- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334914509
感想・レビュー・書評
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ポンポンと出て来る大阪弁が心地よいです。
それぞれの風の物語 喫茶テンノットより
2022.02発行。字の大きさは…小。2022.04.22~24読了。★★★☆☆
大阪の浜で育った元漁師の新川清史(キヨシ)は、付き合っていた女が妊娠したので、晶美と別れて結婚したが捨てられボロボロになっていた所を晶美に拾われて喫茶店テンノットの店主となる。そして、テンノットに来るキヨシのツレ(友)との楽しく、アホな、涙もろい10話の物語です。
【読後】
身近な話題を織り交ぜながら笑わせてくれます。キヨシが50才すぎのため話題の中心が離婚と家庭のもめごとです。なんかせつなくて、そして笑えてきます。10話の中で「過去からのやわらかい風」は、最後にはホロリと涙が出て来ます。父を、母を思いだして、ありがとう……。
読みだしたらなぜか2話目まで筋書が出て来ます、読んだことがあるのかな…?
ポンポンと出て来る大阪弁が心地よいです。
「ハァやあるかい。あのなトシオ。他人様から受ける恩ちゅうのはな、遠慮しつつ受ける内は恩や。そやけど当たり前になったところでそれは甘え、ちゅう言葉になるもんや」
「……すんません」
「われも辛いやろうけどトシオ、辛いって字に一本線を足してみィ。なんになる?」
「……辛い―、ですか」
「アホよ! 伸ばしてどうすんねん! 叫んだらアカーン。普通は幸せになりますというとこじゃココは!」
P56~P57
【初出】
「小説宝石」に2019年2月号から2021年10月号に掲載した、10話の連載短編小説を単行本にしたものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<前>
本の雑誌で出会った著者の件で僕の記憶にあるのは急に嫁を貰ってポルシェも買ったこと。その後あのポルシェと嫁はどうなったのだろう。彼の事はちゅんば と呼んでいた。当時の本の雑誌社内で著者はそう呼ばれていたので。正確なエビデンスは無いが。すまぬ。
ちゅんばは僕と同じ1959年生まれ。僕は2月だがちゅんばは4月。おいこらワシの方が一学年上の先輩やんけ。
一学年歳下のちゅんば君 の性格についてこの本の外見から触れて解説しておこう。本の実物を見れば分かるがこの短編集は各編頭の中表紙(で,ええんか。よう知らん)に黒い背景の絵を使っている(この絵がまた味があって実にええで)。そうすると本を”こぐち”方向から見ると黒い線が各短編を区切っているのがハッキリと分かる。
この区切り線が実に見事に等間隔なんや。つまり各短編がほとんどぴったし同じ長さで書き上げられているちゅうこっちゃ。なんぼ雑誌連載物の短編や云うてもここまでキッチリとおんなじ長さには普通は揃わんやろと思うた。つまりは ちゅんば君 は見かけによらずめちゃくちゃ几帳面で真面目な性格やちゅーこっちゃ。本人に聴いたんとはちゃうからホンマかどうかはワシよう知らんけど。
勝手気ままなオモロイ事を色々書いとったら紙面が尽きてしもうた。本の中身感想はまた今度の機会にでも書きまっさ。今度の機会っていつやねん? 1.文庫本として出た頃。 2.本書を読んだ事を忘れてしまってまた読んだとき。存外に2.の方が1.より早い場合がこの年まで生きた僕の場合最近多いんじゃ。あっぱれなこってす。あ,すまん。 -
心地よい風の吹く、大阪南部の海辺の町を舞台に、あたたかなまなざしで人々を見つめ、それぞれの人生に吹く風を〈岸和田少年愚連隊〉の元祖ヤンチャ作家が"笑い"と"涙"でくるんで描く感動の物語
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カフェを舞台としたミステリーか、お食事ものかと思いきや、
バリバリの下町人情噺だった。
良い意味で騙されたわー。
ここまで濃密な人間関係、
現代ではファンタジーにすら見えるけど、
今でもこういう地域は残ってるんだろうな。
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初めて読む作家さんでしたが大当たり!とにかく面白い。何度声を出して笑ったことか。
登場人物が個性的で魅力的、会話が面白い。
今回は図書館で借りて読んだけど手元に置いておきたい。文庫本出たら絶対買う!
続編出ないかな…