立待岬の鷗が見ていた

著者 :
  • 光文社
3.14
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本棚登録 : 87
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913601

感想・レビュー・書評

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  • 平石先生の作品は好きなので評価甘いかも、ですが、パズルがパチパチとハマっていく感じが心地良いです。

  • ジャン・ピエール&船見警部補の第2弾。
    5年前に起きたつながりがありそうでなさそうな3つの事件について、ジャン・ピエールに捜査協力を依頼。船見警部補たちも事件を振り返りながら真相に迫る。
    前作につづき函館が舞台なので、個人的には方言も含め懐かしくて雰囲気がよくわかった。事件関係者が小説家となりその作品が作中作として語られるので、現実の事件とちょっと混乱する。一連の流れは盛り上がりに欠けるが、端正に構築された真相にはなるほどと思った。
    少なくともシリーズあと1作はありそうなので期待。

  • 5年前に起きた未解決の3つの殺人事件や傷害致死事件。
    その事件に関係する小説家。
    以前別の殺人事件を解決したことのある青年に捜査を依頼し、解決へと導いていきます。

    函館物語の第2弾ということですが、第1作目を見ていませんが、全然楽しめました。
    函館を舞台にしているので、その地域に馴染みのある方は、地名が出てくると親近感が湧くのではないかと思います。
    一つずつ積み上げるかのように3つの事件や小説家の出版した作品の内容を順々に紹介していくので、きちんとした安定感のある作品だなという印象でした。
    ただ、あまり盛り上がりがなく、会議室で捜査会議を聞いてるかのような淡々さが窺え、特に登場人物の心理描写が描かれていないので、後半まで長く感じてしまいました。事件の登場人物だけでなく、小説家の作品の登場人物も加わるので、ちょっと戸惑いはありました。

    後半まで、じっくりと描かれた分、最後は青年の鮮やかな推理が披露されますが、なるほどと思わず納得感がありました。その部分は長く感じることなく、世界観に浸っていました。
    じっくり小説の世界観・雰囲気を味わいたい方にはおすすめかなと思いました。

  • 前置きが長くて、、、
    という感じでした

  • 函館の雰囲気を感じられる方言や情景描写、ちょっとしたミスから解決に導く論理は緻密で素晴らしいと思いますが、派手なガジェットやドラマ的な要素は皆無でなかり地味。前作『潮首岬に郭公の鳴く』と比べると微妙な印象です。

  • 「実際に起こった事件」と「小説内の事件」との関連などから実際の事件を解決する、というおはなし。
    ロジカルに細かく読んでいけばすごく腑に落ちる内容かと思います。メモをとりながら読めばより楽しめる一冊。

  • 5年前に起きた連続殺人とひき逃げ事件。
    2件の殺人事件は解決されないまま、時は過ぎていきました。
    しかし、事件の関係者だった作家の作品を読んだことをきっかけにして、再び事件に向き合うことに。
    青年ジャン・ピエールに捜査協力を依頼し、彼の活躍で3つの事件がつながり始めます。
    前作も良かったですが、今回も面白い。

  • ng

  • 「潮首岬に郭公の鳴く」では仰天のホワイダニットを見せつけた平石貴樹の「函館もの」の第二弾。前作では事件と地道な捜査の果てに、突然のフランス人少年=ジャン・ピエールがかなり唐突に謎を解いてしまうのだが、今回は最初からジャン・ピエールに謎を解いてもらおうぜ!という展開である。
    その分、解かれる事件が5年前の入り組んだ人間関係内での殺人事件と傷害致死事件となり、しかもその後新たな事件は発生しない。その為、前半部分は既に起こった事件のあらましと捜査の足取りのみといういささか斬新といえば斬新なスタイル。
    前作のようなホワイダニットの衝撃はないが、意味ありげながらも「関係あるか...?」という伏線は全て回収されているのが特徴である。思わせぶりに張った伏線は全て回収しなければならない。ただ一箇所だけ引っかかった部分があるのだが、あれは遊びか...?
    ロジカルな謎解きの合間に挟まる人間の感情も興味深い(わたしにはやや牽強付会に感じないでもないのだが、そうならない為の趣向を凝らしているのは分かる)。ジャン・ピエールは事件に立ち会ったわけではなく、あくまで間接的に与えられた情報だけで謎を解く安楽椅子探偵に近い役回り(実際現場には行くので「半」安楽椅子探偵...?)だが、それを元に調べられた事実が隙間を埋めてくれる。
    そういう意味では良くも悪くも無駄も隙もなく、本格ミステリの基本に立ち返ったオーソドックスなフーダニットといえる。
    作中人物が書く小説の筋も面白そうではあったが、本作同タイトルの「立待岬の鷗が見ていた」は長編に仕立てるの大変そうだな、と思った。あの幕切れでは...。しかし、小説の仕立てにもきちんと意味を持たせてロジカルに解釈してみせるのはさすがとしか言いようがない。
    結末からいってあと一作はあるだろうからそれに期待。

  • 函館を舞台としたミステリシリーズ第二弾。でも今回は前回ほど凄まじくないなあ。いたってオーソドックスで堅実な雰囲気です。しかもここであの作品等を出してくるからには、あの人が関わっているのは間違いなく。犯人等についての意外性はなかったのですが。だからといって真相が見抜けたわけではありませんでした。
    二つの殺人事件とひとつの轢き逃げ事件。一見関係なさそうなものの、それらの事件に関して濃密すぎるほどに繋がっている関係者。ってことはこれはもう一連の事件と考えていいのでしょうね。だけれど軒並み成立するアリバイと、いまいち見えてこない決め手。未解決のまま時が過ぎ、その解決を依頼されたジャン・ピエール。そしてその捜査もまた地道。あっという驚きはなかったのですが、徐々に見えてきた真相とひそかに仕込まれていた手掛かりには感嘆させられました。タイトルの意味も読み終えるとぐっときます。

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著者プロフィール

平石貴樹(ひらいし・たかき)
1948年函館生まれ。作家、東京大学名誉教授。1983年、「虹のカマクーラ」で第七回すばる文学賞受賞。
著書に『松谷警部と目黒の雨』『松谷警部と三鷹の石』『松谷警部と三ノ輪の鏡』『松谷警部と向島の血』(創元推理文庫)、『アメリカ文学史』(松柏社)、
翻訳にオーエン・ウィスター『ヴァージニアン』(松柏社)、ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』(共訳、岩波文庫)などがある。

「2019年 『一丁目一番地の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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