- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334740221
感想・レビュー・書評
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双葉文庫の方で読んだのだが、再読記録はタイムラインに上がらないのでこちらで書く。ちなみに初読は2019年7月。
化学博士の千鶴井壮一郎が不審死を遂げて十年後、千鶴井家に残された家族が次々に死んでいく。しかも外傷も毒物の跡もなく、揃って心臓発作で。一体犯人はどうやって殺したのか。
探偵役が作家さんと同名の高木彬光。しかしこの高木探偵、どうも偏屈で頼りない。挙げ句に途中で突然離脱。
事件は助手役で千鶴井家に居候している柳の手記で語られるスタイル。
綾辻さん作品を読みふけった者としてはここに仕掛けがあるのだろうなと予想出来るものの、更にもう一捻りあったのは良かった。
あとがきにて作家さんご本人が指摘されているようにトリックや科学的事象としては?な部分もあるが、終戦直後の混乱期を舞台にしているので許容範囲。
千鶴井家の面々があまりにも極端な人々ばかりなので感情移入出来ず物語自体には入り込めなかったが、その分ミステリーに絞って読んだ。ただ石狩検事の純愛には驚かされた。
密室トリックは図が欲しかった。私の読解力不足のせいもあるが。
高木さんは「刺青殺人事件」の衝撃が大きかったのでそれに比べるとインパクトは落ちるが、当時としてはこの仕掛けも新鮮だっただろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲しいかな、この作家さんは既に故人です。
探偵作家クラブ賞受賞作です。秀逸にして快挙だと思います
古典と言えるかどうかわかりませんが、推理小説の中では名作の分類に入るのではないでしょうか。
古典作品の中では、作品の中に作者本人が登場すると聞きますが、ご多分に漏れず本人が登場します。
この作品については、あまり多くを語りたくありません。
何故ならば、構成を語るとネタバレに繋がってしまうからです。
お楽しみは、まず読んでからと言うことでお願いします(笑)
ただ一つだけ言うなれば、名探偵の存在しない定石を破った構想に基づくものとだけ申し上げておきます。
お薦め作品です。 -
高木彬光は前々から読みたいと思っていてやっと一冊手に入れて今回初めて読んだのだが、これはかなり面白い。途中からこれはあれかと疑いはしたけどラストに実はちゃんと探偵してたとかさらに犯人追加とか予想外の部分も多くてかなり面白かった。ほかの作品もできればこの光文社の新装版で揃えたいけど半ば絶版状態で第一作の刺青殺人事件はちょっと高騰してたりするし手が出ない…。重版されないかなぁ。読みたいなぁ。とりあえずちょっとずつまた読んでいきたい。
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高木彬光自身が探偵役の一冊。
神津恭介とはまた違って面白かった -
どんでん返しの連続。高木 彬光さんの初期の意欲作。
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戦後(昭和24年)発表の作品。あの当時ならではの舞台設定、密室殺人の現場に残された鬼女の能面。10年前に死亡した当主、精神病院に入れられた妻。全編手紙もしくは手記による記述、というミステリのお約束オンパレードな作品で面白かった。
作中に、海外古典の有名どころのネタばれが含まれてるので、それらが未読だった人は怒っちゃうかなぁ(苦笑) -
前から読みたかった高木彬光の作品。
高木彬光は『刺青』『帝国』『人形は』など、ちょいちょい名前は耳にしていたのだが、なかなか手に入らずこれが一作目。
で、感想だが、まず、
古典のネタバレが多い。
要注意。
クリスティ『アクロイド殺し』
ヴァン・ダイン『カナリヤ殺人事件』『グリーン家の殺人』『僧正殺人事件』
エラリイ・クイーン『Yの悲劇』
――のネタバレが含まれています。いずれも推理小説史上名高い傑作なので、未読の方は絶対に本書を先に読んだりしないように。
自分は全部既読だったからよかったようなものの、こんなんどれも知り合いにネタバレされたらぶん殴るレベル。
こんな様子だと高木彬光は信用ならんぞ。
次の作品を読むときは事前に検索しよう。しかし、逆に検索でネタバレになるかもしれないという諸刃の剣。ジレンマ。これだからミステリは困る。
内容だが、鬼女の能面や怪しい一家という典型的なミステリ要素が満載でそれなりに楽しめた。しかし作中で言われるほど目新しさはないような。
まあそんなところで星二つ。やっぱり古典ネタバレは許されないよね。
以下、本当に微妙なネタバレ。というかネタバレかも微妙な記述。
「あれはああなところを本作ではああした点が新しい」とかのたまってはいるが「あれ」と大して変わらない印象。 -
アクロイド
ウラン