密室キングダム (光文社文庫 つ 12-12)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (1240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334747107

感想・レビュー・書評

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  • 手の麻痺というハンディキャップを克服して復活しようとしていた伝説的な奇術師、吝一郎の復帰公演。脱出マジックの最中に、奇術師本人が死体となって発見され、棺、扉、衆人環視の三重密室から犯人はどうやって消えたのか?その後も、4つの不可能犯罪的な密室が、幻惑的に次々と現れる。
    1800枚という大作であり、登場人物のメモをとりながら丁寧に読んだ。密室を愛し、魅力的な謎の構築に徹底的に取り組んでいるのは好感であり、密室談義とかのペダントリーでなく、事件とその解決で惜しみなくトリックを出しているのはとても良かった。
    ただ、奇術師の死、双子、同じ館でおこる連続殺人という時点で、フーダニットとしてはあまり成立しないと思いだろうと思いながら読んではいました。ネタバレだけもし先に知ってしまったら、あまりの突拍子もないオチに壁本(壁に投げつける本)になりそうですが、ケレン味たっぷりで私は大変楽しめました。本格ミステリとはこのようなものですよ。

  • 1240頁の大長編で、5つの密室が登場する。1つ目の密室は演出も凝っており、ギミックも目新しい。傑作を漂わせる船出だったが、その後の通過点は物足りなさを感じてしまった。淡々とした描写の著者だけに、これだけの分量を読んでも、後の印象は薄くなってしまいそうだ。

  • 南美希風を探偵役としたシリーズの長編。今作は密室がこれでもか!というほどに登場するまさしく密室の王国。でも一番驚いたのは犯人に関する最後のトリックかな。確かにそこに行き着くまでに伏線は貼られていたのに全く気付かなかった。しかし全体的なトリックとしては上手いとは思うものの一気に話が動く終盤までがいかんせん長すぎる…、中盤まではひたすら謎に振り回されるばかりだった。こういう探偵小説だと刑事は無能に近い扱いを受ける物が多いが、今作は刑事たちもだいぶ活躍していたのでそういうところも楽しめた。

  • コミュニティ政策学科 3年生の方からご推薦いただきました。

    長くて読むのは大変だが、犯人の正体と伏線に驚いた。強引なところはあるが、読み応えと意外性には申し分ない。ミステリー好きには勧めます。

    資料ID:C0036552
    配架場所:本館2F文庫書架

  • 文庫で1200ページ超。普通なら分冊だろうという長さ。
    でも、長い割にダレることもなかったが、かといって「読み出したら止まらない!」という吸引力もなし。
    密室のトリックは、「おおっ!」と思うところもあったが、それより、ガラス粉砕の謎など、捜査側の心理を操るテクニックの方が面白かった。

    ただ…なぜだろう、これだけ長いものを読み通したのに、ワクワクした感覚はほとんどないまま。登場人物の心情を、文字で説明してしまうところが、もうひとつ惹きつけられない原因?
    トリックを駆使したミステリーとしては素晴らしいのかもしれないが、自分はどうしても物語として読んでしまうので、星3つ。

  • いきなりの三重密室。更に続く密室のオンパレード。タイトルにふさわしい重厚な本格派だ。

    特に興味深いのは密室謎を解くということが探偵及び警察のミスリードに繋がるという設定。機械的に謎を解けば終わりというものではなく、その密室を解かせた理由や人の内部に及ぶ影響まで考えなくてはいけない。これは非常に新しい試みでは??

    ただし、三つ子の設定は嫌だな。
    伏線は貼ってるから卑怯とは言わないが…

  • 昭和最後の夏に、札幌で起きた密室連続殺人事件。それは、伝説的な奇術師・吝一郎の復帰公演が発端だった。吝家を覆う殺意の霧の中に浮かぶ忌まわしき宿縁―。妖艶にして華麗、絢爛という言葉さえ似合う不可能犯罪の連鎖に、若き推理の天才・南美希風が挑む。瞠目せよ!そして驚愕せよ!奇跡を現出して、読者を魅了する本格の旗手が放つ渾身の巨編千八百枚。

  • 周り(特に姉)が、色眼鏡のせいか主人公を持ち上げる点が読んでいて少々不快でした。

  • 第1の密室
     「壇上のメフィスト」吝一郎の死。マッジックの途中、棺桶の中で杭を打たれた吝。3重密室の謎。

    第2の密室
     吝家のかつての使用人の死。はなれの茶室での密室。先代亥四郎の残した奇妙な遺言。引きずられた被害者。丸い形の足跡。

    第3の密室
    図書室の密室。扉の前に警察官の遺体。燃やされ屋敷の設計図。破られた時に閉められた隠し通路の扉。行き止まりの通路で発見された殴打された人物。

    第4の密室
    犯人の共犯者と思われる人物の殺害。鍵の穴から見えた仮面をつけた不審人物。足を縛られ手に手錠をかけた被害者。

    第5の密室
    追い詰められた犯人が消えた。突然の停電。暖炉で顔を焼かれた男。

     2010年1月21日購入

     2010年2月6日読了

  • 2010/1/16 メトロ書店御影クラッセ店にて購入

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著者プロフィール

1959年、北海道生まれ。1994年に「密室の矢」が読者投稿アンソロジー『本格推理3』(光文社文庫、鮎川哲也・編)に採用され、以降も「逆密室の夕べ」と「ケンタウロスの殺人」の投稿作品が採用された。98年、長編「3000年の密室」で作家デビュー。代表作は「時を巡る肖像」「密室キングダム」。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブの各会員。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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