「こころ」はどうやって壊れるのか ~最新「光遺伝学」と人間の脳の物語

  • 光文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334962616

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。現在ホットなダイゼロス博士のオプトジェネティクス(optogenetics)の本、と思ったらば、そうでもない、が、面白い(どやねん)。しかし、訳がしんどい。臨床例のところはまだ読めるとして、全体的に原文を想像してしまうという、ものすごくしんどい読書がオートパイロットで行われる(自分の問題だが)。定型句ぽい言い回しとか、そのまま直訳されても、、。ともかく、日本語向きではないので、それをここまで翻訳しているのはすごいことだと思う、が、めんどくさくとも、ダイゼロス博士の論文だけ別読みするのがよかろうとは思う。原題はProjectionsという、お洒落な掛け言葉(でもないか)で、気の利いた感じ、脳味噌のエリアとか未来予測的なちゅうか文学的なちゅうか、色々な意味を内包していて良いと思う。でまあ、オプトジェネティクスについては、私もなんや理解度が浅っさいが(笑)バイオエンジニアリングで、光をつかって蛋白質(脳味噌やら神経細胞やら)を制御するちゅう話ですな。後書きに共同研究している日本人研究者が説明されているので、そっちを先に読むのもよかろうかと思う。症例は脳幹がん、大鬱病、躁病、双極性障害、自殺願望、自閉スペクトラム、境界性人格障害、総合失調症、不安障害、摂食障害、認知症。総合失調症の章では、映画”Beautiful mind"を思い出し、あの映画音楽が頭の中をぐるぐる回った。匂いや光もそうだが、音も記憶と連動して再生されるねぇ。未来には、脳味噌のピンポイントに光を当てれば、経験してもない匂いや音を脳内再生できるようになるんだろうか。トータルリコールとか、マトリックスとか、漫画”コブラ”の冒頭のあの脳に信号を与えて夢を見させるトリップ・ムービーみたいなのんとか、、。自分の本当の経験と、外入れの経験の区別は自分の脳につくんだろうか?
    色々考えさせられる良著

    PROJECTIONS
    A STORY OF HUMAN EMOTIONS
    BY Karl Deisseroth ©️2021

  • カール・ダイセロス「「こころ」はどうやって壊れるか」読了。タイトルに少しゾッとしたけど、あの光遺伝学の先生の著作という事で読んでみた。光で脳の特定の神経活動を操作する技術に関心し、他方で精神科医である著者が経験した様々な症例からある種哲学的ともいえる自己とは何か?の奥深い論考に心を打たれた。良書。

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD00463773

    [鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
    交通事故で妻を失った男性は、人間だけが進化で得た「泣く」ことができなくなった

    強烈なタイトルに衝撃を受け、思わず手に取ってしまった一冊です。
    数々の「こころの壊れた」患者さんのエピソードを、光で細胞の機能を操作する光遺伝学の視点から書かれている本です。
    文学的な表現で書かれているため著者の文学への造詣も垣間見ることができ、とても面白い一冊になっています。

  • とても読みにくい本でした。文章が難解だから読みにくいのではなく、科学的な事実と文学的な修辞が入り乱れているのでフラストレーションが溜まるのでした。科学を説明する部分と、文学的文章を書く部分を明確に分けて書いて欲しいと思いました。

  • 脳の活動を観測し制御する「光遺伝学」。その第一人者である著者が関わった症例をもとに、人の「こころ」について語るノンフィクション。
    好みの内容なんだけど、文章をやたらと文学的な表現にしてるせいで正直かなり読みづらかった。

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/468105

  • 『「精神病って、正確には何なのでしょう?」
     「現実との断絶です」』
    (第5章 ファラデーケージ ——統合失調症)

    光遺伝学の第一人者、カール・ダイセロスによる理論書…ではなく、彼が今まで見てきた症例紹介と言ったほうがいいだろう。分かりやすく言えばオリヴァー・サックスの「妻と帽子をまちがえた男」みたいな感じだ。
    心の病気である「うつ病」や「統合失調症」などを取り上げ、科学的解説も交えるものの文学的な読み物としての側面が強い。いや、全然いいんだけどね。そうして彼が触れ合ってきたからこそ、患者の内面を(おそらく)正確に記述できており、特に第5章の統合失調症は一つの物語としてわりと完成していたんじゃなかろうか。

    というか最初に巻末にある加藤氏の「解説」を読んどいたほうが良いかもしれない。
    ダイセロス氏は全然光遺伝学の説明をしてくれないので…。

    解説にあるけど、まぁ自分なりにまとめておこう。
    光遺伝学というのは、つまり光によって反応するタンパク質(チャネルロドプシン)を利用して、好きな神経細胞にそのタンパク質を発現させることで、自由な細胞を興奮状態(つまり反応が起きるってことだ)にすることができる。
    これによって、好きな(縦縞なんかの)映像を見せたりすることができる。症例とこの反応から得られるデータを比較することで、なぜこのような症例が起きるのかを明らかにしていく…というわけだな。

    うーむ、未来がある。個人的には生体組織の透明化技術(CLARITY)も興味があるので、どっかで誰か解説してください…。

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