ポリス猫DCの事件簿 (光文社文庫 わ 10-12)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766061

感想・レビュー・書評

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  • 猫島臨時派出署にたった一人で勤務している七瀬晃巡査と、丸顔で目つきの悪い太ったドラ猫(ポリス猫DC)が絶妙のコンビで事件を解決していく。

    〈猫島ハウス〉の響子ちゃんや、猫島神社の宮司さんなど、「猫島ハウスの騒動」に出てきたひとたちに再会できて、リピーターのような気分で楽しめました。
    「プラスマイナスゼロ」の三人娘が駆け抜けて行ったのも見逃しませんでしたよ。

    〈キャットアイランドリゾート〉の裏手の竹藪で不発弾が発見された事件で、不発弾処理の際に、島民よりも猫の避難に力を入れてるとこなんか、猫島らしくて面白かったです。何と言ってもこの島の主役は人間ではなく猫ですから。

    一話完結編のようだけれど、最初と最後に、ポリス猫DCがこの島に来たいきさつと、七瀬巡査との出会いが書かれていて、なんかしみじみとしてしまった。
    ポリス猫の活躍、みごとでした。さすが探偵猫ですね。

  • 「葉崎市シリーズ」の7冊目。また元に戻って光文社。

    「猫島ハウスの騒動」でとても頑張った巡査の七瀬くんとポリス猫DCのお話。
    猫島で起きる様々なトラブルを描いて短い話を一話完結させながら、全体として大きな事件につながるというお話。みたいに最初のほうでは思えたのだけど、時折まかれた伏線は一応最後の話につながりはしても、そこまで効果的でなかったような感じ。
    お話も色んな趣向があって作者としては楽しんで書いているのだろうけどがちょっと間延びしたものもちらほら。
    ポリス猫DCが意外にしっかりした探偵猫(Detecitive Catだったとは)で、それに引きずられるように前作では小間使いだった七瀬くんも結構洞察力に優れたところを発揮するのが見どころ。
    「猫島ハウスの騒動」でお馴染みの人たちがに加えて、駒持警部補や角田港大先生は勿論ユーリ(プラスマイナスゼロ)や前田紅子さん(古書店アゼリアの死体)まで登場する賑々しさを楽しむ本。

    これでようやく「葉崎市シリーズ」で文庫になっているものは読破した。去年出た「パラダイス・ガーデンの喪失」が文庫になるのを待つとする。

  • 「葉崎市シリーズ」5作目読了。
    人間よりも猫の方が多い通称・猫島で巻き起こる、事件というより騒動と呼ぶに相応しいあれこれを描くコージー・ミステリ連作短編。

    島の派出所に勤務する真面目だけどどこかお気楽な警官・七瀬と、目つきの悪いポリス猫・DC(detective catの略だと今回初めて知った)が絶妙なコンビネーションで活躍し、事件をかいけつに導くというパターン。

    猫島の物語を読むのは2作目ともなると、七瀬くんを初め、島の住人達ももはや知り合いの様相。島の地理もしっかり頭に入っていて、さながら猫島にいるかのように物語を楽しめる。
    本当に猫島があったなら、行って七瀬や響子ちゃんやDCに、そしてもちろんガスマスクをつけた猫アレルギーの駒持警部補にも会いたいな〜。

    事件そのものはコージーだけあって、島の濃い人間関係に埋もれた感があるが、それでもちっとも不満はない。
    巻頭と巻末に置かれたDCの生い立ちと七瀬に会うまでの顛末はちょっと泣ける。DCのお陰で成長した七瀬を見られた今作、次作があるなら、派出所卒業の七瀬とDCとの別れになるかな‥‥と思うと読みたいような読みたくないような。

    すっかり和みました。

  • 若竹作品特有のなんとも損している気がする主人公に、襲いかかるたっくさんのトラブル。
    猫がたくさんの島、もちろん架空だけど、楽しそうだなあ。住むには本当の好きが必要だけど。動物を大切にしない人への報復も描かれているところも好き。
    事件はでも、いつもごっつり。昔の謎が出たり殺人者が上陸したり。
    おまわりさんが猫島のこと好きで、人が良いから起こることもあるけど、それで事件が解決もする。うまいんよなあ…
    最後のDCとおまわりさんとの出会いの章、すごく好きだった。

