翼の翼

  • 光文社
4.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914288

感想・レビュー・書評

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  • 怖い怖い怖い。いやーこれ恐怖物じゃないの?ってくらい怖い世界でした。
    内容はものすっごくおもしろかった。
    自分は子供いなくてお受験も全く経験ないけど、それにしても母親の狂気と父親のすがすがしいほどのモラハラっぷりが読んでて引き込まれた。
    子供はね簡単に親に洗脳されちゃうんよね。そしてそれは死ぬまで心に棲み着く。
    のっけから子供を取り巻く環境が恐ろしく恐怖に感じて、こんな家庭平和に終わるはずがないと思って読み進めました。
    うーん、実際どうなの?小学生の子供にお受験させる家庭って、何を目的にしてるの?
    今やもう学歴社会なんて消え失せてるしさー。わかんないなー。自分からあの学校に行きたいって絶対思ってないよね、子供って。親が上手に洗脳と誘導してるだけだと思うんだけどなー。
    なんていうかリアルに感情移入して文句言いたくなるくらいおもしろい本でした!!

  • 終盤の12歳編では1ページ1ページハラハラさせられる展開で自分の子供かのように錯覚させられるほど没頭してしまった。

  • 中学受験にのめり込んでいく親の話。

    テストの数字に一喜一憂したり、子どもが賞賛されると嬉しくなるお母さんの気持ち、分かるなぁと思ってしまった。
    はじめはとても良いお母さんに見えたのに、少しずつ狂いはじめて、最終的には教育虐待までいってしまった。

    子どものことを客観的に見られる目が欲しいなと思う。

  • 2021 初版 手元の本は2023年8刷
    初、朝比奈あすか作品

    中学受験を題材にした本とのことで
    書名は知っていたが〜
    小学校学校図書館に購入
    リクエストされたから

    翼くんと同じ立場の子どもたちは
    この本をどう読むのか???

    母、円佳の気持ちの流れがわからなくもないが、エリートから遠い世界にいる私にはよくんからないことだらけ
    子どもに「やらせてもらえなかった」とは言われた記憶があるので、受験をすすめないのもそれはそれで親の価値観の押し付けだったのかと思った

    子どもは親次第なんだよね

    そして甥っ子の心を案ずるばかり

  • 中学受験は、親の関与が必須と言われている。子供間の偏差値競争の一方で、母親同士のマウントの取り合い、両親間での価値観の相違からくる意見の食い違い、育てられ方の違いによる育て方の違いなど、さまざまな角度で人間性が問われる。細かなやり取りの描写が何度となく繰り返され、中学受験生の母親の心の揺れ動きは、まるで実体験したかのような錯覚を覚える。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    ここまでアホな親いる…?のかもしれない


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生で中学受験に挑戦することになる。有名私立の中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳は、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていく。入試問題頻出作家が、過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。

    ⚫︎感想
    塾講師歴が長いため、現実に即してないという感覚で読んだので、私には合わない話だった。

    中学受験をさせる毒親の話。いろいろあったけど、合格した!みたいな親子のカタルシス。ストレスが溜まった。笑

    始まりからして、そもそも小2で受験コースに乗せるための試験うけたその日に、塾講師にテスト受けただけで褒めてあげてと言われたのに、よし、忘れないうちに答え合わせしよう!なんて、よっぽどアホな母設定だなと思って、まず気持ちが離れた。

    中学受験させる親たちが、総じて頭悪い言動からはじまる。最初から偏ってるな〜と思った。翼の親もこれでもかというくらい余りにも毒親の典型でしらけてしまう。中学受験させる親たちの集まり?で、誰がどこへ行っているかもわからない状況で、あそこのエリアは…みたいな失言とか、露骨な探り合いとか、流石にしないでしょう?よく偏差値40からでも志望校を目指せます!…みたいな胡散臭い塾のYouTube広告みかけるけど、そんなん見て食いつく親なら、あり得るの?いやいや…ないよね?大半は、自分の子供を大切に思う常識的な保護者様方です。当たり前ですが、一番子供のことを近くでみて、ご理解されています。中学受験でなければ、過去2件、勉強とは関係なく、父親に暴力振るわれるみたいなのは聞いたことありますが。

    ここまで子供を精神的に追い詰めてしまう親は、さすがに受験直前でも改心するとは思えない。物語なのだから犯罪までいってもらった方が信憑性あって読み応えがあったと思う。アホな親が子を追い詰めて事件化するのはあり得ると思えるから。

    主人公が、子供のことを追い詰めていやしないか?とママ友に指摘されて、「息子がもっとできなかったら、こんなことにはならなかったのに!」みたいに言い返すけど、稚拙すぎないですか?

