なぜ、そのウイスキーが死を招いたのか (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334792572

感想・レビュー・書評

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  • <東北の本棚>バーテンダー 謎を解明 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
    https://kahoku.news/articles/20220227khn000005.html

    村本ちひろ | イラストレーションファイルWeb | illustration File Web
    https://i.fileweb.jp/works/detail/101340/

    なぜ、そのウイスキーが死を招いたのか 三沢陽一 | 光文社文庫 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334792572

  • ウイスキーに絡むミステリー、短編集。

    ウェイティング・バー『シェリー』のバーテンダー・安藤の元に訪れる人々。
    彼らの持ち込むウイスキーにまつわる謎を、安藤が聞いただけで謎を解く、いわゆる安楽椅子探偵者でしょうか?

    ・何故、ブラック・ボウモア四十二年は凶器となったのか?
    ・何故、死体はオクトモアで濡れていたのか?
    ・何故、犯人はキンクレイスを要求したのか?
    ・何故、利きマッカランの会で悲劇は起きたのか?

    ウイスキー通でなくても、楽しめます。

  • ウィスキーが関わる1話完結のミステリー。
    人が死んでいるのに、ウィスキーやカクテルの描写がとても美味しそうで、バーに行きたくなってしまう、ウィスキーが飲みたくなってしまうとてもにくい1冊。

  • 作者のウイスキー愛がだだ漏れる安楽椅子探偵もの。
    めちゃくちゃ旨そうな描写をするので、焼酎派なのにウイスキーが飲みたくなる。
    舞台はとある仙台のバー。
    探偵役はその店のバーテンダー・安藤。
    客としてやってきた男たちは自身が遭遇した事件について語り聞かせるが、安藤はその話を聞いただけで見事真相を見抜いてしまう。

  • 仙台が舞台でウィスキーにまつわるミステリー

  • 仙台のバー『シェリー』。そこを訪れた客が語った“ウイスキーにまつわる殺人事件”。バーテンダーの安藤はその話から真相を導き出していく。バーテンダーとウイスキーが主人公という安楽椅子探偵の短編集。

    ボウモアが最初のテーマでマニアックさを隠さない。味の表現が繊細で、思わず喉が鳴る。ウイスキー飲みには楽しいシーンがたくさんあり、希少なウイスキーの知識も勉強になる。ミステリとしてはシンプルなので、ウイスキーの知識がない方でも読んで興味を持ってもらえたら嬉しいね。

    利きマッカランの会の話が一番好き。ミステリと人間ドラマのバランスがしっくりくる。4篇で春夏秋冬という季節を舞台にしたり、ウイスキーの希少性や真贋などを人間ドラマのテーマに重ねる仕掛けが面白い。ただ、そうはならんやろ!とツッコみたくなるトリックもあって、それはそれで楽しい。

    以下、各短編のネタバレなしあらすじと感想を。

    『何故、ブラック・ボウモア四十二年は凶器となったのか?』
    定年を間近に控えた不破刑事の心残り。それは5年前にバーで発生した不可解な殺人事件についてだった。マスターがバーテンダーを殺した凶器はブラック・ボウモア四十二年。超希少なウイスキーをなぜ凶器に使ったのか。

    犯人は自首している。現場もそのまま、凶器もハッキリしている。しかし、なぜそのウイスキーを使ったのかという動機だけがわからない。ウイスキー好きな不破刑事に共感しつつ、なんでそれを凶器に!もったいない!と思わず声を上げてしまう。しかし、凶器にした理由にはウイスキーに呑まれた狂気が隠されていた。ウイスキー飲みならその動機もなんとなく見当がついてしまい、それがウイスキーの恐ろしいところなんだろうなと感じる。

    「ウイスキーは飲む人間を差別いたしません。ですから、飲む側も希少価値や金額で妙な差をつけず、純粋に楽しむのが一番よいウイスキーの嗜み方かな、とわたしは思っております」
    安藤のこの一言に立ち返るのが大事だよね。何を飲むかじゃなく、どう飲むか。希少なウイスキーもかけがえのない経験を与えてくれるけれど、何より楽しむことが大切。

    『何故、死体はオクトモアで濡れていたのか?』
    ライターの飛田に伝えられた殺人事件。医師が自宅3階のベランダから突き落とされ、その死体には強烈なスモーキーさを誇るオクトモアがかけられていた。その意味とは。

    まさにオクトモアだけあって、煙に巻かれるような事件に。忘れられないほどの強烈な香り。その奥に隠された意外な真実。設定もトリックもそんな上手くいくのかな?と疑問だけど、オクトモアを使った意図には驚かされたのでそこはよかった。それにしても、ほんの30mlほどの液体に数百円から数万円の値段がつくのだから、知らない人から見たらそれが一番のミステリかもしれない。

    『何故、犯人はキンクレイスを要求したのか?』
    資産家・大田の孫が誘拐された。誘拐犯の要求は希少ウイスキー・キンクレイス。小屋に運び込まれた100本ものボトルたち。なぜお金ではなく、希少なものの受け取りづらいウイスキーを選んだのか。

    ウイスキーブームに乗って、レアウイスキーのプレミア化は加速するばかり。これから発売するレアボトルも転売対策に追われ、過去のボトルはオークションで億単位の値がつけられるニュースも。キンクレイスの在庫があるバーは知っていても、到底飲める価格帯ではないのが実情。希少性は確かに価値の指標ではある。しかし、本当にかけがえのないものを間違えてはいけない。誘拐の手段や顛末はお粗末でツッコみたくなるものの、だからこそ結末の皮肉さが際立つのかもしれない。

    『何故、利きマッカランの会で悲劇は起きたのか?』
    マッカラン収集家・保科が正解者に自分のコレクションを譲ると明言した利きマッカランの会。ルールは、四つのグラスから超希少なマッカランを当てること。しかし、そこで殺人事件が発生してしまう。なぜ悲劇は起きたのか、その真相とは──。

    この話が一番好きだった。マッカランの真贋を見極める会であぶり出されたのは、人としての真贋だった。ウイスキーを愛する者のためにコレクションを譲りたい。保科がその思いを託したメッセージはミステリと重なって深い味わいに。それにしても、このテーマだったら殺人を絡めなくてもよかったような気もする。

  • 仙台に行きたくなるし、バーで飲みたくなるし、季節のカクテルも美味しそう。ウィスキーに詳しくなるし、とにかく楽しく読めました。シリーズ化してくれるといいな。

  • 仙台市国分町のお店 刑事
    お酒飲めないけど飲んでみたい

  • 仙台、国分町のバーでお客がバーテンダーに語る事件や出来事からバーテンダーがウイスキーの蘊蓄とともに事件の謎解きをする短編集。
    まあ、謎解きは突っ込みどころはあるがウイスキーの見ながらほろ酔いで読むといいかも。

  • 20230914

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著者プロフィール

(みさわ よういち)1980年年長野県生まれ。東北大学ミステリー研究会出身。2013年『致死量未満の殺人』で第3回アガサクリスティー賞を受賞しデビュー。他著作に『アガサクリスティー賞殺人事件』がある。

「2015年 『不機嫌なスピッツの公式』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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