- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334736507
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2024年3月20日の朝日新聞
「声」の欄の投稿に目が止まった。
岐阜県の高校生。
タイトルは「昭和の団らん『本物だった?』」。
「僕は、昭和のコミュニティーでどれだけ
気持ちを吐露できたのか、ほとほと疑問に感じている」
その中で永井愛のエッセー「なぜ『ぼかす』?」からの
一文を引用している。
「あの団らんが本物であったならば、
そう簡単に失われはしなかっただろう」
衝撃だった。
「昭和はいい時代だった」という幻想とか嘘とか
願望とか、虚を澄んだ境地で衝いている。
さてその「なぜ『ぼかす』?」はどこに
収録されているのか。
著者の永井愛とこの標題で調べて
本書に辿り着いた。
P77
みんな貧しく、人情にも厚かった反面、
軽蔑や差別も露骨だった。
昔はよその子を叱る大人がいて、
共同体の教育機能がしっかりしていたと
言う人もいるが、
子供に対する人権感覚のなさから
叱っていた大人だって多い。
互いの事情を知り合っていたために、
コイツはこういうヤツだと決めつけも先に立った。
P78
個室が持てるようになり、
あの頃の「団らん」から解放されて、
人々はホッとしたと私は思う
P105
セックスがスケベでなくなる日は、
いつになったら来るんだろう ※ -
永井愛さんの痛快エッセイ集。
私の大好きな永井愛作品の誕生にまつわるエピソードも多数あって、演劇をしている自分にはたまりません。
中年、という時代の生き方について、永井さんの日々の出来事やお仕事のエピソードから紡がれる文体は明るく笑いたっぷりで、でも時々チクリとして、まさに、愛さんの作品そのもののよう。
全て読みきりなので、ちょっとした時間でも読み返せるのが嬉しい。
元気を出したいときに鞄にしのばせる一冊。 -
さいたま市立中央図書館 所蔵