    総じてあまりにも主人公夫婦がアホすぎるのに、親が反省したタイミングで、翼くんの成長に助けられる。偏った親たちの終始常識のない発言と考えのオンパレード、でも終盤はそんな親たちも考えが変わって、最後はハッピーエンドみたいな流れに完全にしらけた。

    でも、感想を書いてみたら、アホな親ならあり得るのか?という気にもなってきた。私が世間知らずなだけで、出会ったことがないからといって、あり得ないと断じるのは、想像力無さすぎて良くないと思い、新しい視点をもらったのか?と思い直し、星二つ。

  • 子供がまさに翼君と同じ時期に入塾をして、同じ様にだんだんクラスダウンをしている所です。
    状況が似ていて、色々と考えさせられました。幸いにも?まだ?我が家はパパが白熱しておらず、私と子供が言い合いになると止めに入りますが、一歩間違えると同じ状況になりかねないと反省しました。誰の為の受験なのか?を念頭に置いて、受験までの残された時間を大切に過ごしていこうと思います。

  • 朝比奈あすかさんの著作は大体読んでいると思うけど、その中でも特にずっしり。中学受験を題材にした本。翼くんが素敵な翼で羽ばたけるように祈りたくなる。

  • 同じ中受ママとして凄く切ない内容。子どもにとって、中学受験とはなんだろう。翼くんの気持ちの部分を、もっと深掘りしてほしかった。

  • 友達に、子どもに中学受験させるにあたり、この本を読んで反面教師にしている、と言われた。目につくところに置いて、自分の言動を戒めていると話していた。信頼のおける友達が強くそう言っていたので、読み始めた。

    私は過去の中学受験経験者であり、10歳の娘の母でもある。私の場合は、過去にこれほどまでに中学受験が加熱していなかったから訳が違う、と言われてしまいそうだが、同時期に真剣に受験勉強に取り組んだことや、熱血先生に囲まれて応援されながら夜塾に通った思い出がある。

    それは私にとって貴重な体験であり、学力面では学校に物足りなさを感じでいて私にとって、良い友達もでき、とても楽しい経験ではあった。算数などは昔も難しく、難なく解く男子に圧巻し、落ち込んだことも何度となくあった。色々な思いが自分にあるので、この本を読んで、中学受験は家庭を壊し、子どものためにもならず、やるべきものではないもの、と言う捉え方にはならない。

    本書を通して、親をはじめとした親族の言動が子どもに与える影響については考えさせられた。また、それは周囲のママ友と言われる人たちに対しても同じであり、良いことも悪いことも、あくまで他人であるママ友に話すことはやめようと思うようになった。
    面白いつもりで話しても、相手が何を自慢と捉えるかはわからないし、公立校云々の話や、偏差値の話など、その話す相手によっては、全く違う考えの人がいるのだと言うことを改めて考えた。どこの学校にも通う子どもたちがいることや、全ての人が同じものを目指さなくても良い。それが能力別と言い換えれば、また偏差値主義になるのだが、それのみならず、子どもに序列をつけるようにはなりたくない、と思った。

    高学歴であることは高収入に繋がりやすいし、自分もそのような思いはあるが、親が子供に合意を得ないで進めた中学受験の先は明るくないと思う。自分主導で行った大学受験とは大きく異なるのは、その幼さゆえに、社会を年相応にしか眺められないからだ。勉強をして知識をつけることはできても、大人と同様の精神力を期待するのは厳しい。ほんの数年前まで、砂遊びや水遊びに興じていた人たちだ。

    翼のお父さんも怖いと思ったが、父方の祖父と祖母の言動も、あるよねー、と思いながら読み、もしかしたら、ここに1番影響を受けているのかもしれないと思った。所謂、団塊の世代で、良い大学に入れば、良い未来が約束されていると、その子どもたちに教えていたのはその世代だからだ。また、そのような子どもに孫を育てなければ、自身の子どもに、大人になっても烙印を押す。親子だから、大人になり、自分のこどもを持っても、親に認めれたいと思う。子どもが頭が良いのはあなたのおかげ、子育ても成功、と褒められたい。結局は、全てが依存なのだ。

    中学受験は加熱しており、全てのお子さんがする必要はないと思う。親子3代くらいで、同じ価値観を持ち合わせて、家庭内で加熱するのではなく、その子その子の幸せと個性について考えなくては、中学受験が社会的にも悪となってしまう。

    ある一家庭の話ではあったが、そのようなことを考えた。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝比奈あすかの作品

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