寝台特急殺人事件: 長編推理小説 (光文社文庫 に 1-107 ミリオンセラー・シリーズ)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746568

感想・レビュー・書評

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  • 初めての西村京太郎
    寝台特急を舞台に東京から大阪岡山門司西鹿児島まで飛び回る小説、今やなくなった交通手段であり一層舞台設定に魅力を感じる
    ただ土地ごとの描写はあまり詳らかでない

    最大のどんでん返しは富士とはやぶさの件ではなかろうか、比較的序盤であり、以降に若干の退屈さ

  • 1978年(S53)西村京太郎さん数多くの著作より自薦5編の1冊。鉄道トラベルミステリーシリーズ第一弾。東京発西鹿児島行き寝台特急ブルートレイン「はやぶさ」で取材していた週刊誌に起こる不可解な事件からの連続殺人事件。スマホもインターネットもない時代ながら深みのある物語でビックリ。十津川警部シリーズの原点凄すぎです。

  • 評価
     サプライズ ★☆☆☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★☆☆
     キャラクター★★★☆☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★★☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆

    〇 サプライズ ★☆☆☆☆
     主犯は一番疑わしい高田弁護士。黒幕は運輸大臣の武田。犯行動機は武田の裏切りと予想どおりの展開。サプライズはない。
    〇 熱中度  ★★★☆☆
     西村京太郎らしく,話運びは巧み。週刊エポックの青木という記者の視点を入れ,単調な捜査だけの話にしていない。田久保涼子殺害から始まり,はやぶさに乗っていた田久保涼子が多摩川で死亡しているという不可解な謎を提示することで興味を引いている。武田大臣殺害部分はサスペンス風の味付けもある。それなりに熱中度は高い。ただし,予想通りの展開すぎて,やや面白みに欠ける。
    〇 インパクト ★★★☆☆
     今となればよくあるトラベルミステリー。この作品が出た当時はインパクトがあったのだと思う。トラベルミステリーの原型という歴史的価値を含めるとインパクトはそれなりにある。
    〇 キャラクター★★★☆☆
     十津川警部をはじめとする捜査陣,犯人の高田や青木記者などしっかり描かれている。さすが西村京太郎というイメージ。ただし,どれもステレオタイプである。そこまで魅力的ではない。
    〇 読後感   ★★★☆☆
     高田が自首することで週刊エポックに手記が乗るが,何者かに買い占められるとうオチ。現代だと,ネットとかで騒ぎになって逆効果だろうが…。読後感は良くはないが,それほど悪くもない。
    〇 希少価値  ★☆☆☆☆
     西村京太郎の代表作の一つでベストセラー。手に入らないということはない。
    〇 総合評価  ★★★☆☆
     予定調和というか,多くの読者が予想しているとおりに話が進んでいく。多摩川で浮かんでいた女性の死体は,はやぶさで青木という記者が出会った女性だった。そして,その女性(田久保涼子)を殺害したのは一番疑わしい高田という弁護士。高田が田久保涼子を殺害したのは,田久保涼子が裏切ったため。そして,5億円詐欺事件の黒幕であり,高田を裏切った武田という大臣が殺害される。武田の悪事を週刊誌に乗せて明らかにするために高田が自首する。よくできた話である。小説としては十分楽しめた。トラベルミステリーの元祖という存在だが,各地の紹介という要素はなく,ブルートレインの紹介になっている。プロットは面白いので,名探偵を登場させるなど,もっとミステリっぽい構成にしていれば,好みの作品になったと思う。まさに可もなく不可もなくの★3で。
    〇 メモ