  • 葉﨑市シリーズ六作目。

    ああ、猫島に住みたい。
    加熱だけど温泉が出て、
    平日はもりとかけだけだけど蕎麦屋が出来て、
    葉﨑市の猫島はさらにパワーアップしていた。

    でもかなり個性的でないと住民にはなれないようなので、
    猫島海岸がいいところかな。
    美味しい定食屋が住宅街にできたらしいし。
    ランチや週末の忙しい時にアルバイトで通うのはどうだろう。
    でもそれだと、いかにのんびりした葉﨑市でも暮らしていけないか。
    まあ、でも賄いをだしてもらえれば、とりあえずは生きて行けるかな。
    百匹の猫たちだって、暮らしてるんだから。

    今回は猫島臨時派出所のポリス猫が主人公。
    七瀬巡査を手伝わせながら、大小の事件を解決していく。
    一番面白かったのは、最大の山場は、不発弾処理の現地説明会で、
    市長が猫を軽んじたことで怒号飛び交ったところ。

    それと、
    「プラスマイナスゼロ」の三人組が、
    幸せのハート猫を追っかけていたのを、読み逃さなくて良かった。

  • DC、色々苦労してたんだなあ。無事に島猫になれてほんとに良かった。いい相棒と、たくさん活躍しておくれ( ´∀`)

  • 総合評価
     7つの短編とプロローグ,エピローグからなる短編集。一応,「相模湾女性連続殺人事件」という全体を通じた事件があり,その断片が各短編で描かれるという趣向があるがおまけ程度。成功しているとは言い難い。プロローグは「ポリス猫」であるDCが猫島に来たときの話,エピローグはDCの視点による話がおまけとして描かれている。シリーズやDCという猫が好き人であれば楽しめるのかもしれない。
     7つの短編はよくて標準点程度。ミステリとしての完成度が低い作品もある。猫島を舞台としており,登場人物にも共通点が多い。猫島を舞台とした群像劇としてキャラクターの活躍を楽しむ小説として読んだ方がよい。
     文体やキャラクター若竹七海らしいが,ミステリとしての完成度は若竹七海としては標準点以下だと思う。若竹七海の文体が合うのであれば楽しめると思うが,個人的には,若竹七海の文章は散漫で冗長と感じてしまい,読むのに時間が掛かってしまった。その割にはさほど面白くなかった。総合評価は★2

    メモ
    〇 ポリス猫の食前酒
     プロローグ。ポリス猫DCが猫島臨時派出所に連れてこられたときの話

    〇 ポリス猫と多忙な相棒 ★★★☆☆
     ケイという人物が死のうとしている話。同時に,猫島臨時派出所で働く七瀬の先輩が登場。横浜の猫屋敷殺しの謎解きが出てくる。ケイという人物がSOHBIというアーティストのファンの大人の女性だと思わせる叙述トリックがあるが,実は小学生だった。横浜の猫屋敷殺しは,トキソプラズマ症で流産となった娘の犯行をにおわせる形で終わる。
     短編らしくしっかりまとまった話。二つのエピソードにつながりは薄いが,それなりの完成度。★3

    〇 ポリス猫DCと草もちの謎  ★★★☆☆
     20年前の三上という男による静原亮二殺人事件の謎と,草もちの中に入れて黄金の猫像を盗もうとした事件の謎が併せて語られる。20年前の事件も,現在の事件も,モノをくわえて持って行く猫が事件のポイントになっていた。あと,ポリス猫DCがキャットアイランド・リゾート近くの土管の中に入って出られなくなるという事件が語られ,あとの事件の伏線になる。
     雰囲気は面白いが,語られる事件は平凡。まぁ,短編だからこの程度か。★3

