バラ色の未来 (光文社文庫 ま 25-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334778859

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  • 『バラ色の未来』真山 仁著
    ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    1.内容
    国内のIR初誘致。
    低迷する地方か?それとも総理のお膝元か?
    ①外資カジノ運営会社②政府③メディア④広告代理店。
    この4者が、IR誘致というプロジェクトに対して対峙しあう。

    2.真山さんのメディアに対する想い
    真山さんは、記者経験のある作家さんです。
    真山さんのメディアに対する想いを拝見することができます。

    「取材なんて人に教わるもんじゃない。
     事件が記者を鍛えるんだ。」

    「記事。
     社会に伝えるべき事実だと思えば、
     躊躇してはならない。」

    3.⭐️5この理由
    IRがよい、悪いではなく、そのプロジェクトを何の目的でとらえるのか?

    地方再生なのか?
    インバウンドなのか?
    税制面なのか?

    小説を通じて、考えよ!の一石はありがたいです。




  • 展開を広げたまま終わったなという印象。出てくる新聞記者=メディアを神格化しすぎたという気もする。スラスラ読めるが、読了後もいまいち腹落ちしない

  • しっかり丁寧に書かれていて、安心して最後まで読める。

  • IR問題をめぐる人間の欲望を描いた。利権があれば人は群がる。それを暴く記者たちが主人公。この続きは描かれるのだろうか。

  • 最近に国会議員が、IRを巡って収賄で逮捕された。
    金額は、あまりにも小さく、なんとも微笑ましいなぁと思っていた。
    中国人相手で、そのショボさは、日本の貧困を示している。
    中国と日本の富裕層の富の格差が明らかになってきている。
    小説になると、やはり賄賂の金額のスケールは大きくなる。
    IR(カジノつき総合リゾート)の誘致を 青森県円山町のスズキイチロー町長が、熱心に、推進する。
    IR誘致で、地方再生になるって、幻想で、誰がバラ色の夢になるわけでない。
    結局 スズキ元町長は、ホームレスになって死体で発見される。
    カジノつき総合リゾートが、起こす問題は、ギャンブル依存症だけでなく
    その利権を巡っての、利益を貪る奴がいるのは明確で、
    それを政治家が さらに貪っていく。貪りの構造である。
    ここでは、山口県の出身の首相がIRを推進し、首相の嫁がギャンブル依存症になる。
    東西新聞の結城洋子がチームを作り、スズキ町長の死から、
    ギャンブル依存症夫妻の子供を巻き込んだ無理心中事件など
    丹念に、調査して、新聞に アップしようとすると
    山口県出身の首相は、憲法改正をぶち上げる。
    新聞は、その記事が トップを飾ることに。
    始末が悪いのは、新聞社のトップは、
    首相のお友達で握りつぶそうとする。
    この小説は、日本を支配する悪たちの悪巧みを暴き、
    新聞記者は、「権力の監視」をすることが使命だという。

    事実を隠蔽する仕組みや文書の改ざんなど平気で行い
    マスコミや新聞社のトップをてなづけてしまう時代への警鐘である。
    ギャンブル依存症の怖さが、もう少しリアルになるといいのだが。
    真山仁らしい 本で、タイムリーな作品だった。
    日本の未来は、薄汚れた色に彩られている。

  • 真山仁作品の好きなところは「必ず余韻を味わえる」というところなんじゃないかと思う。調査取材によってまとめられた記事が東西新聞の一面を飾るとき、そのときにどんなことが起こるのだろうか。ストーリーの中で読みたいような気持ちはありますが、そこを読者の想像に委ねてくれるところが、僕にはなんだかとても味わい深さをもたらしてくれているように思うのです。

    現実の世界でもIRに踊っているバカどもはたくさんいるけれど、IRによってもたらされる世界が本当に「バラ色の未来」になるのかどうか?想像力を絞り出してよーく考えたらいい。それでも具体的に想像できないのなら…この作品をじっくり精読したらいい。馬鹿な政治家、バブル崩壊にこりていない守銭奴向けの良書です。

  • IRで浮かれる人々と、その後の落胆ぶり、そしてカジノ依存症など様々な問題に切り込んだ作品。
    真山さんの真骨頂。

  • 総理にIRについて指南し、信頼を得て、地元にIR誘致させようとした青森県の片田舎の町長がホームレスとなり、公園で野垂れ死にする。
    総理が態度を翻し、お膝元の山口県に最初のIRを立ち上げたことが背景にあった。
    IR推進法を巡っては、アベノミクスの成長戦略の一環として期待される一方、今もカジノに関するギャンブル依存症の懸念が拭いされていない
    また、広告代理店、経営会社、政治家などの間で利権の奪い合いが生じる。地方創生の旗印のもと、中央が進めるプロジェクトに踊らされて、地方が利権争いに巻き込まれる危険性も秘めている。
    この小説は、そんなIRやカジノがはらむ社会的な問題を関係者の絡み合いや駆け引きを通して、浮き彫りにしていく。
    著者は、裏で暗躍する広告代理店に対してギャンブル依存症を糾弾する姿勢で真相を暴こうと対峙する新聞記者の活躍に力点を置いている。 自分としては、それが小気味良く感じて好感を抱いた。
    最後に、記者たちが不実や汚職に関する証拠を提示し、総理を追い込む場面は胸のすく思いがしたが、辞任するかどうかまでは描かれていない。「政治家の行動は読めないが、監視を続け、不正があった際は容赦しない」とベテラン記者がラストに胸中を語る言葉に著者が記者出身であることの矜持をお持ちなのだろうと感じた。

  • 相変わらずスリリングな内容で、500ページ超の大作だが一気読み。現代と過去を行ったり来たりする書き振りで、テンポが心地よい。ただし、しっかり追いかけていないとどの時代の話をしているのか混乱してくるので要注意。

  • きっと本当の話なんでしょう

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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