おっぱい先生

著者 :
  • 光文社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913465

感想・レビュー・書評

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  • 図書館でタイトル借り。
    タイトルを見た時におっぱい先生じゃないけど、上の子を出産した時におっぱいのことでお世話になった方を思い出した。
    上の子を出産した時、上の子は1週間位NICUで保育器の中にいた。
    だから自分で搾乳するしかなくて。でも出なくて。一滴を絞り出すのが本当に大変で悲しくて。
    でもその時たまたま私には実習中の看護学生が担当に付いていてね。
    その指導教官の先生が超ベテランの助産師さんだったの。
    その先生がちゃんと母乳の出るおっぱいにしてくれたんだよね。
    あの時看護学生の担当になることを引き受けてなければ私のおっぱいは出なかったかもしれない。
    おっぱいは誰でも簡単に出る訳ではない。
    あの時たまたま出会えて本当に良かったなぁって思う。
    でも産後3ヶ月で仕事復帰しなくちゃいけなかったから、おっぱいガチガチも乳腺炎も色々経験した。
    子どもは哺乳瓶断固拒否したから、子どもを預けた母は搾乳した母乳を小さなスプーンでひと匙ひと匙飲ませてくれた。
    だからどの話も他人事に思えなくてね。
    その時その時は必死で大変だったけど、今となってはいい思い出。
    お母さんのおっぱいに対する想いや苦労もよく描かれているから、これからお父さんになる人が読んでもいい本なんじゃないかな。

  • 「助産師」さんのお仕事小説であり、4人の母親たちの救済の物語でもある短編集。
    良かった~。
    これは出産を控えている人の参考にもなるし、今、授乳で「おっぱい」に悩みを抱えてるママたちの助けや励みになると思います。

    私にも子どもがいるので、赤ちゃんだった頃を思い出して優しい幸せな気持ちになりました。
    赤ちゃんって、そこにいるだけで周りを幸せにする存在だと思う♪

    …とは言っても、母乳が充分に出ない、赤ちゃんが飲んでくれない、胸が張って痛い…などおっぱいの悩みは尽きない!

    産休明けの家事育児、仕事に追われいっぱいいっぱいのママ。1日中誰とも話さず、狭い世界で孤独に頑張るママ。「完全母乳育児」という“おっぱいの呪い”に苦しめられたり、自分がダメな母親に思えて苦しんだり、ぐるぐると暗い思考に陥っちゃいがち…。

    私も他者の言葉に傷ついたことがあるし、自分を不甲斐なく感じたこともあった。遠い記憶を色々思い出した…。
    ちなみに私は乳腺炎経験者。助産師さんに救われた一人です!

    懐かしく思い出しながら読むも良し。
    今後の出産、断乳に備えて読むも良し。
    奥さんの不安や大変さを知るために読むも良し。

    赤ちゃん独特の甘い優しい幸せな匂い、可愛いしぐさを思い出して自然と顔がほころぶ。

    助けは求めてもいい。いや、求めた方がいい!
    「お母さん、一人で何でもかんでも抱え込んで頑張り過ぎないで!」、って言いたい。
    読めて良かったです。

  • 妊娠、出産、子育てを母親のものだけと思っている人が多いのは何故だろう。
    そんな事を考えた。
    誰もが母から生まれてくるのに。
    周囲は冷たい。
    何処にも、こんなおっぱい先生がいてくれたら、どれだけの人が救われるだろう。

  • おっぱいを飲んでくれない、おっぱいが出ない、
    おっぱいが痛い、授乳、断乳……

    もし、あなたの胸にしこりや痛みがあるのなら、
    「みどり助産院」へいらして下さい。
    おっぱい先生が、言葉のマッサージでほぐしてくれます。

    初めての育児での不安に、優しく寄り添ってくれる作品です。男性にも是非手にとっていただきたいです。

  • 子どもを産んでからの一年間は本当に怒涛の毎日だったなぁ、としみじみ。
    赤ちゃんなんて泣いてるか寝てるかのどちらかで、おっぱいをあげてオムツを替えておけばそれでいい、くらいの認識だったのに、なにがなにが。
    2時間おきに泣く、おっぱいをあげてオムツを替えて、げっぷをさせて寝かせる…やれやれ、と思ったらもうまたすぐに次のおっぱいの時間…それは夜中も続く、いつ寝られるんだろう、いつになったらこのおっぱい地獄から抜け出せるのだろう、まさに真っ暗なトンネルに迷い込んだような日々。
    そのおっぱいも何の問題もなくさくっとぱくっと飲んでくれる子もいれば、うまく飲めずに泣きわめいたり、嫌がって暴れたり、足りずにすぐおなかを空かせたり、逆におっぱいが余って乳腺炎になったり…
    お母さんにはひとりひとりにそれぞれのおっぱい談があるんじゃないだろうか。
    みどり助産院にやってくるお母さんたちもそれぞれにおっぱいへの不安や悩みを抱えている。
    律子先生のキャラは赤ちゃんを産んだばかりのお母さんに対する姿勢は毅然としてそっけなく、べたべたとした優しさがない。少し意外なその態度こそが、不安の塊と化したお母さんたちにとって救いになるんだろう。
    生まれたばかりの、一人では生き延びることのできない赤ちゃん。その命を守ること。そのために、一生懸命になること、だけど、頑張りすぎないこと。きちんと誰かに頼ること。もしかすると誰も教えてくれないかもしれないそんな当たり前の大切なことがここにはあふれている。
    赤ちゃんを産み育てる女性だけじゃなく、男性にこそ読んで欲しい一冊だ。

  • 書棚で目を引いた題名につられて読んだ。
    我が身も地元のおっぱい先生に心身共に助けられて授乳期を過ごしたため、その記憶が蘇り、泣けた。
    作中に出てくるような、カンボに熱心な人、産後初期に問題発生した人、断乳時期の人しか関わらないのはとてももったいない存在だと感じているので、この本を色々な世代が読むことで母乳マッサージが世の中に浸透していったらよい。そうしたら幸せな母親がもっと増えるはず。

  • 独身で子供はいませんが、周りの家族の育児の様子を見ていて大変だと思いました。こういう先生いたら安心でしょうね。

  • 100冊ビブリオバトル@オンライン第8ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2020.08.22〜23

  •  子供を持った女性たちが向き合う、「おっぱい」の諸問題と向き合う作品だ。助産師の「おっぱい先生」は、悩みを抱える多くの女性たちと向き合い、正しい知識と処方で救っていく。

     育児する人々が避けては通れない「おっぱい」の問題に、適切かつ有益な情報を探すのは難しい。泣き続ける赤子を前に、多くの女性が悩むことになるのだと思う。そのとき、「縋るような気持ちで“おっぱい”と検索したら、とんでもない扇情的な画像が画面いっぱいに展開されて、思わず悲鳴を上げそうになったりもした」(p.25)女性は、きっととても多いのだろう。
     試しに自分も検索した。げんなりした。「おっぱい」という言葉を調べるためには、勇気だけでなく文脈まで必要な時代になってしまった。

     この小説はそんな「おっぱい」の諸問題を指摘しながら、正しい知識を提供しつつ、人が陥りがちな不安を代弁する物語になっているのだな、と思う。勉強になりました。

  • 助産院のお話。おっぱい先生に助けを求めてくる人が何かを掴んで帰っていく所にホッとする。出産後お母さんは育児で本当に大変だけど、この本読んで気持ちが穏やかになった。女性だけではなく男性にも読んでもらいたいなぁと思いました。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『幽霊長屋、お貸しします(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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