    〇 ポリス猫DCと爆弾騒動 ★★★☆☆
     日向徳という人物の犯罪シーンが冒頭から描かれる。これは叙述トリックで,猫殺害を殺人だと思わせる書き方。これはメイントリックではなく,すぐに明かされる。このとき殺害されそうになった猫が逃げ,見付けた人に賞金10万円という話がある。猫島で不発弾騒ぎがあって,猫も含めて避難をする。猫島から人がいなくなるタイミングを狙って空き巣が出るが,七瀬が気付いて阻止。10万円の賞金が出ている猫が見つかるが期限が過ぎているというオチ。ミステリとしては平凡。雰囲気を楽しむ作品。★3で。

    〇 ポリス猫DCと女王陛下の秘密 ★★☆☆☆
     猫島まつりにイギリスのマン島のヴィクトリアを呼ぶという話。イギリスのマン島はマンクス猫発祥の地だけど,ヴィクトリアはフィレットだったというオチ。猫島まつりには偽のヴィクトリアというマンクス猫が来る。この猫と間違えてポリス猫DCが誘拐されるという話。怪談話も絡めて書かれる。短編なのに非常に読みにくい。もう少しシンプルに書けないものか…★2で。

    〇 ポリス猫DCと南洋の仮面 ★★☆☆☆
     長咲堂と似勢屋という2件のお菓子屋の対立と,長咲屋の7歳の娘と似勢屋の猫の家出の話。水口徳子という老女が施設に入ったが,その後地に長咲堂と似勢屋のどちらが入るか争う。オチは水口徳子の甥が水口の店の後にフレーク製菓の店を出そうとしていたというモノ。7歳の娘は猫島で見つかる。ミステリ的要素は薄く,話としても面白くない。★2

    〇 ポリス猫DCと消えた魔猫 ★★★☆☆
     土倉天童という彫刻家が作った魔猫の像をめぐる話。持ち主が離婚調停中に高価なものだと判明した魔猫の像を盗まれたことにしようとした話。オチは原アカネがオブジェの中に魔猫の像を入れていたというオチ。これは若竹七海らしい,日常の謎系のそれなりにまとまった話。★3で。

    〇 ポリス猫DCと幻の雪男 ★★☆☆☆
     相模湾女性連続殺人事件の話。最初の被害者は石坂玲。次は羽島波留。続いて羽島波留の関係者の篠本洋子殺害される。容疑者は油川良雄。猫島では平井泉美達一行の窃盗事件騒動があるが,七瀬はこれを狂言と見抜く。油川が隠した拳銃はポリス猫DCと草もちの謎でCDが入っていた土管の中にあった。そして,相模湾女性連続殺人事件の真犯人は油川良雄の内縁の妻の緒方優美だったというオチ。これまでの短編をつなぐ趣向がある話だがそれほどの完成度ではない。飽くまで全体をつなぐ趣向はおまけという程度。短編としての完成度もそれほど高くない。★2

    〇 ポリス猫のデザート
     DCだと思われる猫の夢の話。DCが殺人事件の解決に役立った話などが猫の視点で書かれる。最後は七瀬との出会いで終わる。エピローグ的な話。おまけ。採点対象外

  • ゆるい。何ともゆるい。外れたネジは1本だけではなかろう。

  • 葉崎シリーズ第7弾。「猫島ハウスの騒動」の続編。七瀬巡査と相棒猫のDCが活躍するコージーミステリ。島民や観光客の騒動や大きな事件が勃発したりの連作短編集。どれも楽しいです。島の住民が今作も良い味出していました。

  • ミステリ 「葉埼市シリーズ」第7弾
    「三十人ほどの人間と百匹以上の猫がのん気に暮らす通称「猫島」。島の臨時派出所の巡査・七瀬晃の相棒は、丸顔で目つきの悪いでっかいドラ猫、DCだ。個性的すぎる島民や困った観光客が引き起こす騒動にてんてこまいの毎日。そんな中には、大きな事件も隠されていて…。お気楽だけど真面目な青年警官とポリス猫が、意外な(?)活躍を見せる傑作コージー・ミステリ。」

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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