- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334722883
作品紹介・あらすじ
「なんとしてでも、地球を死の惑星にはしたくない。未来に向かって、地球上のすべての生物との共存をめざし、むしろこれからが、人類のほんとうの"あけぼの"なのかもしれないとも思うのです」幼少の思い出から、自らのマンガ、そして未来の子供たちへの想いまで。1989年、他界した天才マンガ家・手塚治虫、最後のメッセージ。
感想・レビュー・書評
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手塚治虫先生のエッセイ。幼少の思い出や自身のマンガ、未来予測などについて、やわらかく、分かりやすい言葉で綴られている。手塚先生の想いがぎゅっと詰まっている一冊。いろいろなテーマについて問題提起がなされていて、考えさせられる。
手塚先生は小学生の頃から漫画を描いていたが、才能を認めてくれる大人がいて本当に良かった。子供の才能を伸ばすには、幼少期の環境が大事だなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもたちに読み聞かせてあげたい
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手塚治虫の「言葉」を読んだ。
漫画に込められた思いと、手塚治虫自身の優しい気持ちが直接語られている。
何十年も前に書かれているはずなのに、現在を言い当てている箇所の多さに絶句。
手塚治虫の危惧した世界になっていることにゾッとした。私たちは破滅の道にいるのか。
ゾッとした反面、あまりにも優しい眼差しを感じて泣きそうになる。
ガラスの地球。こんなに美しい星を大事にしないでどう生きるのか。
胸をうたれた一冊。切実に、今を生きる多くの人に読んでもらいたい。 -
目の前のことばかり考えがちだから、地球規模での未来の課題や希望について、露も考えてこなかった。でもその視点こそ、究極の「大枠で捉える」だ。尊敬するクリエイター手塚先生の、生の言葉に触れられて本当に幸せだった。忙しい仕事人こそ切り替えが必要、でも日々の生活のゆとりも大切だ、と。とても胸に響く。
ひと時代前に書かれた本だからこそ、当時の状況も垣間見えて面白いし、未来予想が驚くほど当たっている。本当の意味で「日本」「未来」「世界」が見えていたのだと思う。ガラスの地球、その脆さに気づける人間でありたいと思った。 -
原子力の平和利用ということを考えていた。原子力(核融合)をエネルギー源として、ニンゲンと同等の感情を持った少年ロボット、鉄腕アトムは1952年から1968年まで連載されていた。1963年からテレビアニメーションとなった。
小型の原子力エネルギーを使うという発想がすごいと思う。そして、手塚治虫は何を考えていたのか?を読みたかった。
本書を読んで、手塚治虫の地球の課題の先見性にあらためて思った。
手塚治虫は、1928年生まれ、そして1989年に逝かれた。61歳の若さだった。もっとたくさん、漫画を描きたかったのだろうね。
鉄腕アトムを描いた昭和26年頃には、「日本に高速列車や高速道路なんて作れるはずがない」「ロボットなんてできっこない」「荒唐無稽だ」と言われ「手塚はデタラメを描く、子供たちの敵だ」といわれた。それに対して、手塚治虫は、自然に根ざした生命の尊厳を常にテーマにしてきたから、我慢して描き続けられたという。その頃に、原子力の平和利用もかなり批判されたと思う。
「生命のないところに未来はない」と言い切る。
しかし、地球は死にかかっている。46億年の歴史を持つ地球、そして人間が誕生して300万年。人間は地球の歴史上では新参者。それが、「万物の霊長」と自賛して、欲望の赴くままに自然を破壊し、動物たちを殺戮し続けている。そのことに危機感を持ていた。自国の民を平気で弾圧している悪辣な権力者、政治家は「緑は大切だ。動物を保護しよう。生命は大切にしよう」と言い、金儲けのためなら平気で毒物を垂れ流して、殺人兵器をどんどん開発し製造している。いま、本当に大切なもの。必要なものは何かを、じっくり考えてみようという。
