一緒に冒険をする

著者 :
  • 弘文堂
4.09
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本棚登録 : 155
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335551796

作品紹介・あらすじ

奈良の図書館で開催したフォーラムを軸に、約10名のゲストと交わした、働き方・暮らし方・未知の物へ向かう楽しさを巡るインタビュー

 2015年1月、奈良の図書館に全国から約300人が集まり開催されたフォーラム「ひとの居場所をつくるひと」。フォーラム開催から3年の時を経て、ついに書籍化。お金を使うか、働くかしないと居場所を得ることができなくなっていく街のなかで、与えられた枠組みで上手に生きるのではなく、その枠組みをまわりの人たちと一緒につくり直していく。そんな力をもったゲストと交わした話です。

【主要目次】
◎吉田修一さん・樋口龍二さん(工房まる):障がい者施設の冒険
 その人らしさが立ち上がってくることが自立であるとしたら、それは本人の努力だけでどうにかなる問題ではない、と思うわけです。

◎森山幸治さん(岡山市議会議員)は、議会でなにをしているのか?
 街って、人や店のつながりで出来ているので、自分の店だけ頑張ったところで商売は難しい。「選挙やってやろうじゃん」って。もう本当につまんなかったんですよね。

◎福田俊作さん(穂高養生園 代表)が穂高養生園で考えてきたこと
 世界を語る前に、世界を体験する。それはすごく大事なことだと思います。
 
◎野村友里さん(料理人、「eatrip」主宰)は、レストランを開いて
 女性としてつづけられる形を考えたい。厨房に立つだけでないやり方もあるんじゃないか。私、料理は飽きないんです。毎日できる。自分のことを放っとかない、というか解放してあげる。「扉を開ける」というか。

◎南沢典子さん(「あきゅらいず」創業者)の「会社観」をきく
 会社は、楽しめて、そこで自分を生かしきれる場所だといい。売上目標も立てない。「何百億売りましょう」とか金額で考えると、ただモノを売ることになってしまう。

◎本城慎之介さん(軽井沢風越学園 創設者)と、森の空き地で
 遊ぶのって難しいんですよ。「子どもは遊ぶ」と思っている人が多いかもしれないけど、そんなことない。ぜんぜん遊べない。
 
◎橋本久仁彦さん(坐・フェンス 座長)と、三つの場所で
 いまここで僕の「話す」が成立しているのは、みなさんがこっちを見て、僕のことをきく意識を持っているからじゃないですかね。そして「誰かが見てくれている」と思うと、勇気が出てくるわけよ。

◎高山英樹・純子さん(高山木工所)の、日常生活の冒険
 他人の体験談を聞いたり読むだけでなく、自分でやって、確認して前に進みたい。たいていのことは時間をかければできる。成功したいわけじゃなくて、体験したいんですよ。
◎内野加奈子さん(海の学校 主宰、ホクレア号クルー)の海、船、ひと、山
 もう終わったことはよくて、この先のことを一緒に考えられる人といろんなことをしたい。“本当の自分”って、知るというより「体験する」もののような気がしていて。

感想・レビュー・書評

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  • 多様化した世の中ですが、いつの間にやら会社員という括りがまずあり、そこから分岐する多様である為、会社という利益追求型の考え方から外れた活動は「仕事」と捉えられなかった節があります。
    会社や、それこそ国家ですら絶対ではない現代社会で、本当の意味での多様性を認める事が、これからの社会を豊かにしていく原動力ではないかと考えました。
    この豊かというのが従来型の金銭を重視するものではなく、本書で登場するような、生業に対する柔軟で強靭な考え方を持ち、それをさらりと実行に移す軽やかさを持つ人々が創造する精神的な豊かさ。これがこれからの個人が志向すべき考え方だと感じました。
    情動的なものを大事にするアナログなものこそ、これからの個人同士がつながるネットワークと非常に相性が良いため、僕らのような会社員も別の人生のレイヤーとして本書のような色々な活動とリンクしていく事が出来たら素晴らしい事です。
    特殊な成功例へのインタビューとして受け止めてしまいそうな自分もいますが、そうではなくみんな日常を冒険している人達で、こうしている今もワクワクしながら次のステージを見ている人達ばかりです。
    キラキラしていて目が眩みそうですが、自分も自分なりの冒険をして生きたいと思います。

