セント・メリーのリボン 新装版 (光文社文庫 い 39-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334776725

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  • 稲見一良『セント・メリーのリボン 新装版』光文社文庫。

    新装版となり、表紙イラストが谷口ジローさんであったことから購入、再読。新潮文庫、光文社文庫の旧版でも、谷口ジローさんの劇画版でも読んでいるのだが、何度でも読み返したくなる大傑作である。

    稲見一良さんの『男とはこうあるべき』という強いメッセージが伝わって来る『焚火』『花見川の要塞』『麦畑のミッション』『終着駅』『セント・メリーのリボン』の珠玉短編5編を収録。新装版では新たな解説が収録されている。

    『焚火』。ピカレスク・ハードボイルドの掌編。反社会的勢力に追われる男とたまたま男を助ける孤独な老人。老人の正体は明かされないが、何故かそれが当たり前のようにハマっている。

    『花見川の要塞』。奇妙でどこか懐かしく、冒険心を刺激される短編。カメラマンの主人公が花見川のトーチカで出会った老女と少年……

    『麦畑のミッション』。イギリスのバークシャーを舞台にした爆撃機乗りの荒くれ兵士たちを描いた短編。優しき父親と息子の物語でもある。

    『終着駅』。年老いた東京駅の赤帽、手廻り品運搬人を主人公にした物語。前半は人間臭いドラマが描かれるが、後半になると一転……予想が大幅に覆さえられる。

    『セント・メリーのリボン』。表題作にして、何度でも読み返したくなる大傑作。失踪した猟犬捜しを生業とする竜門猟犬探偵舎の竜門卓に盲導犬の行方を突き止める仕事が舞い込む。竜門は相棒の猟犬ジョーと共に調査を進めるうち、父親と二人で暮らす目の不自由な少女に辿り着くのだが……ラストに感涙。

  • 古風なハードボイルド小説です。
    映画の1シーンだけを切り取ったような話が何個かあり、消化不良な気がしてしまいますが、オチを期待してしまう現代人の悪い癖でしょうか。でもそんなに昔の小説でも無いのですが古典の趣きが有ります。
    表題の「セント・メリーのリボン」が一番長くて一番胸に残る話です。猟犬失踪専門の探偵という設定自体が非常にファンタジーな感じしますが、しっかり地に足着いた商売に感じてくるのは書き方の説得力によるものでしょうか。
    他の作品も外国の古典の翻訳を読んでいるような魅力があります。古臭い骨董品のブーツのようなかっこよさです。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    失踪した猟犬探しを生業とする探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方を突き止めてほしいという仕事が舞い込んだ。依頼者は資産家の令嬢。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが…。胸を打つラストシーンが待つ表題作を始め、限りなく優しく誇り高い男たちの人間模様を描き出す永遠の感動作!

  • 学生の頃、読んだことがあるので再読になるが、それでも泣けてくほどの傑作。

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