ロビン・フッドの愉快な冒険 (光文社古典新訳文庫 Aハ 9-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334754051

感想・レビュー・書評

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  • 13、14世紀に実在したとも言われる森に住む盗賊達のエピソード。森に差し掛かった人たちから半ば奪い取るように貰いつつも鹿肉やエールでもてなし、芸や武勇伝を聞かせて楽しませることで例え悪役でも愉快な時間を過ごす。
    弓使いの名手にして人望のあるロビンが仲間を従えて法に縛られない自然に満ちた生活を送る様は痛快であり、憧れる。読んでいる際ロビンと恋人のエピソードがないのは不思議ですが、そこはやや納得は出来ないものの解説にて触れられていますね。
    終盤のフィンズベリーで弓使いの大会に出場したあたりからのエピソードが特に好きです。
    シャーウッドの森にはロビンフッドゆかりの観光地があるとのことで、いつか訪れたいと思いました。

  • 吟遊詩人の口上のような描き方に慣れるまでに時間がかかる
    短編の話がいくつかあり、ロビンフッドの仲間との出会いや冒険(喧嘩を売りに行く)を描く
    エピローグとしてロビンフッドの最期の話があるが、それまで面白おかしく気ままに暮らしてきたロビンとのギャップが大きかった
    思わず最期は涙
    登場人物の愛情の深さ、シャーウッドの森の魅力に引き込まれる
    私のお気に入りはウィルスカーレットのバラ片手に優雅に登場するシーン
    伝説として語り継がれるロビンフットについてもっと詳しく知りたくなった

  • オーディブルで聴いたのは『こどものための聴く名作』。登録できないのでこちらを代理登録。

    昔アニメを観ていて好きだった。
    原作知らないなと思い聴いてみた。
    ロビン・フッドの最期がまさかこんなショッキングだとは。
    仕えたリチャード1世が亡くなり、ジョン王から憎まれ、匿うのを恐れたシスターが、病の治療のためと偽って血を抜き、老ロビンを死に至らしめた。
    えー、バッドエンドじゃん!
    獅子心王リチャードに召し抱えられた所で終わりじゃないのか。この最期を知れただけでも聴了してよかった。

  • 人情に厚く、弱きを助け強きを挫く色男のロビン。なのに時々ひどい目に遭っては子分たちに笑われるという格好悪さがなんともいい塩梅で、愛すべきキャラクターだ。季節と同様に年月も移ろうことを感じさせるエピローグはうら寂しいが、寂しさだけではなくそっと読者の背中を押す力も感じた。自分はエールもビールも苦手なのだが、この物語の中ではとても美味しそうに感じられるから不思議。

  • 最近はまり出した「少年時代に読んだ童話を原本で読み返す」シリーズ。
    ちなみに当時の童話翻訳本のタイトルは「愉快な」が抜けた『ロビン・フッドの冒険』で、正直そっちの方がシンプルでかっこよかったと思う。

    何十年ぶりに読んでみた感想は一言でいうと12世紀のヤンキー物語。

    ロビンがはぐれ者と出会って喧嘩して、友情が芽生えて仲間になり、また新たな相手と喧嘩して仲間が増えていく、ひたすらそのくり返し。
    出会い方も毎回同じで、ロビンやリトル・ジョンが道を散歩中に、向こうから喧嘩相手が歩いてくるというひねりのないパターンが毎回続く。

    舞台がシャーウッドの森じゃなくて横浜か湘南で、盗むのが鹿じゃなくてバイクで、武器が六尺棒じゃなくて金属バットなら、お話の展開は「特攻の拓」みたいな90年代のヤンキー漫画と大して変わらない。

    少年の頃の記憶とずいぶん違う物語だったが、話の筋がこんなに単調でも終始読ませる力があるところは、さすが十世紀以上も語り継がれている伝説。

    あとがきにも書かれているが、ノッティンガムの長官やヒヤフォードの大僧正がロビンのことを憎みながらも、いざシャーウッドの森の宴に招待されるとまあまあ楽しんでしまうところ等は、人間の複雑さをかいま見せる。
    童話として秀逸だと思う。
    少年時代の私も、きっとこういう場面を読んでは言葉にならない感情を受け取ったのだろう。あんまり覚えていないが。

    タック修道僧との川の渡し合いの下りは舞台の喜劇を見ているようで、思わず吹き出してしまった。
    ロビン達にはこのままずっとこの調子で暮らしをしていってほしいと願わずにはいられない。
    この物語、恋愛の要素が省かれていて、ロビンの恋人のマリアンもまったく登場しないのだが、大人向けにそっちのやり取りも見てみたくなる。

    しかし、若くして人を殺めたロビンの後ろ暗さは陽気さの裏に存在している。
    童話の冒頭で主人公が殺人を犯したら子どもは相応のインパクトを受ける。
    そうした以上物語として逃げ続けることはできず、最後には罪の精算をしなければならなくなる。

    ハワード・パイルのすごいと思ったところは、主人公の殺人を子供向けの読み物として正面から取り扱い、しかし陽気さを失速させずに描ききったことか。

    原典のバラッドのほうではロビンは十四人も殺したようで、さすがにそれをそのまま適用するのは厳しい。
    思い切って、ひとりも殺していない展開にすることはできたはずだが、あえてパイルはひとり殺したという十字架をロビンに背負わせた。

    ギズボーンのガイを殺して二度目の殺人を犯したところで、忘れかけてた最初の罪が宿命となって表出する。
    一度は王のもとで伯爵にのぼり詰めながらも、最期は森に戻り、王の兵と戦ってロビンは死ぬ。

    戦場で勇敢に戦って玉砕したのではなく、たまたま出会った修道女の悪意によって致命傷を与えられてだ。

    平和な死を迎えられなかったこと、しかもなんとなくかっこ悪い微妙な死に方をしたことで伏線が回収される。
    過去に行った所業が、回り回っておのれに跳ね返ってきた。
    だから英雄的には死ねないのだと解釈した。

    そういえばロビン・フッドは最期に捕まるか何かして死ぬということだけは、童話を読んでから何十年たっても覚えていた。

    当時読んだ名作文学の中では、ああ無情(レ・ミゼラブル)と同じくらい、主人公の死の印象が深い物語だったな。

  • 『ロビン・フッドの愉快な冒険』 アーカイブ - 光文社古典新訳文庫
    https://bit.ly/3o9UeAL

    ロビン・フッドの愉快な冒険 - 光文社古典新訳文庫
    https://www.kotensinyaku.jp/books/book304/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
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      2023/04/13
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