そこにメタバースを含めた形で、
    ・プロローグ
    ・第1章 ブロックチェーン
    ・第2章 NFT
    ・第3章 メタバース
    ・エピローグ
    の章立てで説明している。しかし、
    "Web3の中にメタバースを含めることには、無理があると思う。"
    と述べており、メタバースをWeb3に含めることは懐疑的である。NFTはブロックチェーンを利用した技術であり両社は密接なつながりを持つが、メタバースは別の技術であることが説明されている。

    Web3は「非中央集権的な社会を目指す」「インターネットの民主化」のような、ある種イデオロギー化された思想があり、それを実現するための技術としてブロックチェーンを用いるものである。ただ、その思想はそもそものインターネットがもっていた理想でもあるが、そのそれが普及する時に失われた。その理由は、大多数の人が非中央集権的なものは使いにくいからである。誰にでも開かれていたはずのインターネットに接続するには、それ相応の技術が必要でありリスクも伴う。そのため、多くの人がインターネットを使うためにはISPが必要になり、Webページを検索するための検索エンジンが生まれ、現在のWeb2.0が形成された。
    今後Web3が普及したとしても、それは今理想とされているものではなく、結局はWeb2.0と同じような世界になるのではないか。
    このようなことが、様々な例や言い換えで繰り返し述べられている。豊富な例は想像しやすくわかりやすい。技術的な要素についてもある程度述べられているが、そこまで深入りはされていないように思う。深い技術要素は難解なこともあり、理解できない話も多いこともあるが、結局のところブロックチェーンって何だったんだ?というような疑問は残りっぱなしである。
    おそらくこれは著者が悪いのではなく、私の頭が悪いのとブロックチェーンやNFTがあまりに難しいからなのであろう。
    というわけで結局のところ著者がいうように「取引所」という接続点を使わないとブロックチェーンを使用した技術であるビットコインに参入できないことを考えれば、著者の言うことはあっていることなのだろうと思う。

    完全理解はできなかったが、興味深く拝読して勉強になったので★5

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50312478

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著者プロフィール

中央大学国際情報学部教授

「2021年 『デジタル/コミュニケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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