- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752576
作品紹介・あらすじ
晩年、孤独を強いられたルソーが、日々の散歩のなかで浮かび上がる想念や印象をもとに、自らの生涯を省みながら自己との対話を綴った10の"哲学エッセイ"。「思索」ではなく、「夢想」に身をゆだねたその真意は?他作品との繋がりにも言及した中山元氏による詳細な解説が付く。
感想・レビュー・書評
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初めてのルソーでした。
彼の哲学は個人的には少し共感もありました。
自分の置かれている身にとっては、良い本に出会えました。
ルソーという人物が知りたい方、初心者にはこの本が良いかもしれません。
彼は繊細な方だという印象を受けました。
訳が非常に分かりやすく、また読みやすかったです。
光文社も初めてでしたが、これから躊躇なく手に取ろうとも思いました。
なんか、ルソー可愛かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
徳を積むという行為は、特別なことをしなくても、日常の生活の中にあることがわかった。
『方丈記』鴨さんと同じ行為で精神を落ち着かせるのに驚いた。時代も国も違うのに、同じものにたどり着いている。人間の本能なのだろうか。 -
迫害という真実とそうではない被害妄想に囚われたルソーが世間を忌み苦しみながらもどう生きていくか、という本。
夢想をし、植物研究に熱中し、己を肯定する為に自己弁護と理論武装をして未来の読者に向けて(ルソーはあくまでも余生のためと書いているが)託したかったのだろう、正直なところ救ってほしかったのかもしれない。
個人的に人間臭いルソーが苦手で、でもこの丁寧な解説があるのに、苦手なんて言えないよねと思った。
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ここにいるのは人間ルソー。歴史上の偉大な人物ではなく、いや、でもありつつ等身大のルソーがいる。勘違いかもしれないけど、ここに書かれている感情、情動の多くは私でも体験したことがある。素晴らしい著作だなぁ。
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図書館で借りたが、すごく良かったので自分で買って手元に置いておくことにした。
第五の散歩、サン・ピエール島の話は全てが美しくノートに書き写したくなった。 -
ルソー初読。エセーを読んだ時も思ったが、教科書で学んだ哲学者たちの著作を大人になって実際に手にしてみると、想像以上の人間臭さに驚く(学生時代に背伸びして読んだカントからは全く感じなかったが…)。思想を吟味するというよりは、親近感をもって軽く読んでしまった。また読み返したい。
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フランスでは、青少年が一度は手にとって読む本だという。
社会科でも習った宗教改革の箇所で必ず出てくるルソー。
人生の晩年は、教会からも、学会からも弾圧、無視され寂しい人生だったようだ。
それらからの疎外感に憤りを感じて憤死してしまうような日々を送っていたが、怒りも一巡すると静かに自分自身を見つめる時間に変わる。
そんな自分自身を見つめる10章。
遺作となる。
冒頭から読み始めないで、訳者後書きや、80ページにわたる解説から読むと、どうして冒頭から怒りに満ちた作者の心情が読み取れる。 -
ルソーの著書『エミール』が禁書処分になり政府に追われ、迫害されている時期にルソーが書いた夢想の書。思索のように真理を追究するものではなく、あくまで自己の追求を目的としているため、タイトルが「夢想」となっているそう。さらに「夢想」は誰にでも実践可能のように見える。自分のための書としながらも、文中ではどこか読者を想定している感がある。ルソーってなんかかわいいな…。夢想は、老いや嘘、道徳、自然などをテーマにして自己の分析や再認識を行っている。「夢想」は自分がどう生きたいか考えるきっかけになるかもと思う。
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晩年のルソーが、
故国フランスを追われ、社会から断絶された状況下で、
過去の華々しい栄光と栄華を忘却の彼方に見ながらも、
今を生きることの幸せと儚さを、独り言のように綴った日記のような書。
人間不平等起源論や社会契約論を著して
フランス革命思想に貢献したルソーが
これほどに理不尽と思える仕打ちを受けるのか
と思いたくなる。
最後には革命軍によって、
亡骸はフランス故国へうつされたようである。
ルソーという人間がまたひとつ深く知れる書。