  • バックグラウンドも思想もさまざまなゲストの方とのインタビューを通して、その人の働き方や考え方、総じて「生き様」を書き起こした本書。

    「自己実現」や「自分探し」というワードが使われるようになってもう久しいけど、こういう方々の話を読んだり聞いたりしてると、そういうワードは決して目標にはならないんだなと。

    「自己実現」や「自分探し」というのは、人生のゴールではなくて、死ぬまでの人生永遠の課題なんだろうな。
    夢中で生きてる人のほとんどってきっと、そういうことを求めたり、考えたりはしてないと思う。

    それよりはいろんなことにチャレンジする中で、自身の中に自然にできてくる「軸」を見つめること。

    「何をするか」は迷い、悩むけど、「どう生きたいか」はしっかりと胸に刻んでおきたい。

  • 何度でも読みたくなる
    大好きな西村氏の待望の―かなり待ちわびた―新刊

    内容に関わらず、
    その人が新作を出したら無条件で買うような、
    そういうものがある

    西村氏の本は、
    少なくても私にとって、
    そういう本

    手探りで、自分の感じたものに耳を澄ませて、
    心のセンサーとでもいうべき感覚を頼りに
    歩いてく人たちの話は

    人生って楽しいじゃん!
    それって冒険じゃん?

    と語りかけてくれるような気がして。

    読んでいるだけで勇気が出てきたリ、
    何か自分を信じようと思ってみたり、
    なんか新しいことをやってみようと思ってみたり、
    そういう元気のようなものをくれる。


    楽しいだけでなく、
    単なるサクセスストーリーというわけでもなく、

    本人たちも、
    なんとなく目の前のことを頑張っていたら、
    辿り着いた今があって、
    そこから次の一手を模索していたり、
    もがいている人もいて。

    そういう楽しくなかったり
    辛いものも含めて、やっぱり人生って悪くない

    そんなふうに、いいものも悪いものも、誇れるものも、認めたくないものも、
    全部まとめてぐるっとまるで囲ってしまうような
    おおらかさで振り返った時、
    やっぱりこれからどうしようとか、
    これまでどうだっただろうかと、
    いろいろ考えてきたことも含めて、

    そういうものが人生だし
    だったら楽しむ方に自分を持って行った方が、
    楽しいよね

    という感じになる
    つまり。冒険しようぜ、ということ。

    正解なんて、誰も知らない。
    でも、それがいいんじゃない。
    それは、君の胸の中にあるよ。
    これから歩いていく、一歩先の中に、あるんだよ


    ――て、言ってもらっている気がする。


    何か問題が起こった時に、
    それではいけないという話ではなくて
    じゃあ、そこから自分はどう動く?
    という問いかけで
    みんな、放っておけなかったんだ
    きっと。
    だって、だから、「自分」だったんだから。

    そういうのって、あるよねって。

  • 素晴らしい本です。そう、人が生きることは、冒険。でも、それが自己実現である間は、叶っても叶っても、虚しい。ただ、自分にできる小さな事を積み重ねていく中で、一緒に冒険できる人と出逢えたら、そこからもっと大きな何かが始まっていく。
    そのためにも、いつも直感を研ぎ澄まして、会える人には会いに行こうと。そんなことが、すとんと腑に落ちた本でした。

  • 「自分を生きる」ということを深く考察していきたい
    タイミングで出会った一冊。
    自分で動き経験しながら切り拓いていくこと
    まさにそれが自立への姿であり
    時に足が前に進まなかったりしてしまいそうなことも
    冒険と前向きに捉えてエネルギーになれる一冊。

  • メルカリ売却

  • “お金の代わりに使われなくなったのは、感性と、想像力と、関係と、自分たちが生きていく空間を、自分たちの手でつくり出してゆく力でしょうか“
    2015年に開催された「ひとの居場所をつくるひと」のフォーラムを基につくられた1冊。

    自分が何をしたいのか、どう働きたいのか、どう生きたいのか。
    それは、そのひとそれぞれだけど、その人の中でも刻々と変化していく。
    常に、今の自分の気持ちに正直になり、自分と周りを考え、悩んだ上で選択していく。
    それがきっと答えなのだろうと感じた。

    そして、それは自分だけのことではなく、周りの人たちと“一緒に冒険する”。
    その心を忘れないようにしたい。

    樋口さん、格好いいな。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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