フランス革命についての省察 (光文社古典新訳文庫 Bハ 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (628ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334754303

感想・レビュー・書評

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  •  保守思想の古典との評価の高い本書について、バークの思想といった形では良く取り沙汰されているので、何となく知識はあるといった状況ではあったが、漸く完読することができた。

     まずもって、本書がフランス革命勃発の一年後、1790年に発表されていることに驚かされた。革命が急進化して、国王一家の処刑、反対派の粛清といった恐怖政治に至ったところを批判していたのであろうと勝手に思っていたのだが、そうではなく、かなり初期の段階から、革命に潜む問題状況を洞察していたことを知った。
     国民議会の性格や、宗教、司法、財政、軍事に渡る改革について、その問題点を一つひとつ具体的に解き明かしていく各論も鮮やかであるが、理性万能思想に対する懐疑、伝統を尊重せず破壊に走る傾向性に対する忌避といった骨太の思想に強く感銘を持った。

     バークがこのような思想を持つことができた背景には、故国イギリスにおけるマグナ・カルタから清教徒革命、王政復古、そして名誉革命に至る歴史を踏まえた、憲法及び議会制に対する深い思索があったのではないかと、本書全体を通読して学ぶことができた。

     つまみ食いではなく、頑張って通読することが、特に古典には必要だと、改めて思ったところである。

  • 革命勃発後わずか半年の段階で、その後の革命の進展をほぼ正確に予言している洞察力にまず大きく驚く。フランス革命のような世界史出来事を同時代で経験すると、まず熱に浮かされたような興奮に包まれてしまって、冷静にモノゴトを見れなくなりそうなものだが、イングランドの老政治家の人間世界に対する眼力の凄さには敬服しかない。

    本は、フランスの青年貴族に当てた書簡の形で進む。(実際に出された手紙が元になって出版されている。)従い、章番号や小見出しは原著にはないが、翻訳版では理解を助けるために追加されている。その見出しから。

    P397 予言 — 君主政が復活すれば専制になる可能性がたかい。

    P453 予言 — いまの司法制度は寡頭政治への道具になる。

    P457 予言 ー 国の支配者は軍部から現れる(ナポレオンの出現


  • 保守主義の古典

  • エドマンドバークによるフランス革命批判。
    保守主義の本質と立憲君主制の利点を説く。

  •  「保守」とはなにか、そんな疑問に答えてくれる名著が本書である。著者エドマンド・バークはイギリス出身で、ホイッグ党所属の政治家として長年政治に携わった。ちなみにホイッグ党とは、議会を重視する政党であり、ゆえに昨今の議会政治のあり方を考えるうえで重要な本である。
     エドマンド・バークは「保守主義」としてあるべき条件として、①壊さないこと②今あるものをうまく活かす、この2つが大切である。つまり、「革新」のように、全てを一気に変えるわけではないが、かといって、全てのものを変えないわけではない。重要なのは、変えていくべき箇所は適宜修正すべきであり、もし修正した箇所がある場合、慎重に検討を重ねて実行しなければならないのである。段階的に政策を進めていくのが、保守系政治家としてあるべき姿なのである。
     また、本書の最後に人気取りの政治、いわゆるポピュリズムに関して批判してるのが興味深い。たしかに政治家にとって、より多くの有権者に投票されることを望む。しかし、そのために政治家同士が不毛に争うのは、国家構築に役立たないと指摘している。
     上記以外にも、財政、軍事など、昨今の政治経済に繋がる箇所があるので、今読んでも十分な価値がある。

  • 235.06||Bu

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著者プロフィール

政治思想家

「2020年 『[新訳]フランス革命の省察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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