- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334707682
感想・レビュー・書評
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内容は純本格、文体はハードボイルド調と、実に島田荘司氏らしい仕上りになっている。
今回の目玉は2つ。
まずは吉敷物とは思えぬほどの超絶技巧を凝らした大トリックの殺人。
とは云え、トリックの内容は後の御手洗物を読んでいる身にとっては十分予想のつくもの。ただそれを吉敷が解くというのが珍しい。
2点目はやや没個性的だった吉敷の個性、存在感がいつにも増して顕著だったこと。
通子の存在が不屈の精神を幾度となく蘇らせ、熱い魂と言葉を持った存在にまで押し上げている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
列車ミステリーと思い手に取った作品でした。列車といえば密室殺人かなと、ちょっとドキドキしながらページをめくっていくと・・・ちょっと違った視点から責めていく密室殺人事件でした。でも、ハラハラドキドキはありました。
また、伝奇ミステリーも含んだ怪しいムードも感じました。
トリックが現実的ではないという声を良く聞きますが、そういうミステリーも良いのではないでしょうか。小説の中のお話なのですから、その世界にどっぷりつかって、その世界で吉敷刑事と事件の真相を探っていけば面白いと思います。 -
吉敷竹史と加納通子のロマンス、義経伝説や夜鳴き石、鎧武者、心霊写真などのホラー要素がサスペンス的な展開と巧く融合しており、最後まで読者を飽きさせません。
そして、何といっても奇想天外で豪快なトリックが炸裂しています。トラベルミステリーだと思っていたので、良い意味で裏切られました。物理トリックの傑作だと思います。 -
北の夕鶴2/3の殺人
190808読了。
今年73冊目今月3冊目。
#読了
#島田荘司
#北の夕鶴 2/3の殺人
各所で勧められていた作品。
妻を巡ってトラベルミステリと思わせておいて、壮大トリックとハードボイルド。
「妻に逃げられた男の気持ち」を想像してみた。
そりゃ命賭けるよ。
容易に想像できた。
満身創痍にも程があるけど、まさにハードボイルドだな。 -
数々の不可能的、超常的な謎が、ひとつのトリックによってたちまち、氷解し伏線へと変貌を遂げる。まさにトリック小説の理想形だと思います。
吉敷と前妻のストーリーもまったく余分とは感じず、むしろ引き込まれるくらいでした。 -
10年以上ぶり、
御手洗潔シリーズ以外では初めての島田荘司作品。
久しぶりの本格ミステリにハードボイルドの要素までふんだんに盛り込まれ心が躍る。
大胆かつ大掛かりなトリックにワクワクせずにはいられない。
早く先に進みたい気持ちを抑えつつ慎重に読み込み大まかなトリックも自力で解けたため非常に満足。 -
伊坂幸太郎のエッセイに取り上げられていたので、読みました。
吉敷竹史シリーズの前の作品は読んでいます。
別れた妻・通子(みちこ)に何か異変が?
5年ぶりに電話があったが、遠慮がちに切れてしまった。
かって忙しさに紛れて、全くほったらかしだったことを後悔しているのだったが…
今、放っては置けないと決意。
警視庁捜査一課の吉敷は、上野駅へ。
発車直後の「ゆうづる九号」の窓辺でこちらを見る彼女の姿を見たと思った。
ところが、翌日、通子のカーディガンを着た遺体が発見された!
吉敷は単身、捜索の旅に出る。
青森、盛岡、釧路と、怪我を負いながら雪の中で奮闘することに。
離婚は突然妻に言い出されたもの。
回想の中での通子の様子も。
この刑事は、とても穏やかで優しい淡々としたイメージだったのですが…人生の変わる大事件。
かなりとんでもない展開に。
うは~さすが、島田さん!