- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751104
作品紹介・あらすじ
推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。
感想・レビュー・書評
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1841年(日本は当時江戸時代)に発表された「モルグ街の殺人」。
世界最初の探偵と呼ばれるデュパンの推理が光ります。
奇々怪々の殺人事件、戦慄の光景、衝撃の真相が心に焼きつきました。
巻末にあるエドガー・アラン・ポー年譜もじっくり眺めさせていただき、ポーの生涯にしばし想いを馳せました。
古典は読んだことがなかったのですが、思い切って挑戦してみて良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ポーです
もちろん再読ですが、当時は推理小説愛好家であれば一度は読んでおくべき必読の書として義務感みたいなのに駆られて読んだ記憶があります
基本的に頭のおかしい奴の妄言です
いろんな意味でなんか恐っ!てなる話なんですが、注意深く読み進めていくと、あれなんかちゃんとしてない?ってなるんです
唐突にあれすごいロジカルじゃない?っとことに気付くんですな
そこらへんが未だにポーが読まれている所以なのかと思ったりします
そしてポーと言えば江戸川乱歩の名前の元になったことでも有名ですよね
エドガー・アラン・ポー→江戸川乱歩
初めて知ったときに、すげーセンス!となぜか感動した覚えがありますが、本人は結構テキトーに付けたって話もあります
そしてそして探偵小説の始まりとされる『モルグ街の殺人』ですが、初めて読んだときに、なんかちょっとずるいって思ったのを思い出しましたよ
一番最初でこんなことしちゃだめだろって
もちろんポーは最初の探偵小説なんて言われることになるとは思ってもいなかったでしょうけどね-
すげーセンス!いやセンス関係なかった
乱歩が高校生って戦前じゃなかったけ?歴史のある高校なんだね〜すげーセンス!いやセンス関係なかった
乱歩が高校生って戦前じゃなかったけ?歴史のある高校なんだね〜2023/04/05 -
2023/04/05
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2023/04/05
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翻訳の小川高義さんの力によるところもあるとはおもうけど、今から180年近く昔、日本では江戸時代の後期にあたる時期に書かれたとは思えないくらい読みやすくて面白かった。
特に「早すぎた埋葬」はものすごく怖かった。
「モルグ街の殺人」が推理小説の元祖だと解説を読んで初めて知りました。
いわゆるエンタメである「推理小説」っていうジャンルを確立したことが本当に凄いと思うけど、推理小説として面白いかどうかというとそんなに面白くなかった。
良心と邪悪さの対比や、ダメなことだと思えば思うほど実行したくなる人の心の描写がうまくてとても怖さを煽るけれど、ポーはお酒が原因で体調も精神も不安定だったようで、もし素で頭の中がこんな感じだったら相当アレだと思った…
巻末の解説、年譜、役者あとがきがとても読み応えあり。 -
森晶麿さんの『黒猫』シリーズ(早川書房)を読んで、ふと本家を読んだことがないことに気付きました。
怖そう…と思い読めずにいたポー作品に挑戦です。
本書には表題作を含め、8編の短編作品が収められています。
「理詰めの芸術派」と評されているように、じわじわと読者を恐怖の真綿で包みこんでいく感じでした。
「黒猫」ラストシーンの鮮やかな惨たらしさに、心拍数が上がってしまいました。
「ウィリアム・ウィルソン」や「告げ口心臓」などで描かれる、主人公が自分自身に追い詰められていく様子は、結末を見届けずにはいられない不気味さがあります。
訳者あとがきに「ポー作品の話の運び方が落語に似ている」と書かれていたのですが、言われてみると確かにそう感じます。
他のポー作品も読んでみたい、と思わせるクセになる感じも落語に似ているような気がしました。 -
「黒猫」の恐怖を再認識。最後の段落の色彩表現に震え上がる。初読の際にトラウマになった「早すぎた埋葬」は意外にあっけらかんとしたラスト。「翻訳は一種の探偵業」と語る訳者による「解説」は必読。新訳文庫らしいお勧めの1冊
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いやはや、ポーである。
普通の小説を「、」や「。」の句読点だとするならば、この短編集を読んだ読後の印象は「!」や「!!!」の感嘆符だ。
そんな印象を受けた僕が末尾の解説を読んで連想するに、ポーとは映画で言えばスピルバーグであり、漫画で言えば楳図かずおなのではなかったか!!と思うのだった。
「黒猫」~去らぬ黒猫の記憶=自虐の発露
「本能VS理性ー黒い猫について」~人間のみが理性的か?
「アモンティリャードの樽」~なぜ俺を罰しない!?
