短劇

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926465

感想・レビュー・書評

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  • 梶井基次郎の〈檸檬〉をモチーフにした作品が
    読みたくて図書館でお取り寄せ。
    〈檸檬〉はいろんな作品に影響しているよね…と
    だい〜ぶ以前に、友達と話した事があって、いつまでもそのままになっていて、忘れかけていたけれどやっと読めました。
    かなさんにも感謝です。

    この本は26話も収録されているショートショート集。
    ホントにいろんな作風を楽しめるようなバラエティ豊かな本。(ブラック、不気味なのも多いです…)
    時間が無いときなどに少しずつ読むにも向いています。

    「雨宿り」
    梶井基次郎の「檸檬」が好きな私の贔屓目もあってか…この作品が一番好き!
    片想いの彼女に主人公の僕が抱く恋心の切なさがもう、たまらない!!
    キュンキュンする気持ちが文章から溢れ出している、檸檬爆弾ならぬ、パイナップル爆弾、でした。

    しかも二人が行った場所はあの「丸善」。
    かつての文人の激情に似たものを、僕は密かに(あるもの)に仕込んで…それをそっと手渡す…のだけれど
    好きな人の幸せを願う為に、
    なんと『不発』を願うという………文章が
    さり気なく…。
    そんな主人公の想いを考えると
    何とも。セ、ツ、ナ、イ…!

    友達からも「雨宿り」良いよ…と聞かされていたのだけれど実際に読んでみて私も
    「檸檬」リスペクトを感じたりしました…

    どれもすごく短くて、あっという間に読める作品ばかり。
    すぐにネタバレになるので紹介が難しい…(笑)
    「目撃者」→流し台のちょっと面白い話。
    「幸福な密室」→ひとりでエレベーターに閉じ込められても孤独を感じない俺の訳とは…?
    「最先端」→ファッションネイルについてゾクッとする話…など、
    他にもいろいろいろ奇妙な話がたくさん…。

    気になっていたのは「雨宿り」。
    読めて良かったです…。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます!!
      こちらこそ、チーニャさんに感謝ですっ(*^^*)
      「雨宿り」、そう来たかっ!!って読んでて思っちゃ...
      チーニャさん、おはようございます!!
      こちらこそ、チーニャさんに感謝ですっ(*^^*)
      「雨宿り」、そう来たかっ!!って読んでて思っちゃいました。
      この作品って短編が沢山収録されてるせいか、
      ころころ視点が変わるので、飽きる暇が持てない感じですよね!
      そうそう、流し台の「目撃者」も面白かったし、
      「最先端」は、想像したら怖くなりました(*_*;
      2024/01/17
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、こんばんは♪

      一緒に読んでお付き合い下さり、ありがたいです〜♡
      スッキリできました〜m(_ _)m
      かなさ〜ん、こんばんは♪

      一緒に読んでお付き合い下さり、ありがたいです〜♡
      スッキリできました〜m(_ _)m
      2024/01/17
  •  この作品を読んだきっかけは、乙女の本棚シリーズで梶井基次郎さんの「檸檬」を読んだ私に、チーニャさんが、パイナップル爆弾もあるらしい…って教えてくださったのがきっかけです!チーニャさん、お先に読ませてもらいましたよ♪ありがとうございまーす!!

     この作品には26編もの短編作品とあとがきが収められてます。どの作品も短くて、あっという間に読み切れてしまいます。連作ではないので、その都度新しい作品を読める感じです。で、パイナップル爆弾は、「雨やどり」って作品登場します。正確には、パイナップル手榴弾ですねぇ~。主人公の男性が片思いの相手に、そっとしのばせたパイナップル手榴弾をプレゼントする…なんとも切ないストーリでした。

