- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334924232
感想・レビュー・書評
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三角関係?不倫?
と思っていたら、なんだか怖い展開に
最後の最後、本当に最後のところで
なんだかスッキリしなかったなぁ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
半ばまではすごく面白かったけど、超常現象的なことが始まってからちょっと失速したかな・・という感じです。人と人のつながりは、「合う」ということが基本で、一方的ではないという言葉はとてもいいと思った。
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はじめは普通な物語が進んでいたのだけれど、途中からの展開が衝撃的だった。?というような、非現実(?)な展開で、そのまま終わってしまった。ただ、惹きつけるなにかがこの物語にはあって、途中目が離せなかった。
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この世の全部を敵に回して と同じテーマだと思うのですが、こちらは優しい着地にしています。それがちょっと物足りなかったけど、万人受けするにはこれしかないのかな。でも、下手な恋愛ものよりは良いけどね。
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ホラーと超能力と恋愛がまじりあった一冊。
性描写はエロすぎて、辟易してしまいますが
全体的には、とても面白かったです。
さくさく読めて、読了後も余韻が残る
加えて、ちょっと考えさせられるトコも。 -
P61
<<・・・
いま自分がしてきたことは、まるで動物以下の所業だな、
と思ったのは、最寄りの駅で降りて家に向かう道すがら
でのことだった。>>
P75
<<・・・
こうして由香里の生活に次第に溶け込んでいくことで、
否応なく彼女との親密さは増していくに違いない。
だが、こういうことは誰にも止められないんだよなあ、
と昴一はぼんやり思った。>>
●あまりに欲望に忠実で、絹子を顧みない昴一の行動に
はじめ呆れ果てたが、現実もそういうものではなかろうか
と思った。
人間の三大欲求の中で最も衝動的なものが性欲だと思う。
多少空腹でも食べ物を我慢することは容易なことだし、
眠気を抑えながら数日に渡って起き続けることもできる。
食欲、睡眠欲は理性で制御できる欲求だと言える。
しかし、性欲だけはどうにも我慢できない。
頭では倫理に反することが分かっていても、衝動を抑える
には強い意思が必要になる。日常的には抑えられても、
性欲を満たすことのできる状況において、自制することは
困難である。これを回避するには、はじめから対象に性的
欲求を持たないことしかないのではないか。
P120
<<・・・
昨夜は連絡もしてこなかった。むろん絹子からの電話に
昴一が出たはずもないが、それでも何度もかけつづけると
いうやり方もある。そこは難しい局面だが、しかし、ほんとうに
相手との関係を維持したいと望めば、やはり電話は寄越
すべきだろうし、留守電にメッセージくらいは残しておく
べきだろう。親子にしろ夫婦にしろ親友同士にしろ、人間
関係というのは軽く見はじめると際限なく軽く見られるように
なってくる。>>
●関係を繋ぎ留めておくのに、連絡は不可欠なものだ。昴一の
言うように絹子から連絡するのは筋違いな気もするが、
そんなプライドよりも相手への想いが勝っていれば連絡せず
にはいられないと思う。
P154
<<この老子の言葉に触れて、その晩の高木はまさに電撃に
打たれたような感覚を味わった。自分はいままで丈太郎の
ことをごく普通の子供らしい子供にしようと躍起になって
きた。その挙げ句、酔った勢いで誇張めいた言辞に自ら
溺れただけの老人を殴り倒し、大切にしてきた仕事まで
棒に振ってしまった。だが、この僧侶の記すように、
たとえ五体満足に生まれたとしても「匙」のようにしか
生きられないものばかりのこの世界で、果たして自分は
丈太郎よりもどれだけ真理に近づくことができていたろうか。
・・・
要するに、自分は丈太郎が不自由な身体の全部を使って
自分や妻に必死に教えてくれようとしたことを一顧だに
せず、ないがしろにしつづけてきたのではないか。すぐ
近くある道を知らず、どこにでもある真理に目を止めず、
ただ自分は自分の見栄のために、決して肩代わりのできぬ