     週刊エポックという雑誌の記者である青木が,寝台特急はやぶさ内で美しい女性に出会う。社内ではほかに,高田という弁護士に会う。青木は,食堂車に忘れたカメラのフィルムを抜かれるというトラブルに遭遇する。その後,うとうとしてから目を覚ますと8号室にあの女とは別の女性がいることに気付く。自分がなぜかはやぶさではなく,富士に乗っていると気付き,車掌室に行こうとしたところ,殴られる。
     多摩川で女性の死体が発見される。その女性のバックの中から,週刊エポックの青木という記者の名刺が見つかる。その女性のカバンからは,保守党の武田という議員,運輸大臣の名刺も見つかる。武田の名刺は,2年前の5億円の詐欺事件で利用されたことがあった。
     週刊エポックの青木記者は門司の病院にいた。多摩川で見つかった女性の死体は,青木がはやぶさで会った女性なのか。青木は遺体を確認し,同一人物だというが決め手がない。駅員の証言によると,はやぶさの8号車からは女性が西鹿児島で下車しているという。
     青木は独自の調査で,自分が給水等のために停車する岡山駅ではやぶさから富士に乗換えさせられたのだと推理する。十津川警部達は高田に会い,遺体を確認してもらう。高田は別人だという。
     青木が乗っていたふじの車掌の北原という人物は死亡していた。十津川は高田と被害者の女性との間のつながりを調べる。結果,被害者女性は田久保涼子であり,高田が弁護した田久保信一の妻だったことが分かる
     武田運輸大臣は,寝台特急に乗って地元入りするという。
     高田の九州でのアリバイの捜査。アリバイは崩せなかった。新田という鑑識の報告によると田久保涼子は,少なくとも5時間は水に浸かっていたいう。
     運輸大臣の武田がブルートレインに乗る日。高田は大阪に行く。高田と武田は刑法の勉強会で一緒だったので知り合いだったことが分かる。勝浦沖で高梨と思われる男性の遺体が発見される。総合的に見ると,2年前の5億円の詐欺事件の主犯が高田だったのではないかという推理がされる。十津川は更に,武田が黒幕で5億円は選挙資金に使ったのではないかと推理する。
     亀井刑事のちょっとした話から,十津川警部は,田久保涼子は給水車で東京まで運ばれたのではないかと推理する。事件当日,岡山ではやぶさから降ろされたのは青木ではなく田久保涼子だった。青木は時計を進められ,周囲の人物に偽の証言をさせることで富士に乗換えさせられたのだと誤信させた。これらの田久保涼子殺害は,運輸大臣の武田殺害の予行演習だったと推理する。
     高田から,運輸大臣の武田が乗っているはやぶさに爆弾が仕掛けられているという電話が入る。爆弾騒ぎがあり,三石という小さい駅で武田達を含む乗客が降ろされる。しかし,武田は青酸中毒による窒息死という死因で死亡していることが分かる。武田たちは睡眠薬を飲まされていた。
     真相は次のとおり。高田は自分がわざと疑われるように名前を出しておき,爆弾を仕掛けたという電話をした。電車が止まる。実際に爆弾が爆発し,騒ぎになる。水道水の中に睡眠薬を入れておく。武田達は寝ているのでスキを見て,武田を青酸入りの注射で殺害する。八木三也子を名乗った女は,5億円詐欺事件の容疑者として自殺した中井良久の元妻だった。
     高田が自首し,武田と田久保涼子の殺害を認める。そうすることで,エポックに武田についての記事が載る。高田はおそらく病気

    青木康二,週刊エポック,高田悠一,中井良久,高梨一彦,田久保涼子,田久保信一,山本政夫,新田,中井朗,八木三也子

  • トリックやアリバイ崩しに多少不可解な部分がありますが、プロットはよく考えられていると思います。冒頭の週刊誌記者・青木が不思議な体験をする件はなかなか魅力的で秀逸だと思いました。緊張感が最後まで続き楽しめました。
    しかし、トリックはヒントが無いので推理のしようがなく不満でした。

  • 初の西村京太郎。久しぶりにアリバイ崩しを読んだ。
    アリバイ崩しはある程度最初の方で犯人が分かってしまうので、いかに強固なアリバイを崩すかが問題となり面白さにかかわる。
    僕としては本作よりは「点と線」の方がアリバイが崩される過程や描写がよかった。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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