     面白かったのは給湯室のシンクの「目撃者」、あとサイト巡りの「MM」、「しつこい油」「最先端」「試写会」「秘祭」も結構好きで、私好みかな~!でも、ほのぼのさせるような展開ではないので、そのつもりで読まないとです。ちょっとダークでオカルトちっくなストーリーの詰め合わせ的な作品になってます。これだけの作品が収録してあると、バラエティーに富んでいていいです。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、こんばんは(*^^*)♪
      おお、「短劇」読まれたんですね〰️!!パイナップル爆弾☆
      よくぞ覚えていて下さいました…(✪▽✪)♪
      ...
      かなさ〜ん、こんばんは(*^^*)♪
      おお、「短劇」読まれたんですね〰️!!パイナップル爆弾☆
      よくぞ覚えていて下さいました…(✪▽✪)♪
      ありがとうございま〜す♡
      うちの図書にも無くて、書店で探しても見つからず。そのまま忘れておりました…(笑)
      私も読んでみますね、他の図書館から取り寄せますー♡
      2023/12/14
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます!
      チーニャさんに、パイナップル爆弾のこと
      教えてもらったのはだいぶ前ですよねぇ(^▽^;)
      チーニャ...
      チーニャさん、おはようございます!
      チーニャさんに、パイナップル爆弾のこと
      教えてもらったのはだいぶ前ですよねぇ(^▽^;)
      チーニャさんが、忘れるほど前で…
      でも、読めてすっきりしましたよ(*^^)v
      チーニャさんのレビューも、
      いつか読めること、楽しみにしていますね♪
      2023/12/15
  • なんだなんだこのワクワク感は。

    いろんな味が詰まってる
    LOOKチョコレートを食べてる時の
    あの感覚に近いのかな(笑)

    しかもカフェラテ風味から始まって
    徐々に苦さを増していく
    ビターな味わい。



    この短編集がスゴいのは、
    筆者の坂木さんが
    読んでくれる人の笑顔や驚きを想像しながら
    嬉々として書いてることが
    文章の隅々から
    伝わってくること。


    老若男女問わず
    受け入れられるであろう懐の深い笑い。


    1話10ページ程度の長さの
    星新一が得意とする
    SF(少し不思議な)な
    ショートショートの世界と、

    阿刀田高みたいな
    ブラックさが効いてます。




    自分が気に入った話は、

    ラッシュアワーの地下鉄で見た
    心優しき幽霊の正体とは…
    「カフェラテのない日」



    恋心をパイナップルに隠す
    洒落たオチが効いてる
    「雨やどり」



    バースデーケーキに関わる人たちの
    それぞれの心の声が面白い
    「ケーキ登場」



    ただ穴を掘るためだけに
    穴を掘り続ける男の
    シュールな人生を描いた
    「穴を掘る」



    顔を見るだけで望みの物件が分かる、
    不思議な不動産屋のおばちゃんが魅力的な
    「物件案内」



    試写会の会場で映し出されたのは
    自分の行動を隠し撮りした映像だった…
    「試写会」



    17歳になると参加しなければならない
    他言無用のお祭りの秘密とは…
    『秘祭』


    かな。



    キュンとしたり、
    切なかったり、
    グロかったり、
    変だったり、
    イラっとしたり、
    ホッとしたり、
    ニヤリとできたりの、
    バラエティー豊かな
    26ものショートショートが収められているいるので

    一気に読むより
    一日に
    一編かニ編ずつ、
    少しずつリセットしながら読むほうが
    新鮮な気持ちで楽しめます。


    あっ、読後は
    まあるいものが無性に気になる
    魔法にかかるかも(笑)

  • これまで読んだ作品の印象から、坂木司=ほのぼのだったので、この作品はイメージが違って意外だった。あまりにブラックだと後味が悪いけど、このくらいのブラック加減なら小気味よく読めるかな。短劇というタイトル通り、ショートフィルムを集めたような作品。

