片道切符 (光文社文庫 か 32-1)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334729912

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  • 風間一輝『片道切符』光文社文庫。

    古本屋で偶然発見した風間一輝の古い作品。今から20年前の2000年刊行。殺し屋の烏堂を主人公に、死にまつわるタイトルばかりを冠した4編を収録の連作ハードボイルド小説。スルメを噛むように時間を掛けて、じっくり読みたくなるような良質の作品。これは読まねば損というくらいに面白い。

    現代は悪党と善人の境目が無く、何時いかなる場所で危険な目に会うか油断出来ない嫌な時代になった。悪党は悪党らしく、それなりのルールと節度を持っていた時代。そんな古き良き時代を背景にウィットに富み、シリアスな中にどこかユーモラスを感じるハードボイルドが描かれる。

    『冥土の土産』。やはりハードボイルドはこうでなくてはと思わせる秀作。主人公は秘密主義を徹底し、裏稼業で殺し屋を生業とする烏堂という男。表の稼業はモデルガンショップの経営というのが面白い。ある日、「殺る前に冥土の土産を聞かせてやる」と話す種村を3発の銃弾であっさり返り討ちにした烏堂は誰が自分の殺しを種村に依頼したのか気になり、調査する。

    『地獄の沙汰も』。タイトルは誰の台詞なのか……全編にみなぎる烏堂の焦燥感。スリル満点の短編。烏堂は代理人のデブの沢田から持ち掛けられた2,000万円の報酬に一瞬目がくらみ、正体不明の不死身の手長猿との対決を考える。余りにも危険な挑戦だが、烏堂の意思と無関係に事態は動き出す。

    『三途の川』。ついに烏堂に最期の時が訪れるのか……手長猿を始末したことで殺し屋としての烏堂の価値が高まる。そんな中、立て続けに2つのトラブルが烏堂を襲い、計画の変更を余儀無くされた烏堂はプライドを大きく傷付ける。辻からレンタルした車のハンドルの細工、大里から購入した拳銃のトラブル。何者が何の目的で……

    『成仏しろ』。文庫本にのみ収録された短編。三途の川を渡ったと思われた烏堂は辛うじて生きていた。そして、また懲りずに危険な依頼を引き受けるのだが……仙台を始めとする東北を舞台に烏堂、今日子、大里、辻たちが強敵相手に立ち回る。

    これまでに読んだ風間一輝の作品は『男たちは北へ』と『不器用な愛』と本作の3作品のみ。いずれも面白く、今ではなかなか手に入らない作品が多い。是非、本作と関連する『漂泊者』『海鳴りに訊け』や他の作品も読んでみたいものだ。

    本体価格629円(古本7冊で127円)
    ★★★★★

  • 図書館で。
    登場人物が個性的でキャラが立っているな~。その分、内輪もめみたいなものを匂わせるのはちょっと残念なような。お話は面白い…と言うよりキャラが良いなって感じのお話でした。
    それにしても彼のプロとしての能力っていかに自分に取って有利なプロが周囲に居るかって事なんだなぁ。

    そしてこんな女子大生いるかよ、と思ったらやっぱり一癖ある女の子だった。やっぱりね。でもこんなヤクザなどう見ても堅気じゃない男に惚れる辺りで普通じゃないもんな、ウン。
    作者さんはもう故人なんですね… シリーズになりそうな作品だと思うのに残念。個人的には昌枝さんが不二子ちゃんのように活躍している話が読みたかったような。後東山さん無双な所とか。他の作品読んだら出てくるのかしら?

  • 四話目「成仏しろ」を読むためだけに、購入・再読。
    ちゃんと殺し屋な烏堂勲(…)が見られます。
    大里さんも、再登場。

  • 殺し屋が主人公の話。ハードカバー版の話と、もう一編入っています。殺し屋の話だけど読みやすく、ユーモアが効いています。

  • 主人公が最高。登場人物とかもうなんだか誰もがかっこよくってかっこ悪くて愛すべき人たち。

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