奸計の遁走曲 最新ベスト・ミステリー

制作 : 日本推理作家協会 
  • 光文社
3.16
  • (0)
  • (8)
  • (14)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 82
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334915049

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【収録作品】「令和忍法帖 空高くアルパカ肥ゆる」 青柳碧人/「簡潔な人生」 赤川次郎/「弱い者」 芦沢央/「新しい世界で」 石持浅海/「花うた」 一穂ミチ/「不運な犯人」 大山誠一郎/「孤独の谷」 近藤史恵/「ブーテン」 真藤順丈/「震え」 知念実希人/「妻の罪状」 新津きよみ/「大山鳴動して跳ね馬一頭」 東川篤哉/「名前のない薔薇」 降田天/「予告画」 三津田信三/「料理魔事件」 宮内悠介/「片恋」 米澤穂信

    2019〜2021年に発表された短編作品を厳選したアンソロジー下巻。

    「令和忍法帖」甲賀忍者の末裔であるサラリーマンが、過激化した新興宗教団体のテロ計画の防止に挑む。
    「簡潔な人生」霊感バスガイド・町田藍もの。諷刺。
    「弱い者」東日本大震災の被災者の慰問に訪れ、指導対局をするプロ棋士。対戦相手の才能豊かな「少年」が何度もミスをすることに疑問を抱く。社会派。実際にありそうな話で避難所の生活に警鐘を鳴らす作品。
    「新しい世界で」座間味くんの安楽椅子探偵もの。夫の不倫で離婚した夫婦のその後。話が反転するさまが面白い。
    「花うた」書簡体小説。兄を死なせた加害者と妹の文通。贖罪がテーマ。アルジャーノンを彷彿とさせる。
    「不運な犯人」ワトソン力もの。和戸が乗り合わせた長距離バスの中で起きた殺人とバスジャックの顛末。
    「孤独の谷」親族の誰かが死ぬと係累の者たちが故郷を離れる謎。
    「ブーテン」アメリカ占領時代を生きる沖縄の人々を描いた『宝島』の外伝。
    「震え」精神鑑定医・影山司もの。鬱病を患い、てんかんの持病もあった交通事故の加害者の精神鑑定をする。
    「妻の罪状」老老介護の果てに夫と義母を殺害した女性。ヤングケアラーだった女性弁護士がその背後にある事情を探る。身につまされる。
    「大山鳴動して跳ね馬一頭」元競走馬のルイスが探偵役。空き巣が跳ね馬の形をした置物だけを盗んだのはなぜか。
    「名前のない薔薇」美人過ぎる園芸家と中年の泥棒の交流。
    「予告画」実録風ホラー小説。子どもが書いた絵の通りに事件が起きる。
    「料理魔事件」留守宅に侵入した犯人はその家の食材で料理をして去る。
    「片恋」美貌の姉が愛したのはろくでなしだった。不幸な結婚の顛末を妹が見守る。

    いろいろなスタイルのものがあるのがアンソロジーの楽しみ。自分の嗜好もよくわかる。

  • 2022年12月光文社刊。2019〜2021 年に発表のものから30編を選択して、15編ずつ2冊のアンソロジーに収録。先行刊行した陥穽の円舞曲に続く2冊目。選出の巧みさには脱帽。奇跡のような多彩さは豪華に尽きる。楽しめました。1冊目と面白さが、随分と違う(1冊目はイマイチ)のですが、何故だろう?偶然かな。不思議だ。
    【収録】
    オール讀物 2021年7月号青柳碧人:令和忍法帖天高くアルパカ肥ゆる、小説すばる2020年3,4月号赤川次郎:簡潔な人生、小説新潮2020年5月号芹沢央:弱い者、ジャーロ2020年71(春)号石持浅海:新しい世界で、小説現代2020年12月号一穂ミチ:花うた、ジャーロ2019年67(春)号大山誠一郎:不運な犯人、2021年12月ポプラ社刊11の秘密 ラスト・メッセージ所収近藤史恵:孤独の谷、小説現代2020年5月号真藤順丈:ブーテン、STORYBOX2020年12月号知念実希人:震え、実業之日本社文庫2021年10月刊妻の罪状所収新津きよみ:妻の罪状、文蔵2021年10月号東川篤哉:大山鳴動して跳ね馬一頭、2019年4月KADOKAWA刊偽りの春神倉駅前交番狩野雷太の推理所収降田天:名前のない薔薇、小説野生時代2019年9月号三津田信三:予告画、小説現代特別編集2019年5月号宮内悠介:料理魔事件、週刊新潮2021年12月2日〜23日号4回連載米澤穗信:片恋

  • 気になる作家さんの順番に読み進めるという、贅沢な読み方をしてしまいました‼️一穂ミチ→芦沢央→米澤穂信→知念実希人→東川篤哉…。「この作家さんらしいな。」と、安心して読んだり、意外な一面を見たりと、全作品楽しめました。「弱き者」好きです。

