話の種になる種子の話: 植物に出会えてよかっタネ

著者 :
  • ごま書房新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784341082345

感想・レビュー・書評

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  • この本で得た知識を持って、秋の森や林を歩きたくなった

    表題通り一粒の種に精巧に仕組まれた種を保存するためのシステムが興味深く明かされていた

    子供の頃よく遊んだひっつき虫やタンポポのわた毛はおなじみだが、それ以外にもたくさんの種が登場した

    ドングリは、芽、根とも先端の尖った所から出てくるが、リスや鳥の餌食にならないよう根っこ自身が収縮しながらグィーとドングリを地中へ引きずり込むのだそうだ

    また、さくらんぼ等の果実の発芽率は、そのまま地に落ちたものは、僅か5%、果肉を取り除くと70%、鳥が食べ糞として排出したものだと90%にもなるという
    胃酸が刺激になって発芽を助けるらしい

    クリスチャンである著者は、何か大きな存在によって設計デザインされた意図を感じると語っている
    私はクリスチャンではないが、やはり神の存在を感じずにはいられない

    タネの話にとどまらず、寄生虫(サナダムシのキヨミちゃん)をお腹に飼っていた藤田紘一教授の例をおもしろおかしく提示し、昨今の過剰な清潔志向にも警鐘を鳴らしている
    清潔を追い求めすぎるあまり、無菌化し、遺伝的に持っていた免疫が無力化し、わずかな物質にも過激に反応し、アトピー性皮膚炎や花粉症、アレルギーの多様化が現れていると

    品種改良の弊害の中では、野生のバナナには、あずき大の粒の種がぎっしりつまっていて、今でもマレーシアでは、そんなバナナを食べているとのこと 今我々が食べているバナナは、何世代にも渡り品種改良されたもので、タネがなくなったことで、植物が本来持っている種の保存方法の一つを人間が断ち切ってしまったことになると著者は嘆く
    ではどうやって、種を保存しているのかというと、木のわき芽を植え、持続させているらしい
    確かにタネなしぶどうやスイカは、食べやすいけど・・・
    すべてが人間中心の考え方で動いていては、いつか破綻するに違いない
    思うがままに操ろうとする人間の奢り、傲慢さにそろそろストップをかけなければいけないのではないか

    終始、へえーそうなん?と驚きと感嘆の連続だった
    にわか仕込みの知識を友達や家族に話したくなること請け合い!

    欲をいえば、第1章でタネの写真やスケッチがもっとあれば親切かな どんなタネなんだろうとスマホで検索しながら読んだので


  • 種の野望、戦略的形の変化、知るほどに自然に興味が湧き楽しくなること請け合い!

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著者プロフィール

1907年埼玉県生まれ。1951年に『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』『山のトムさん』、絵本に『くいしんぼうのはなこさん』『ありこのおつかい』(以上福音館書店)、翻訳に『クマのプーさん』『たのしい川べ』『ちいさいおうち』(以上岩波書店)、『うさこちゃん』シリーズ、『ピーターラビット』シリーズ(以上福音館書店)など多数。

「2022年 『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー KATY AND THE BIG SNOW』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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