- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344014367
作品紹介・あらすじ
元和元年(一六一五)、ギラつく陽射しの夏のある日、下総国岡田郡羽生村で、一人の女の赤子が生まれた。赤子の顔は醜く体は貧弱、手足は萎えて、なんとも不体裁だった。貧しい村では異形の者は祟の因果を嫌ってすぐに間引かれる。ここでは男親が膝で赤ん坊の腹を踏み潰し口に糠を詰め込んで窒息させるか、生きたまま川原に捨てる習わしになっていた。親は何度か川に捨てたが何者かが戻し、生き延びることを村から許された赤子は「累」と名づけられた。親からも周囲からも見捨てられ、醜怪な容姿のまま十八歳を迎えた累の人生は、父と同じ名の二十歳の流れ者・与右衛門と出会い大きく悲劇的に転じはじめる-。貧しく、罪深き人々の、因業と魂の浄化の物語。
感想・レビュー・書評
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後味は良くない。けど凄い。なんだ、なんなんだ?と思いながら一気に読んでしまった。
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タイトルに月が付いていたから、図書館で借りた本。
昔の実録に基づいて描かれていた為、読むのに時間がかかった。 -
小説と物語とはちがう、ということがよく分かった。
『死霊解脱物語聞書』という江戸時代の仮名草子が元ネタなのだそうだ。しかし、なんだかただの現代語訳を読んでいるような感じで、もっとこの作者独自の問題提起が欲しかった。個人的には、「醜さは罪なのか」という反語的な問いにテーマを絞ってあったら、よかったのになって思う。
夜這いOK! な江戸時代の僻村の風習がいろいろ描かれていたのは興味深い。「へのこ」を振り回して豊作を祈る風習は面白かったなあ……(笑) -
江戸時代に実際にあった事件を題材に書かれたお話。時代小説といえば江戸や上方の町人のお話が多いですが、これは貧しい農村が舞台なのでその実態が分かります。貧しさゆえの残酷な風習とその連鎖が生んだ悲劇に胸が痛くなります。
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鬼怒川沿いの下総国にある、小さな村の伝承の物語。
元ネタがあるらしく(1690年刊行、『死霊解脱物語聞書』)それの翻案のようなものらしい。
河童と、とてつもなく醜い子供の物語なんだけれど、ネタが古すぎるせいか、物語の展開がどうにも現代の小説に慣れてしまっていると奇妙にしか思えなくて、「結局この話ってなに?坊さんの話なの?河童の話なの?集落の歪の話なの?」とどこで盛り上がったらいいのかがわからないまま終わってしまった。
なんか、遠野物語とか、そんなイメージかも。