  • 「陥穽の円舞曲」と対になっているミステリー・アンソロジー。日本推理作家協会が三年おきに出していて、今を代表する作家30人の短編から選ばれている。
    最初にページをめくると、前書きみたいな部分があって、それぞれの短編の概略や紹介が記載されているので、買う前にパラパラと読んでみるのも良いかもしれません。★は個人的に好きだったお話です。
    青柳碧人「令和忍法帖 天高くアルバカ肥ゆる」
    現代に生きる奇想天外な忍者の隠密活動
    赤川次郎 「簡潔な人生」
    エリート官僚が思わず授業参観で思わず放った一言
    芦沢 央 「弱い者」★
    被災地に行ったプロ棋士が見た才能と境遇、意外な事実
    石持浅海 「新しい世界で」
    座間味くんシリーズの一作。ある事件からおもいもかけない結末へと繋がっていくのは、焼肉屋の席。
    一穂ミチ 「花うた」★
    兄を殺害された被害者とその加害者との往復書簡
    大山誠一郎 「不運な犯人」★
    ワトソン力・和戸宋志が出てくる。バスジャックの話。
    近藤史恵「孤独の谷」
    親族が孤独死を恐れて散り散りに暮らすことを不思議に思い風土病専門の教授にコンタクトをする女子大生
    真藤順丈「 ブーテン」★
    これはミステリーではなかったような…。占領下、戦時下の沖縄を描いた作品。
    知念実希人「震え」
    精神鑑定医影山司の一作。ある交通死亡事故とてんかん患者とうつ病と、様々な病状や状況から真実を暴く。
    新津きよみ「妻の罪状」
    同情すべき介護者の起こした殺人事件から暴かれる真実。
    東川篤哉「大山鳴動して跳ね馬一頭」★
    ルイスという馬が名探偵という驚きの設定…。バディは馬と同じ年齢の牧場の娘、牧陽子十五歳。跳ね馬の置物が盗まれた事件を解決する。
    降田 天「名前のない薔薇」★
    薔薇の品種改良や泥棒が起こすある薔薇の乗っ取りと顛末
    三津田信三「予告画」
    ホラー。死ぬ前に子どもが書いた絵が、事故を予言しているような絵が存在するように思えて怖い。
    宮内悠介「料理魔事件」
    料理をして去っていく奇妙な犯罪が頻繁する平和な街で謎解き。意外な結末。
    米澤穂信「片恋」
    美しい姉と姉のろくでもない結婚相手と、「姉で、その義兄を殺した」妹の話。

  • 初読みの作家さんで面白い話が何作かあり得した気分になった。

  • 『陥穽の円舞曲』に続く二ヶ月連続刊行の第二弾。
    今回も名立たる作家15名が勢揃い。

    2019年〜2021年に発表された短編作品を厳選したものなので、お目当ての一穂さん、新津さん、降田さんのお三方の作品は既読だったのが残念。

    面白かったのは、まだ単行本に未収録の知念実希人さんの『震え』。
    以前読んだ『十字架のカルテ』の精神鑑定医・影山司と医師の弓削凛、懐かしい二人にまた逢えた。

    交通事故を起こした大学教授の心の闇を暴いていく影山。
    その沈着冷静ぶりと人間味ある姿が胸を打つ。

    米澤穂信さんの『片恋』も毒々しくて面白かった。

  • 15人のミステリー作家が紡ぐ珠玉のアンソロジー。各々の作品に作家の個性が顕著に出ていて、読者の好みが分かれるところである。中には読了済みの作品もあった。『大山鳴動して跳ね馬一頭』推し。

  • 花うた
    少し切なく複雑な気持ち

  • 短い話に個性的な設定やどんでん返し、人物の心情など特徴があり一個一個読み応えがあって面白かった。

  • 「令和忍法帖-天高くアルパカ肥ゆる-」青柳 碧人
    「簡潔な人生」赤川 次郎
    「弱い者」芦沢 央
    「新しい世界で」石持 浅海
    「花うた」一穂 ミチ
    「不運な犯人」大山 誠一郎
    「孤独の谷」近藤 史恵
    「ブーテン」真藤 順丈
    「震え」知念 実希人
    「妻の罪状」新津 きよみ
    「大山鳴動して跳ね馬一頭」東川 篤哉
    「名前のない薔薇」降田 天
    「予告画」三津田 信三
    「料理魔事件」宮内 悠介
    「片恋」米澤 穂信

    読後、二週間ほど経ってしまったのですが、もうあんまり覚えていないのです。
    強い印象を残す作品が無かったってことなんでしょうけど。
    そうはいっても、令和忍法帳は面白かったです。が、所収本を読むほどではない。

    一番好みだったのは、「片恋」ですね。
    いいですね、この救いのないかんじ。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一般社団法人日本推理作家協会。推理文芸の普及・発展を目的とし、日本推理作家協会賞、江戸川乱歩賞の授賞、「推理小説年鑑」などの編纂、機関誌の発行などを主な事業とする。

「2017年 『推理作家謎友録 日本推理作家協会70周年記念エッセイ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×