黄金の王白銀の王

著者 :
  • 幻冬舎
4.05
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本棚登録 : 411
感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344013988

感想・レビュー・書評

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  • 面白そうだなーと思いつつもあまり売れなかったんだけどやっぱり面白いよ!
    沢村凛の骨太さはやっぱりこういう作品だと活きてくるなあ。
    表紙がラノベっぽいのがマイナスに働いたかと思われる。
    翠と呼ばれる国では古くから二つの勢力が覇権を争っている。そのそれぞれの勢力の若き頭領が、争いの無い真の平和を目指して協力を誓う。本来の目的は二人だけの秘密とし、片方が恭順するかたちで事を進めようとするのだが…。無邪気な少年王であった薫衣が、侮蔑に耐え達観した哀しい瞳の男となっていく姿が傷ましい。
    (200803)

  • 3月18日読了。「翠」の国を奪いあっている鳳穐一族と旺廈一族。鳳穐と旺廈の頭領が、陰で協力し合う道を選ぶが…。

  • 年代記という形で、何十冊にも書ける題材を、コンパクトに1冊にまとめた。薫衣が、すこし超人的すぎるか。ストーリ展開は、とても面白かった。

  • これは架空の国を舞台にしたファンタジー小説という範疇になるのかもしれないが、実際はファンタジー小説という舞台を借りた「王たるもの何を為すべきなのか」というリーダー論。

    この本は本の雑誌などで昨年絶賛されていたので読んでみたのですが、いやあこれも一気に読み上げました。

    この本は、架空の翠という国を舞台にした物語。この国の支配をするために戦い続けてきた2つの一族。生まれた時からお互いの一族を皆殺しにしろ、という欲求を植えつけられてきた2人の王が過去のしがらみを断ち切って争いの無い平和な世界をつくりたいという思いから、陰で協力しあいながら国を統べる道を選び、内外の敵を相手にしながら困難な道を歩む。。。

    という話なのですが、この話の中核になるのは、一国を統べる王は、私利私欲に囚われず、小事を捨て大事を取り、自分の為すべきことを如何に為すのか、というリーダー論。これが滅法面白い。この本を読んでいると、日本を統べる為政者や企業の経営者達が、いかにやるべきをことをやらないでいるのかが、良く分かる。そしてまた、リーダーたるもの、ここまでの覚悟を持ってその任に当たらなければならないのか、ということを自分の問題としても突きつけられた感じがした。

    この本、一読の価値ありですよ!

  • 沢村凛久々のファンタジーですが、やはりこの人はコレです。薫衣(くのえ)の潔さ、頑なさは、「瞳の中の大河」の主人公であるテミズにも通ずるものがあります。「お前はなんのために生きているのだ?」、作者にそう問いかけられているような気がしました。

  • 頼朝と義経の関係を彷彿とさせられた。
    登場人物の名前が難しく、何度も一覧を見なければならなかった。

  • 表紙を見て、中高生向けの軽いファンタジーかなと油断しました。全体に渡って緊張感があり、二人の王もどちらにも肩入れできないくらい魅力的。最後はちょっとバタバタしたかなと思いましたが、そこまでの過程が見せ場だったんだなと納得できました。

  •  『瞳の中の大河』より好き。良かった〜。 絶海の孤島である翠の国の歴史書というスタイルで描かれる架空歴史小説。翠の国の支配を巡って、血で血を洗う争いをしてきた二つの氏族があった。元を正せば出自は一緒。しかし、いつの間にか袂を分かち、相手への憎悪がDNAレベルで刻みこまれてしまった二つの氏族の頭領たちは、相手に対する積年の憎しみの感情を超え、“私情を捨て、今なすべきことをなす”という教えを守るため、二人力を合わせて翠を守り、育てていこうと尽力する…というお話。 物語自体派手なところがまったくなく地味だし、読み始めの頃はどーでもいい話でまったく興味が持てなかったのだが、翠の国のために名前を捨てることになる薫衣が、とてもカリスマ性ある魅惑的な好人物と描かれていて、私まで目が離せなくなってしまった。周囲は敵だらけ。支配者であるひづちの義弟になっても、実質的捕囚扱い。味方もなく孤立した状態の中で、彼らの本意を知らない周囲が薫衣へ向ける心無い仕打ちや蔑みや非難、味方であるはずの同族からさえも、薫衣の心を知らず信念を揺るがそう心を折ろうと様々な妨害や誘惑をする。それを断固としてはねのけ、“私情を捨て、今なすべきことをなす”という教えを貫く姿に強く胸を打たれた。 「もしかしてもしかしたら…!」最初から最後まで緊迫した空気が漂い、次次と薫衣の身を襲う非情な試練とそれに立ち向かう姿を息を殺して読んでました。 これ、薫衣の妻の稲積とその子供の鶲がいいんですよね。支配者の妹としての務めを果たすため、敵の頭領と結婚させられたものの、いつしか形式上だけでなく本心から薫衣を愛するようになっていた稲積と、父方の血と母方の血と自分はどちらに所属する者なのか、敵対する氏族の間に生まれた人間として幼い頃より苦悩し続ける鶲と。p.371〜378、エピローグで号泣。 難しい漢字を使ってるから日本やそのあたりが舞台なんでしょうが、具体的な映像を思い浮かべることができなかったり(火薬がない…ということは、鎌倉か室町時代ぐらいの文化レベルなのか?)、架空歴史小説としての設定の甘さが、気になるといえば気になるけれど、そんな欠点よりも何より薫衣の生き様が鮮烈だった。 久々に読んだ沢村凛さんのFT作品だったけど、すんごく良かった〜。次回作にも期待。

  • 表紙の感じからヤング向けなのかな?と思いきや、違いますね!骨太です!戦が何度も出てきますが、頭の中だけで組み立てられたような柔な戦術じゃない。読みながら、そうきたか!と発想の豊かさ、的確さに思わず握りこぶしでした。あああ薫衣に夢中!(もちろん、ひづち様も好きです)とくに第三章は心が震えましたオウカさま・・・!

  • 風になびくススキの群を眺めながら、じっくりと読みたい一冊。

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著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常生活のひだを的

「2013年 『ヤンのいた島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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