星詠師の記憶

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 141
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912499

感想・レビュー・書評

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  • 未来予知が出来る水晶を研究する施設で殺人が起き、休職中の刑事が真相に挑む。未来予知ができるということを前提として、筋の展開、トリックなどが考えられている。アイデアとしては面白いし、主人公の真相解明への熱意が伝わってくるのだが、いかんせんトリックがややこしすぎるし、殺人動機にも納得しがたいところがある。もう一息か。

  • 地味な表紙と地味なタイトルだが、トレンドの特殊設定ミステリ。作者で追ってる方はそのつもりでしょうが。
    水晶に未来予知が記録することができる星詠師、その代表が殺害される記録が残っている中で、絶体絶命の容疑者を救おうとする刑事の話。
    決めつけは良くないが、このモチーフは、逆転裁判6の託宣(霊媒ビジョン)だと思う。作者さんは、逆転裁判のかなり強烈なフォロワーという記事を読んだし。
    まあ、本家同様「目に映る情景が全て真実とは限らない」(シュタインズ・ゲートとかもあるよね)という点に着目しているのは明白であるが、どんでん返しと場面展開は、手が込んでおりかなり面白い。但し、犯人当ての決め手となる手がかりが分かりにくく、プロットもあまりにも作り物過ぎる嫌いがあるので、ミステリとしての傑出度はそこまでではないかと感じました。

  • 2020/2/17
    水晶に能力者の見た映像が念写される世界のミステリ。
    そういうルールのもと謎解きを楽しむのだろうけど、謎よりキャラクターが大事な私には少々退屈でした。
    出番の少ない研究者の女の人だけちょっと愛せるキャラで、あとはみんな似たり寄ったり。
    理屈を楽しむべきな割にはそれ偶然に頼りすぎてない?と思う個所も多かったし読むのなかなか進まなかったなぁ。

  • 水晶に未来の映像を記録することができる団体という前提が非現実的なわりに、地道な推理と検証が続いた。実際に映像で見たらともかく、文章で映像を想像しながら読むのに疲れてしまって途中からはイメージするのをやめた。

  • 未来を予知する水晶を使ったミステリとはいえ、後期クイーン問題やパロディーといったテーマも孕んだ、現代本格と古典本格を合わせ持つハイブリッド。
    トリックの端々に「作者あの名作絶対好きじゃん」が滲み出ているのが堪らなかった。
    前作の詰め込んだはちゃめちゃ感も好きだが、本作はより本格としての濃度があがり、界隈は絶対好きだと思いました。

    主要人物何人かの気持ちや心境の変化があっさり書きすぎな気がしたが、その一行に覚悟や感情が渦巻いているので、むしろいいのかもしれない。
    やっぱり本格ミステリはいいもんだ。

    あの一見バカっぽいトリックが、思い返してもやっぱりバカらしくて、想像すると笑える…(好き

  • 水晶の中に予知した光景を映し出す星詠師。その予知の光景を巡るトリッキーなミステリ。圧倒的に確かな証拠と思われる「被害者視点の映像」があるにも関わらずこれをいったいどうやって崩すのか、と思っていたら。まさかの展開の連続。うーむ、やられたなあ。
    予知あっての現実なのか、現実あっての予知なのか、が分からないのが恐ろしいところ。事件の動機というか根っこがそこに絡んでいるというのも、なんともやるせなくって。未来は知らないほうが幸せなのかもしれないけれど。それでも手段があったとすれば、知らずにはいられないのかなあ。

  • 絶対に動かない確実な殺人の証拠、未来を予知する水晶が映した犯行の瞬間。
    水晶周りの矛盾を足掛かりにそれをどう崩していくのか。
    このトリックを成立させる著者の執念。
    彼らが抱えていたこの抑えがたい情念。
    設定はどこまでも新しいのに、どこか古典を読んだ気分。

  • 水晶を使った未来予知の研究をしている“星詠会”で起こった殺人事件。予知能力を外部に秘密にしているため警察には知らせなかったが、その犯行場面は水晶に予知映像として残されていた。映像にうつった犯人の無実を信じる少年に頼まれ、たまたまその地を訪れていた刑事が事件を調べることになるが…
    特殊な設定でその枠内で推理を組み立てる、というミステリが最近多い気がするが、予知という設定が派手なわりに地道な検証が面白かったし、壮大な仕掛けに驚いた。
    予知があるから現実になるのか、と思ってしまう気持ちもわかる。

  • 2018.12.26読了。2018年最後の収穫になりそうです。

  • 警視庁刑事の獅堂は、訪れた山間の寒村で、紫水晶を使った未来予知の研究をしている〈星詠会〉で起こった殺人事件を知る。調査を始める獅堂だったが、その推理は、あらかじめ記録されていた「未来の映像」に阻まれる──。

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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