怪物團 (光文社文庫 い 31-30 異形コレクション 43)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (617ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746384

感想・レビュー・書評

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  • これぞ異形コレクションというべきテーマ。
    作品群もバラエティにとんだとは言いがたいがアタリが多かった。
    好みは化野燐著「カナダマ」かな。

  • 巻を重ねるごとに、段々と読みやすくなっていっているような。
    『異形』、『怪物』、原点に戻って怪物作家たちが色々な怪物を見せてくれるのがいいですね。わたしは怪物だとか異形だとかいうものにそれほど愛着を持っているわけではないのですが、色んな怪物を『はいどうぞ御覧あれ』とこうして差し出されれば嬉しいです。

    ただ、スプラッタ=ホラーではないだろう、という作品があるのも事実。暴力に対して抱く恐怖と、得体の知れない怪物に対して抱く恐怖は質が違うのではないかしら、とは思います。アメリカ的な『立ち向かえる敵』に、『ホラー』という言葉は余り似合わないなぁ…と思う作品集でもあります。でも異形コレクションは全体的に残虐・暴力シーンが多い作品が結構あるから、これだけが特殊なわけでもない。

    それはともかく、表紙のこの人形、顔がマリリン・マンソンに見えるんですけどわたしだけですか?

  • シリーズ結構読んでいると思っていたら、全然登録していなかった…。楽しみが増えたと前向きにとらえよう。
    今回のテーマは『怪物』。文字通りの怪物ばかりで、暗澹たるお話の多いこと多いこと。
    良かったのは、『ふたりきりの町』(菊地秀行)『夢見る葦笛』(上田早夕里)『ボルヘスハウス909』(真藤順丈)。…うーん、偏ってるなぁ。

  • 2009年8月20日、初、並、帯無
    2013年3月26日、津BF

  • 20本の短編小説アンソロジー。
    このスジに詳しくないので、なんともいえませんが
    執筆陣は、菊地秀行、岩井志麻子、飴村行とそうそうたるメンバー(タブン

    本の紹介としては、「気分が悪い」。
    いや、これは褒め言葉です。
    だってそういう文章が並んでるんですから。
    既成概念を粉砕してくれます。

  • よかったのは夢みる葦笛と麗人宴。怪しい雰囲気を満喫しました。

  • テーマはそのものズバリの「怪物(團)」。そもそも怪物の別称「異形」を冠するアンソロジーシリーズだけに、我が意を得たりといったパワフルな物語が揃っている。
    オープニングの飛鳥部勝則「洞窟」続く、黒史朗「緑の鳥は終わりを見つめ」からして、いきなりフルスロットル。怪異譚としての構成にも優れた「洞窟」の恐ろしさ(鮮烈なオチ!)と、「緑の〜」の混沌をそれぞれ堪能し、前半は上田早夕里「夢みる葦笛」にトドメを刺す。不条理SFとも云える世界観のなか物語は静かに進み、やがて怪物の福音とともに淘汰が始まる。それに抗う主人公の矜持が作者の思いと重なるようだった。
    中盤、倉阪鬼一郎「牛男」は、後半の仕掛けも見事な一篇。朝宮運河「父子像」の不穏で悲しい物語にもかなり心が引きずられる。そして入江敦彦「麗人宴」はもちろん「テ・鉄輪」の一篇。どこまでも心地好い京言葉に翻弄されつつ繰り広げられる物語。この鉄輪シリーズの醍醐味は「静と動」。馥郁とした京都風情と阿鼻叫喚な怪異のコントラストが兎に角、クセになる。異形を通じて長く続いて欲しいシリーズである。
    牧野修「沈む子供」に始まる後半は怒濤。異形初登場という飴村行「ゲバルトX」のワケ判らんハチャメチャさ、平山夢明「ウは鵜飼いのウ」のスプラッターでコミカルな味わい。これぞ怪物!といった傑作。…しかし「ウは鵜飼いのウ」て…(笑) 
    後半のキモは矢張り、真藤順丈「ボルヘスハウス909」だろう。これまた飴村、平山と同じく奇天烈なパワーで背負い投げされたような一篇なのだが、そうしたキッチュなエクステリアを引っ剥がすと、実は熱い青春譚なのでは?と思える読後感。いやしかし、どんな物語でもペロリと平らげてしまう「異形コレクション」の旺盛な食欲にいつもながら平伏してしまう…。

  • 微妙かな。クリーチャー自体はあんま好きじゃないんで。これまでも散々怪物出てきてるけど、今回のは比喩的な怪物ではなくクリーチャーとして形ある怪物をメインにすえているらしい。その所為かあんまりテーマに拡がりがなかったようで。面白かったのは「洞窟」「父子像」「私とソレの関係」ぐらいか

  • 怪物團―フリークスというテーマだけあってか、このシリーズでは久しぶりにグロテスク、ナスティな作品の詰まった1冊。

  • タイトルどおり「怪物」がテーマの異形コレクション。テーマならではのパワフルな鬼畜作品が多くって、テンション高くわくわくしながら読めました。
    お気に入りは選びきれませんね。もうこの一冊がお気に入り状態。でも強いてあげるなら、朝松健「醜い空」、児嶋都「ばけもの」、皆川博子「夕陽が沈む」、岩井志麻子「暗い魔窟と明るい魔境」などなど。

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著者プロフィール

一九五六年、北海道生まれ。東洋大学文学部仏教学科卒業。
国書刊行会に入社し、ラヴクラフト作品などの企画出版を手掛ける。八六年、『魔教の幻影』で小説家デビュー。オカルト・伝奇小説を中心に幅広く執筆し、近年は室町時代を題に取った作品を精力的に発表している。二〇〇五年、短編「東山殿御庭」が日本推理作家協会賞候補。アンソロジストとしても高い評価を得ている。

「2023年 『一休どくろ譚・異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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