能面検事の死闘

著者 :
  • 光文社
3.57
  • (25)
  • (77)
  • (83)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 787
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334915322

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 能面検事 シリーズ3

    相手が誰であっても、どんな状況であっても、一切表情を変えない。
    故に「能面検事」とあだ名されている、不破俊太郎一級検事の活躍。

    平和な岸和田駅で、“無敵の人”を自称する男・笹清政市が、7人を殺害する事件が発生。
    “無敵の人”とは、家庭・仕事・資産・地位・名誉・居場所、全て持たない人間は、失うものが無いから、何だってやれる…そう言う意味だ。
    犯人は、その場で逮捕されるが、その笹清を擁護するかのように、『ロスト・ルサンチマン』と名乗る男が、連続爆破事件を引き起こす。

    「ロスジェネ世代」と運や環境に恵まれないからと、全て社会のせいにして、無辜の人間の命を奪うなんて、卑怯な事は許されない。

    最終章で、不破検事の能面が、ほんの少しではあるが、剥がれる。それほど、この事件は、凄惨だったと言う事なのだろう。

  • シリーズ3作目。
    今回の事件も実際にあったものを思い出させる。
    失うものがない人って本当に怖い。
    そして「どうして加害者が守られるのか」っていう被害者家族の言葉が辛い。
    不破がタイトル通り体をはっているけど、やっぱりそんな時も能面のままだった。
    それでもラストでは表情に変化が。今後が楽しみ。

  • 能面検事シリーズ第3弾は、岸和田駅前で起きた凶悪な無差別殺人事件&大阪地検等を狙った〈ロスト・ルサンチマン〉による一連の爆破事件。現行犯逮捕された笹清は不気味な引きこもり。その笹清の釈放を要求する〈ロスト・ルサンチマン〉なる謎の人物は狡猾極まりない。両事件を担当する不破検事を検察事務官 惣領美晴がサポートするが…。

    ワトソン役の美晴にはワイドショー的興味本位の言動が多い。捜査情報を他部署にペラペラしゃべる浅はかさも。(感情を全く動かさない厳格な不破との違いを際立たせたいんだろうけど)美晴には "お前ちょっと黙ってろ" と言いたい(笑)。

  • 就職氷河期世代の引きこもりが岸和田駅前で起こした、無差別殺人事件。
    さらに、犯人の釈放を要求する〈ロスト・ルサンチマン〉が、大阪地検への爆弾テロを行い……。

    周りの人間に流されず、忖度もない。
    ただ冷徹に、法にのっとって事件を処理していく。

    スキャンダルを暴かれ、いまだに敵意を抱いている大阪府警でも、変わらぬ能面検事ぶり。

    身勝手で理不尽な犯行による、7人もの死者。
    遺族たちの悲痛な思いの吐露は、痛ましかった。

    シリーズ第3作。

  • 不破検事シリーズ第3弾。

    タイトル通り、身体を張る場面があります。

    無差別殺人事件と地検の爆破テロ事件。爆破事件はリアルタイムで起きているため緊迫感があります。
    無差別殺人事件の被害者家族への聞き取りは涙が出てきました。ラストで被疑者にも心を向けていたシーンでは、ただただ刑罰を求めるのではなく、被疑者を理解した上で起訴をするという本当に公明正大な検事です。

  • 岸和田駅で発生した、被害者七人にも及ぶ無差別殺傷事件。
    犯人は就職氷河期世代の世の中に怨みを持つ男だった。事件は犯人逮捕で収束するかと思いきや、彼に同調する者達が地検や宿舎に爆弾テロを起こしてくる。
    爆弾テロで重傷を負いながらも相変わらずの能面ぶりで不破は犯人を追い詰めていく。
    怪我をしながらもキレのある推理とブレない正義が
    痺れる。

  • 不破検事シリーズ第3作。
    不破の造形は、今野敏氏の「隠蔽捜査」シリーズの竜崎を彷彿とさせ、かなり好み。
    事件の真相自体は想定内だが、不破の捜査ぶりを見ているだけで気持ちがいい。

  • フィクションだと分かっているのに、被害者一人一人のプロフィールや家族の思いが詳細で、悔しくて腹立たしくて、たまらない気持ちになってしまった。どんでん返しの痛快さや、ラストに垣間見えた不破さんの人柄よりも、被害者・遺族への感情移入にかなり引きずられた。

  • 能面検事、不破俊太郎の小気味の良い受け答えと事務官、惣領美晴の感情が先走る発言は健在。途中冗長な部分はあるが、ラストスパートで中山七里らしさが出てる。ただ、意外な犯人ではあるが、定番の大どんでん返しはない。

  • このシリーズ本当に好きです。揺らがない軸や信念を持っている人は本当に強い。
    最後の最後で人間味のある内容が描かれていて、物語としても好き。
    続編を楽しみにしている一冊。

全67件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×