北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫 し 5-5)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334707682

感想・レビュー・書評

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  • ハウダニットの傑作!!唸った!
    龍臥亭事件を先に読んで、通子と吉敷さんの話もっと読みたいと思い手に取った。通子が思いのほかめんどくさかったけれど、吉敷さんが半分死にかけながらも最後の最後に真実にたどり着くのが燃える。

  • これだよこれ。

  • 一世を風靡した島田荘司氏も、知らない人が増えてきたかもしれない。
    しかし、若い世代には、綾辻行人氏や有栖川有栖氏の師匠であると言えば、読みたくなりません?

    『御手洗潔』が探偵を務めるシリーズと『吉敷竹史』が刑事のシリーズが主なのだが、とにかく、超絶不可能犯罪を書かせたら、島田氏の右に出るものはない。
    そして、『吉敷竹史』シリーズには、人間ドラマが深く絡んで、ミステリーには珍しい感動がある。

    『北の夕鶴2/3の殺人』も、妻を思う刑事の生き方に対する美学が、胸を打つ。
    もちろん、怪談めいた不可能犯罪にも驚愕。
    お勧めの一冊である。

  • 吉敷竹史にはここからはまった。

  • 吉敷刑事シリーズ。吉敷の別れた妻、通子が殺人事件の容疑者に。通子の無実を確信する吉敷は満身創痍の状態で事件の謎を解く。物語の根底には元夫婦の愛があり、そして今回の吉敷は肉体的にもボロボロで、苦しいほど追い詰められ臨場感たっぷりでした。

  • 島田荘司の作品をはじめて読んだ作品が、この作品であるということと、この作品を読んだことで、島田作品にはまっていくきっかけになったということで、大好きな作品です。
    正直なところ、よくあるトラベルミステリだろう、くらいに思っていたのですが、予想は見事に裏切られて、プロローグの部分から、物語に一気に引き込まれてしまい、こんなにおもしろいミステリがあったのか、と思いながらページを繰りました。
    一言でいえば、度肝を抜く破天荒なトリックがすごい。
    こんなことよく思いつくなあ、というような荒業です。しかし、それと同時に、底辺に流れるのが、愛の物語でもあるということ。
    私自身としては、トリックよりも、後者の部分に感動しました。
    主人公は、捜査一課の吉敷竹史(よしきたけし)。
    島田作品の特徴は、作品が単体でできあがっているのではなく、作品と作品の間に繋がりのあるものが多いということ。ですから、シリーズキャラクターの事件年表をかなり正確に作ることが出来るということです。そして、シリーズを通して読むと、シリーズキャラクターの人生が浮きぼりにされてきます。
    島田作品の、ひとつの重要なシリーズが、『異邦の騎士』などに登場する、名探偵御手洗潔(みたらいきよし)のシリーズ。
    そして御手洗シリーズと双璧をなすのが、この吉敷竹史シリーズ。『北の夕鶴〜』は、シリーズ3作目にあたります。
    この作品は、前2作品では、ほとんど語られなかった、吉敷竹史の過去が語られます。
    吉敷には、離婚した妻がいたこと。そしてその元妻である、加納通子(かのうみちこ)から、電話があったことから、物語は始まります。そしてその通子の声にただならぬ気配を感じた、吉敷は、彼女を追って北海道へ向かいますが…。
    吉敷竹史の人間性があますところなく描かれて、そして加納通子との愛の物語ともなっていて、吉敷シリーズ初期の傑作であり、欠かすことのできない重要な作品に位置づけられます。
    そして、後のシリーズを読めば、吉敷と加納通子との2人の愛の行方は、作品の底流を流れて、時に水面に顔を出しては、また沈んでまた浮き上がり、というように、途切れない水の流れのように、一編の大河小説のように、続いていることがわかり、2人の行方も気になるところです。
    また、『北の夕鶴〜』で解決されたかに見えた、事件の根は、まだまだ深いものがあり、真の解決を見るのは、加納通子が自分自身の過去と対峙しなくてはならなかった、『涙流れるままに』(光文社文庫)という作品まで、待たなくてはなりませんでした。
    もし、本作品を読んで、二人の行方に興味をもたれた方は、『羽衣伝説の記憶』 『飛鳥のガラスの靴』 『涙流れるままに』(すべて光文社文庫)と、後もう一作品は、ネタバレになる恐れがあるので、言えませんが、ある作品(御手洗シリーズの一作品)を読むことをおすすめします。
    そして、さらに最近作では、吉敷シリーズと御手洗シリーズとの融合も、示唆される展開を見せており、作者の構想力のすごさをうかがわせます。
    まだまだ、両シリーズは、目が離せそうにありません。

  • 島田さんの作品の中でここに使われたトリックが一番好きです。

  • アツい吉敷竹史がココにいる。
    『出雲伝説』『寝台特急』と読み進めて、時刻表を駆使したトリック解明を得意とする頭脳派刑事の印象を抱いたまま『北の夕鶴』に入ると、シリーズを間違えたかと思うほどの違和感にやや混乱。
    とは言え、大沢在昌氏や今野敏氏のハードボイルドやアクション好きには嬉しい誤算。
    トリックは大掛かり過ぎてかなり非現実的だが、だからこそ面白い事件が出来上がっている。

  • 島田荘司の傑作の一つ。TBS でドラマ化されている。島田荘司作品はトリックがアクロバティックなので、ラジオドラマ化の方がいいのではないか。

  • My very first book of Shimada Soji and Takeshi Yoshiki.

著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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