スタート!

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 563
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928575

作品紹介・あらすじ

映画製作は綺麗事では出来ない。莫大なカネがかかる。口を出したがるヤツも多い。スケジュールはしじゅう変更になるし、実力のある俳優にはクセがある。さらに、何者かの妨害も入れば、事件も起こる。監督は、気難し屋の完璧主義者で、しかも、半死半生の老いぼれだ。それでも、今、撮り上がりつつある作品が、物凄い傑作になることは、誰も、まったく疑っていなかった。頑固一徹な天才監督と軽薄で無能なプロデューサー。軽薄な二枚目スターとスキャンダルまみれのアイドル。デビュー作にして大ヒット作『さよならドビュッシー』の映画化を控える著者が、しがらみをモノともせずに、本気で映画業界のリアルに迫る、熱血モノ作りエンタテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 連続殺人鬼 カエル男の映像化が、困難とされている。
    それならば、小説で、映画化してみよう!
    と、この小説が出来たと言う。

    宮藤暎一は、映画制作の助監督をしているが、いつからか、やっつけ仕事に慣れて、自己嫌悪に陥っていた。
    そんな時、憧れ心底惚れ込んでいる、大森監督の映画作成の声がかかる。
    互いに慣れ親しんだ、大森一家が招集されたが、「製作委員会方式」の映画となり、その製作委員会からの横槍で、当初予定していたヒロインを、テレビ局の看板女優に、チーフ助監督を、テレビ局のディレクターに押し込まれたりと、やりにくい現場となった。

    病魔と戦いながら、メガホンを取り続ける、大森監督を中心に、撮影は始まるが、
    そんな現場で、2件の障害事件、最後には殺人事件まで起きてしまった。

    殺人事件そのものは、あっさりと書かれているが、
    映画撮影の現場が、「カエル男」を映画化しているので、登場人物や、事件の様子が手に取るようで、
    とても面白かった。

  • ひとつの映画を作る際にある様々な人間模様。
    お金や出資者とのしがらみ。そして内容に対する様々なクレームなど。
    困難な現実と戦いながらも作品作りに邁進する物語。
    その中で妨害するように様々な事件も起こり…。
    解決したと思ったら新たな問題と。飽きさせない展開。
    面白い作品でした。
    「連続殺人鬼カエル男」を読んでいれば、更にこの物語にハマりそう。

  • カチンコの音とともに、高まる緊張感と注ぎ込まれるエネルギーに結構わくわく。
    監督、役者、スタッフ、脚本、出資者…まさに劇場型の群像劇です。
    商業ベースの映画界の内情も見えてきて、まぁだいたいこんなもんだよねーとマスコミにうんざりしたり、鬼のような老獪監督にうへぇーとなったり。
    でも、こういう熱さや豪胆さは嫌いじゃないです。

    巨匠監督の映画撮影現場で起きる騒動を、やや凡庸とした助監督目線で語られていくのですが、実はこれミステリーだったのね的展開になってきます。
    ま、ミステリー要素あってもなくてもくらいな感じなんですが、それなりに伏線になってたり、ラストのまとまりもよく、エンタメとして楽しく読めました。

  • カリスマ映画監督が、3年ぶりの新作にとりかかる。
    久しぶりに終結した大森組の、前途は多難で……。

    スタッフ側から描かれているので、映画作りにかかわるいろいろな仕事について知ることができる。
    テンポのいいお仕事小説としてたのしむ。

    ミステリ的には、引っかかるものが。

    作中でつくられる映画「災厄の季節」は、『連続殺人鬼カエル男』が下敷きになってるそう。
    そちらを読んでいると、また違った楽しみ方ができたのかも。

  • すごい楽しめた。映画の世界はわからないが、それぞれの思いが交わる形で映画が出来上がるのね。中山七里の他の作品読んでから読んだ方が楽しめる。

  • 市川雷蔵主演の時代劇で『中山七里』という映画があるみたいですが、作者のペンネームはそこから採ったんですかね。

    大森宗俊監督ひきいる『災厄の季節』の撮影現場。
    当初の予定からかけ離れたスタッフとキャストの変更。
    出資者の思惑が絡む、幾度とない軌道修正。
    そして現場で起こる事件。
    トラブルの連続に追い討ちをかけるように現れるゴシップ記者に自称市民オンブズマン代表。
    セカンド助監督の宮藤映一が数々の難題を乗り越え謎を解く(?)

    映画業界のからくりというか内情に関しては興味深いところはありました。ちょっと説明が多い気もしますが。

    2012年11月の刊行でまだ新刊と言ってもいいと思いますが、なんだか昔の作品を読んでいるようで、ちょっと古さを感じました。

  • 様々な想いが混じりあって進んでいく展開は予想がつかず、熱気や緊張感を感じさせる臨場感が面白かった。

  • 注目に値する作家を見つけた!
    「かえる男」を脚本にしたてて、名監督が映画を制作するエンターテイメントとサクセスストーリーの人間模様に本格推理を絡ませる。
    最近の推理小説は、人生観やワーキングホリデーを捉えた物語構成が多い。専門知識と哲学的根拠を語り、人物像に肉迫する文学志向の味のある作品を作り上げてくる。推理小説が直木賞や芥川賞の候補に挙がる由縁だろう。
    この作品も好書と言える。
    謎解きのどんでん返しも、犯罪の人間臭さを醸し出している。物語の裏の裏を掻く小気味のよい作家だ。

  • まさかの「連続殺人鬼カエル男」の映画化のお話し。実際に公開されたらR15指定受けるんだろうなぁと思うけど、小説も映画も好きな人が読んだら大満足間違い無しという感じです。最近の邦画の面白くないものは製作委員会方式のせいだったのかと納得しそうになりました。

  • 映画ミステリー「スタート!」主人公の宮藤映一は助監督。いつからか無難な選択をすることに慣れ自己嫌悪に陥っていた時、心底惚れ込んだ大森監督率いるスタッフから映画作成の声がかかる。互いに実力を知り慣れ親しんだメンバの他、資金提供の代わりにテレビプロデューサーが加わるのだが。。面白かった。映画のキャスティングから公開まで、監督が脚本家、役者、カメラマン、美術、照明などをまとめ上げ作品を仕上げていく過程が詳細に描かれる。問題作に監督生命をかける大森、病魔との闘い、資金難、事件の影、いくつもの試練をスタッフが乗り越え成長していくところが読んでいて心地良く爽快。ミステリーより映画作りの仕組みがわかってタメになったという印象が強い。この作品を読むと出来上がった映画が気になってしかたがない。映画化希望。是非とも観てみたい!

    • ykeikoさん
      確かに映像化されたら面白いかも。中山七里さんの作品はそういうのが多いね(^^)
      確かに映像化されたら面白いかも。中山七里さんの作品はそういうのが多いね(^^)
      2013/02/08
    • hyoshi52さん
      ykeikoさん、この作品で取り上げている映画ですが「カエル男」らしいです。未読なので読んでみます!
      ykeikoさん、この作品で取り上げている映画ですが「カエル男」らしいです。未読なので読んでみます!
      2013/02/08
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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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