トキワ荘青春日記+まんが道

著者 :
  • 光文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334952792

感想・レビュー・書評

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  • あまりにも有名なトキワ荘。手塚治虫の後に入居した藤子不二雄Aこと安孫子素雄の日記。挿入される「まんが道」も良し。

    石ノ森章太郎ら赤塚不二夫、つのだじろうなど、漫画界の梁山泊。それをまとめる最年長の寺田ヒロオでも24歳。漫画界の発展に欠かせないトキワ荘の日常、安孫子素雄の日記。藤本弘との適度な距離の関係も奇跡的。

    またマンガ家が締切に追われる生活の中でも映画や小説が欠かせないことも日記から良く分かる。

  • まんが道を読み終わった後に読んだ。漫画用に脚色されていない本当の日記だが、あの漫画がいかに事実を元に作られているのかがよくわかる。
    漫画も素晴らしいが、何より若い頃からのA先生の文才。
    人柄が良く滲み出ていて読んでいて楽しい。
    トキワ荘のリアルな生活感を味わうことができる名著だと思う。
    A先生は漫画や映画だけではなく、文学にも造詣が深いのだとわかった。

  • これは日記文学としても、創作としてもすごく良いものです。ある時代のある場所に才能がぎっしりと集結していたことが、さりげない文面からよくわかる文章だと感心しました。

  • まさに青春時代の思い出。トキワ荘での、少し自堕落で夢と不安がない混ぜになった空気感が、藤子不二雄A氏のどこか明るく俯瞰した文章で綴られている。
    「ライバルではなくて。いつでも仲間だった。だからぼくは漫画が描けた」この一文が全てを物語っている。

  • 過去にカッパノベルズで発売された時に読みましたが、その時に収録されていたトキワ荘のメンバーとの対談やF先生の補足がこの本には収録されていなくて残念でした。
    「まんが道」の一部が挿入されているのも効果的とは思えませんでしたし、せっかくハードカバーで再刊するのなら、それに見合った構成にして欲しかったです。

  • 藤子不二雄A先生がトキワ荘時代に綴っていた日記をまとめたもの。のちの『まんが道』の該当シーンが、随所に挿入されている。ゆえに「+まんが道」なのだ。

    私的な日記だから雑然としているし、『まんが道』などの作品のようにスッキリまとまってはいない。トキワ荘で過ごした7年間が、すべて日記化されているわけでもない(なぜか昭和33年/24歳の1年間はまったく記述なしだし)。

    それでも、生々しい青春の記録として感動的である。

    《『トキワ荘青春日記』は、功成り名を遂げた成功者が、かつての苦しい青春時代を余裕をもってあとから回顧する書物ではありません。いまその窮境のさなかにいる当人が、自分の置かれた状況を告白する記録なのです》

    中条省平が解説でそう書くように、20代の藤子不二雄A先生の苦悩や迷いが赤裸々に綴られ、胸を打つ。

    とはいえ、客観的に見れば苦しい状況であっても、藤子不二雄A先生ならではのカラリとしたユーモアに満ちた文章で綴られるので、楽しく読める。

    以前読んだ、『周恩来「十九歳の東京日記」』を思い出した。のちの偉人の、まだ何者でもなかった青春期の日記という点が共通している。

  • マンガの神様・手塚治虫氏を筆頭に、寺田ヒロオ、藤子不二雄、鈴木伸一、森安なおや、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが下積み青春時代を過ごしたマンガ家の梁山泊「トキワ荘」

    アパート内では、毎夜の宴会に「新漫画党」なる漫画誌の発刊。お金の貸し借り本の貸し借り、引っ越しのお手伝い。銭湯や映画、草野球やハイキングやスキーにまで一緒に行く仲の良さ。個性バラバラだけれど、マンガを何より愛する気持ちで繋がっていて、互いに認め合っている「気持ちのいい青年」たちなのだ。

    夢叶えてトキワ荘を去った人たち
    夢破れてトキワ荘を去った人たち
    そして、誰もいなくなった。


    映画「トキワ荘の青春」では、
    トキワ荘の喧騒を日常として淡々と描いている。

    それは全ての人が成功したわけじゃなくて、
    全ての人の努力が報われたということではなくて、
    日本のどこかありふれた片隅で、
    「夢」を追いかけた人達への、
    青春賛歌であり人生賛歌である。

  • 藤子不二雄Aのトキワ荘時代の日記となると、著者が鬼籍に入った今時点既に貴重な史料で、後世になるほどその価値はさらに増すように思う。同じ夢を持つ若者達の一つ屋根の共同生活は、偉大な漫画家たちの揺り籠として、貧乏で不規則で時に怠惰な姿さえ、燦めきをもって伝わって来る。1950年代後半の風景や暮らしの具体的描写も興味深いし、彼らが頻繁に映画や文学作品や最新機器に触れ刺激を受けていたなど、無駄な時間が実は少なかった事に気付かされる(仲間達の語らいは言うまでもない)。トキワ荘を扱う書籍は多いが、当事者による纏まった「実録」は本書が唯一で、彼の主観を通したトキワ荘に佇む感覚は、なんとも言えない心地良さがあった。

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