  • 1)【カフェラテのない日】

    満員電車に乗ることは滅多になくなりましたが、この作品の「私」の気持ち分かるなぁ。
    地下鉄の窓ガラスを眺めて、他人と目が合うことも。笑
    不思議で、素敵な出来事・・あるといいなぁ・・・

    2)【目撃者】

    もしこれに感情が宿っていたらと思う家庭にあるものって何でしょうね・・。
    冷蔵庫に宿ったなら、すごく怒られそうです、私。
    「すぐ閉めて」とか「賞味期限切れてるぞ」とか。
    では、会社ではどうでしょう?
    社員の本音がちらりと見える所って・・。
    そこに、ドラマがありますね・・
    この話の最後はスッキリします。「スッキリ」がキーワードかな・・?
    両方の意味で。

    3)【雨やどり】

    ♪せつな~い、片思い、あなたは気づかない~♪
    何故か、キョンキョンの歌が。苦笑。
    純愛? ディープラブまではいかないよね・・
    これはある意味、精神的な拷問です・・・
    あ、グロくないですよぉ、可愛いもんです・・
    あれ?

    4)【幸福な密室】

    ああ・・本当の密室は心の中にあるのね・・
    私もそうかもと思う時が・・。
    でも、本当に人類最後の一人になっても、淋しくないかも・・

    5)【M M】

    ああ!これやってみたい!ひゃひゃひゃ
    息子に知られずにね・・・
    さぞ、びっくりだろうな・・ひゃひゃひゃ
    後ろにいるのは・・そう・・私だよ~!って感じ?
    ひゃひゃひゃ・・

    6)【迷子】

    あらら・・・途中まで応援していたんだけどな・・
    努力する、この人を。
    目的地についても・・彼は大丈夫なんだろうか?
    これは・・ブラックだなぁ・・

    7)【ケーキ登場】

    これ、劇を観てるよう・・。
    いちにのさんで、あれあれあれってなっちゃう・・
    これは、でも人生においてはあることじゃないかな・・
    人それぞれ、色々抱えて生きてるってことさね。

    8)【ほどけないにもほどがある】

    これ・・怖いです・・
    言い知れぬ気持ち悪さですね・・・
    再会しないことを願うのみじゃないでしょうか、この主人公は。

    9)【最後】

    仏の顔も三度まで・・か?
    ラストの顛末に何故か、ホッとしてしまう。
    自分の非情さに気づく作品。

    10)【しつこい油】

    どっちもどっちって感じ?
    女同士の闘いって怖いな・・。
    特に陰湿なのはね。
    でもそんなことばっかりやってると、最後はこうなるってことかな。

    11)【最後の別れ】

    絶望の中の希望・・?
    救いがあるのかないのか・・・・。
    男女なら、「こんな辛い別れがあるなら出会わなければよかった」的な感情?
    カタツムリだったらよかったのに・・
    雌雄同体で。(苦笑

    12)【怖いのは】

    「本当に怖いのはお化けなんかじゃなくて、人だよ」と、子供のころに
    親に言われたことがあります。
    本当に怖いのは・・・醜き・・老い方なのか・・・
    それとも、社会?

    13)【変わった趣味】

    ひたすら・・空しい・・
    空しすぎるよ・・君・・・たち。

    14)【穴を掘る】

    墓穴はよく掘ってしまう私ですが・・。苦笑
    でも、蟻地獄的恐怖だな・・これ。

    15)【最先端】

    これは映像化しちゃいけません。
    私の嫌いなモゾモゾ感が・・・
    そして、人は窮地に立つと、悪魔になれる。

    16)【肉を拾う】

    あ、これ某ピー!な国やピー!なハンバーガーショップでありそうな話ですよね。
    (あ、これ冗談ですけど。苦笑。)
    あの肉は何の肉?って。
    でも、動物愛護の見地からは理想的かも。
    実際、白身魚の切り身で売られているもの中には、
    本体がかなりグロいものもあります。
    深海魚っぽいやつとかね・・・
    着色料もコチニールという赤色の原料は虫ですから・・・。