科学の進歩はなんのためか?1986年のチェルノブイリ原発事故は取り返しのつかない汚染された地球を残した。各国から出る大量のゴミや廃油で、周辺の海が死にかけている。大量生産して金儲けしようとしているが、生産性を上げるために地球を危機に陥れることは、許せないと警告をする。手塚治虫は、福島の原発メルトダウンをどういうのだろうか。
「自然への畏怖をなくし、傲慢になった人類は必ずしっぺ返しがくる」と指摘する。鉄腕アトムで描きたかったことは、科学至上主義ではなく、科学と人間のディスコミュニケーションだった。私にはそんな深読みはできなかった。
アトムは非常に疎外感を感じ、ビルの上に腰掛けているアトムの哀しみが言いたいことだった。科学と人間のディスコミニケーションから、人間と地球のディスコミニケーションが起こっている。ニンゲンは、残忍でウソツキで嫉妬深く、他人を信用せず、浮気者でハデ付きで、同じ仲間なのに虐殺しあう、醜い動物だという。
未来を担う子供たちに、未来に希望を与えることが何よりも地球の未来に必要だ。子供たちの未来を奪ってはいけない。
マンガにはロマンの力がある。古今未曾有、波瀾万丈、驚天動地、抱腹絶倒、荒唐無稽が漫画のエネルギーであり、それが子供の冒険心、夢見る力、批判力、そういったものをかき立てるものなのだ。何者かにチャレンジしていこうとする、子供のロマンを大人が刈り取っていけないという。
改めて、手塚治虫の深い洞察力が、手塚治虫の漫画ワールドを作っていたことを知った。 -
#ガラスの地球を救え
#手塚治虫
#光文社知恵の森文庫
#YAの家
#itoito
先日のYAの家でitoitoさんが置いておられたこの本。手塚治虫の漫画は少しだけ知っているがエッセイは初めて。なるほど、手塚漫画の真髄がここにあります。マンガも読破してみたい。地球を守っていくのは私たちなんだなあ。 -
アニメでも超えられない壁というのが印象的だった。
今の時代でいうなら、ワンピースのタバコの描写などだろう。異文化を意識すると普段意識していないことが見えてくるのではないか。 -
大好きで敬愛してやまない手塚治虫さん。
全ての思想に賛同できるわけではないけれど、根源のテーマにある「生命の尊厳」、これを貫く作品の数々に何度感動したことか。
読めば読むほどに、新しい発見と解釈ができる。
「火の鳥」「ブッダ」「ブラックジャック」は実家の古い薄汚れたカラーボックスにあって、昔から読んでいた。
大人になってもずっと、感慨を受け続けている。
そんな手塚さんのエッセイ。ずっと読みたかった。
難しいことをやさしくわかりやすく伝える。
そして、ユーモアの塊。
私が産まれた頃になくなってしまい、もう30年以上前の本、主張なのにまったく色褪せずに読める。
生き続けて欲しかった。作品を生み出し続けて欲しかった。きっと今も空の向こうで描いてらっしゃるんだろうなぁ、、、、
あー、早く満喫に行ってほかの作品に溺れたい。
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ドキッとするほど今の時代を予測しています。地球にとって子どもたちの未来にとって、とても重大かつ深刻な状況に陥っていることをとても読みやすい文章で書かれています。小学生からでも読める私たち人間は地球や自然、動植物そしてお年寄りになんて傲慢な態度をとっているのでしょう。けれどそんな人間に対して手塚さんは愛おしさと希望を持って語りかけてくれます。地球を守ること、生きがいを持った人生を全うするためには宇宙からの眼差し、そして想像の力を持つことが大切なんだと思いました。そして手塚さんのマンガについて悪の魅力や負のエネルギーとして書かれている部分が印象に残りました。
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手塚治虫が環境問題などに関して記した未完のエッセイ。筆者がいかに子どもたちの未来を心配し警告していたかよく分かる。手塚氏の温かい人柄が表れている本。
だいぶ前にブログに感想書きました。写真はムスメです。↓
「手塚治虫の願い」
http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-598.html