苦しい日々を耐えている丈太郎の存在を、実のところ一切
認めようとしなかったのではないのか。そしてこの十年の
あいだ、何をなすべきかをほんとうに知っていたのは自分
ではなく、むしろ丈太郎の方だったのではないか-高木は
不意にそう悟ったのだそうだ。>>
P209
<<結局のところ、昴一は絹子という人間の表層だけを見て、
その美質にしろ欠点にしろ判別してきただけだった。
人間同士の相互評価などその程度のものと割り切るしか
ないのかもしれないが、しかし、とはいっても夫婦の縁を
結び一度は生涯を伴にすると約束した相手に対しては、
それ相応の肉薄をすべきが、夫としての義務だったに
ちがいない。愛することや慈しむこと、また逆に憎み嫌う
ことであっても、その大前提になるのは可能な限り相手を
知ろうとする努力だ。だが、大体のところ、親子や夫婦の
ような緊密な関係になればなるほど、実はその努力を
怠っているのが世の現実なのではないか。知ろうとする
意志は、実は、愛したり憎んだりする意志とは相反する
領域に根を張る性質を持っているのかもしれない。だから
こそ、愛憎は人間を盲目にし、しかも誰もがそこに人間
臭さや人間らしさをついつい汲み取ってもしまうのだろう。>>
P255〜P256
<<よくよく考えてみれば、
・・・
そもそも絹子には、彼が会社を辞めた真意について深く
考える姿勢が最初からほとんど見受けられなかった。
彼女は、事前の相談もなく辞表を出した夫にただ呆れた
だけで、何故いきなりそんな行動に出たのかを真剣に
質してもこなかった。
しかし、あの時の昴一は、八年足らずの会社勤めで実は
ひどく傷ついていたのだった。
・・・
そうなのだ、会社を辞めたとき、自分は絹子に心から助けて
貰いたかったのだ。
・・・
ほんとうは、あの苦しかった時期こそ、絹子が昴一のために
なにふり構わず尽くすべきだったのではないか。自分もまた、
そのことを強く絹子に求めるべきではなかったのか。
●人間関係の真髄である相互理解。互いに理解し合い、慈しむ
ことができれば、どんな問題も起こり得ないと思う。しかし、
現実には自分の想いを包み隠さず打ち明けることも、相手の
告白を受け入れることも容易なことではない。
P322
<<・・・
人は憎むのではなく、憎み合うのだ。人は愛するのではなく、
愛し合うのだ。そうやって「合う」ことこそが愛と憎しみの
本体に他ならない。
魂と魂とが触れるとはそういうことだ。そして目に見えない
世界では、人と人、人と動物、人と草木、人と水や土や鉱物、
それらが無限につながり「合い」、絡まり「合い」、重なり
「合って」いる。「合う」ことがすべての基本であるという
ことは、つまりはそれら全ての魂はもともと一つのものに
違いないのだ。>>
巻末
<<洒落た会話や思わせぶりな設定で愛や苦しみ、やさしさや
ジョークをお手軽に書き散らしただけの小説はもう必要
ありません。
自分が一体何のために生まれ、生きているのか
それを真剣に一緒に考えてくれるのが、本当の小説だと
僕は信じています。
白石 一文 >>
読了日:2010/07/21 -
村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を連想させたが、設定も人物も落ちる。主人公の行動は不自然だし、女性達の個性も生きていない。思考ばかりが空回りし、展開にはこじつけみたいな部分が多い。伏線がラストにどう反映されるか期待したが、たいしたことなく肩透かし。いろいろと盛り沢山だけど薄味だなぁ、白石さんにしては失敗作だと思う。
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最初読んだ時は、10代の学生だったので、
性描写や登場人物たちの言動がえげつなく思えて、えーってひいたのを覚えてます。
ただ、20代になって、
多少いろんなことに揉まれてから読むと、
一見身勝手ないろんな描写もすんなり理解できて、へーと思いました。
私は、スピリチュアルワールドを信じる方なので、
そのへんもすんなり受けいれられました。 -
白石さんがSF?!とびっくりした
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三角関係の話かと思えば、そんなことは些細な問題でしかなく。
生と死の対比と、その捉え方についての話だった。
テーマが一貫してるんだなぁ、と毎回思う。
断定的な語り口で大きな観念を語るキャラクターが多くて、
その大きな視点の中で赦されてしまう残酷な思考に反発も覚えて、
でもそれでも気になる文章だなぁ、と思う。
懲りずに他の作品も読むと思います。