「告げ口心臓」~行き詰りの呵責
「邪気」~だめなことほどやってみたくなるだろう?
「ウィリアムウィルソン」~待っていたのは大鏡
「早すぎた埋葬」~マイナスベクトルの想像力パワー
「モルグ街の殺人」~戯画化された究極の分析力と知性
江戸川乱歩がこの名前を選んだのは、やはりベクトルが同じなのだな、と納得できた。 -
ぞくぞくぞくぞく
恐怖が頭でなく、心でもなく、皮膚にまとわりつく感覚。首筋に氷を当てたようなとはまさにこのこと。ふるい落としたい、でも落ちない、なぜなら「私」も「モントレサー」も「ウィルソン」も、多分、自分の中のどこかにいるから。恐怖。 -
<事>
実は知念実希人の『硝子の塔の殺人』を読んでいる最中に、この『モルグ街の殺人』が世界で初めての「推理小説」と云われていることを知って、それなら再読してみようか的な気分になった。『モルグ街の殺人』は1841年に発表された短編小説。作者はもちろんエドガー・アラン・ポー。ポーの作品としては『黒猫』の方が有名で代表作ともなっているらしい。だって我が住む町のTSKで借りた本の題名は『黒猫/モルグ街の殺人(その他短編)』だったのだから。
ポーがこれらの作品を書いて発表したのは1840年代である。なんと200年近くも昔の事。もちろんアメリカで,まずは雑誌などに載ったのだろう。ちなみにその頃の日本はと云うと江戸時代末期。まだちょんまげを結った侍がそこいらに普通に居た時代なのだ。
本書は短篇集だけれど本当に短い作品が多い。十数ページの作品が何作かある。長編に比べて短編小説を書くのは難しい,とよく言われるがそりゃそうだろーな。こんなに短く終わってしまうのに面白い作品を書くには例えば『黒猫』の様な飛びぬけた○○性などが備わっていない限りそりゃあ難しいだろう。
本書の特徴。文章が非常に短く句点で切られている。(これはもしかするとポーの作品全般に言える事なのかもしれないけれど、確かめてみるつもりにはなれず。すまぬ)そういう点では読みやすいのかもしれないが、いかんせんなかなか内容が頭の中に入って来ない。興味の沸く単語がちっとも出てこないのだ。
更にこれは『モルグ街の殺人』に限ってのことだが、普通は会話文に用いられて(「 )で始まったら必ず( 」)で終わるはずの(「 )が、文章の頭に頻繁に使われているのだがそれは会話文でもなく また最後を( 」)で閉じていない。次の文節はまた文頭から(「 )で始まるのだ。僕はこういう文章を始めて見る。
でもどうやら会話文ではないが、独り言でしゃべっている文章 の様にも解せる。もう少し詳しく書くと,のっけの部分は新聞に書いてあることの様,そして後半はパリ在住の例の探偵が事件の状況について独り語りで説明しているのか? これはもちろん著者ポーではなく翻訳者がこのような(「 )の使い方にしたのであろうが、これは果たして正しい日本語なのだろうか。気になる。どなたか経緯や名答をご存じの方は教えれ下さると大変に嬉しいです。
加えて、先だって96歳の高齢で亡くなった方にまつわる興味津々の記述があったので調べた。せっかくなのでここに書き残しておこう。『ウイリアム・ウイルソン』という作品の冒頭部分での情景説明に「(中略)・・・まるでエリザベス女王時代の様だ」という記述がある。ポーがこの作品を書いたのは1840年代。その時代のイギリス国王を調べる。その頃の君主はヴィクトリア女王。
そしてイングランドの君主だったエリザベス(1世)女王が即位していたのは17世紀初頭。つまりポーの時代からしても200年ほども前なのだ。しかもその頃は未だイギリス(UK)ではなくてイングランド単国の時代なのであった。とするとエリザベス1世と2世の間は400年近く開いていることになる。いやーイギリスの王政制度ってのはいったいどうなってんだ!? あ,おあとがよろしいようで。すまぬ。 -
コレは面白い。読み終わった後に、思わず『おもしれー』と、声が漏れました。いまから190年近く前の作品たちですが、どれもコレも内容は秀逸で、暗くて、怪奇的です。アメリカで発表された時、日本に初めて入ってきた当時の読者の感想や驚きが、今からでは全く想像できません。中でも黒猫、ウィリアム・ウィルソンは素晴らしいですね。モルグ街の殺人はとても有名なので一読したかった作品です。当時のヨーロッパの空気感を感じる素晴らしい内容でした。