    17)【ゴミ掃除】

    これは現代の闇を問うたストーリーじゃない?
    痛みを知らぬ奴には、自分がしようとしたことを味わってみるのも一興(?)かもね。
    最近のやるせない事件を思い起こすお話。
    こんな掃除人・・実際はいないよね・・残念。

    18)【物件案内】

    疲れた心に、これは温かいな・・。
    こんな人の交流なんて、今は少ないんじゃない?
    寮生活みたい。
    実際、これでずっとって言われると、しんどいだろうけどね。
    しっかり、応用もできるしさ。笑

    19)【壁】

    これ・・じわりと怖い・・
    壊れていくのは、壁じゃない・・・

    20)【試写会】

    これは反省しちゃった。
    客観的に見たら、私もこんなだわ。
    自分が中心だからね・・。

    こんな結果になるなら、日頃から・・と感情移入しちゃった。

    21)【ビル業務】

    これ理想だ・・こんな出会いをしてみたい!
    好奇心も大切よね。

    22)【並列歩行】

    これ、ちょっと笑ってしまった。
    いつの間にか、芽生える友情に。
    え?一度もしゃべってないじゃん。
    これはドッペルゲンガー?!

    23)【カミサマ】

    絶望の淵から救ってくれた(?)カミサマ。
    イワシの頭も信心から・・ですよね。笑

    24)【秘祭】

    「俗称・青春なまはげ」!爆笑。
    聞きたくないよね・・・・
    この祭りは笑えちゃう・・

    25)【眠り姫】

    森羅万象?生老病死を一気にお届け!
    悪寒が・・

    26)【いて】

    ラストでのゾワリ感・・・良かった良かったではすまない気が・・。

    --------------------------

    以上です。
    毒毒しいかと言えば・・確かにそうかも。
    でも、その根底にある倫理観は理解できるかな・・
    全くのブラックではない作品です。
    その先にほのかに希望の光が見えた気がしたのは私の気のせい・・・?
    なかなか面白い短編集でした。

  • えーって思ったり、ちょっと笑っちゃったり、ぞわってしたりと忙しい一冊でした!
    面白かった!

    好きなのは、「目撃者」「秘祭」。

  • ショートショート。ブラック寄りなのに軽く(ちょっと軽すぎるかも?)、さくさく読みやすかったです。とっても小気味よい感じ。不思議な作品もあり、好きな雰囲気で、この方の他の作品も読んでみたくなりました。

  • 大好きな坂木司の新刊。
    ショート・ショートの詰め合わせ。前半は可愛らしく、後半はブラックに。

    『カフェラテの甘い日』は『シンデレラ・ティース』みたいな可愛いおはなし。
    現実にはありえなさそうな、でも偶然あるかもしれないと思ってしまうような、
    まるでハーレクイーンの世界みたいな坂木司のこういう展開が好きです。

    で、ブラック系は『ほどけないにもほどがある』『ゴミ掃除』が面白かったです。
    恐いですけどねー。生々しいし、描写が。
    『ビル業務』は東野圭吾とか赤川次郎みたい。
    日常なだけど不思議でシュールなショート。
    地味に気に入ったのは最後近くの『眠り姫』。
    かぼちゃも王様も人間全ても同じ。死と再生の繰り返し。
    同時にサンテグジュペリ読んでたのでいろいろ混じって考えちゃいました。

  • あ〜〜〜〜久々に好きな種類の本が来たって感じでした。
    オムニバス形式で読みやすく、中身も不思議系というか、ピリッと唐辛子が効いてる感じというか
    ええ?!っというダーク部分も時々あるけど、それがまた絶妙。

  • 300ページ超の中に27本の掌編が収録されており、そのどれもにちょっとした仕掛けがある。
    後味が悪いものが結構あるので、次の作品を読むときにちょっと構えてしまう。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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