魔女と金魚

著者 :
  • 幻冬舎
3.54
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本棚登録 : 352
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344018426

作品紹介・あらすじ

無色透明のビー玉の囁きを通して、街中の音を捨い、占いをして暮らしている魔女・繭子。浮気調査、失せもの探し、そして自分のままならない恋…。『蝶番』で第4回新潮エンターテインメント大賞を受賞した期待の新鋭、待望の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 児童小説かと思ったらそうではなかった。こういう本を偶然つかむと不思議な気持ちになる。実はまだ私もコリコの街にいて、古ぼけた本屋の片隅にこの本は積まれていたんじゃないか。

    終始ファンタジックなギミックを凝らした世界に主人公の等身大の気持ちが溶け込む。東の蛇使いは自立しているはずなのに魔法少女めいていて、西北の魔女のような気概はない。
    ちっぽけな存在。いつもそこから始めなければならない。
    不安を希望へ変えていくしか。

    設定へのアイディアが溢れんばかりで、これが本当に児童小説だったら、きっと続編があるだろうにと惜しくなる。きっと含みのある終わり方自体、「私たち」が愛してきた魔法使いの物語そのものなのだろう。
    深夜のベッドでこっそりライトをつけて、子供の頃みたいに一息で読みました。こういう読書を愛していると思い出せた、素敵な時間でした。

  • ふわふわしてるけど悩みがあって、
    表紙に一目ぼれして買ったけど
    わたしのなかでお気に入りの1冊。
    ふぁんたじっくでかわいらしい作品でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ふぁんたじっくでかわいらしい」
      装丁がお気に入り。
      私は、と~っても切ない話に思えました・・・
      「ふぁんたじっくでかわいらしい」
      装丁がお気に入り。
      私は、と~っても切ない話に思えました・・・
      2012/12/27
  • 装丁に惹かれてジャケ買いした本でした。何の予備知識もなかったので、恋愛小説かな?と思ったら、まさかのファンタジー。でも、恋愛小説としてもかなり読めてしまう、不思議な作品。
    こんなに大人っぽいファンタジーもあるんだと驚きました。
    確かに、ハリー○ッターやロードオブザ○ングだけがファンタジーじゃありません。

    この「魔女と金魚」は世界観が良く作り込まれていて、すごくワクワクしました。舞台はアルカナアルカモ島で、正義と契りの町justice town や吊るされ男の町hanged man town(ここには刑務所があったりする)などタロットカードにちなんだ街が点在しています。ちゃんと可愛い島の地図が本の冒頭に載ってます。
    TVは無いけれど、その代わり池や水たまりなどの映し水がその役割を果たします。川は渋谷にあるウルトラビジョンのような存在。号外は水飴としてばらまかれ、貰った人はその水飴を持ち帰って水に溶かしてニュースを見る。男はモバイルを”水抜き”して浮気の証拠を隠滅する。そんな感じの世界観。
    すごくワクワクしませんか?

    主人公は魔女の鞠子(あえて和名なのも面白い)は恋に悩む魔女。
    悩みに関しては20代の日本人女性とまったく同じ。
    ジブリな世界観なのに、登場人物は現代人と変わらない。
    魔女でも、普通に元カレに押し倒されて葛藤することもあるし、予期せぬキスに思考を停止させたりする。魔女だって恋をする。

    ファンタジーと現代ドラマが絶妙に融合していてすごく面白かった。久しぶりにワクワクした本でした。

    本の続編、出ないかな。

    もう少しボリュームがあってもいいなぁと思い、★4としました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「蝶番も素敵なんですか!」
      スミマセン、今褒めているのは装丁だけですよ。未だ読んでません、、、
      中島桃果子を含む私が気になってる作家さんのア...
      「蝶番も素敵なんですか!」
      スミマセン、今褒めているのは装丁だけですよ。未だ読んでません、、、
      中島桃果子を含む私が気になってる作家さんのアンソロジー「眠らないため息」(幻冬舎文庫)を買ったのですが積読状態(官能小説だったので)。

      中島桃果子のブログ
      http://mocatina.cocolog-nifty.com/blog/
      2012/07/17
    • cecilさん
      >nyancomaruさん
      中島さんのブログ拝見しました!素敵なブログですね!これからチェックしようと思います♪これまで中島さんの本に出会う...
      >nyancomaruさん
      中島さんのブログ拝見しました!素敵なブログですね!これからチェックしようと思います♪これまで中島さんの本に出会う機会がなかったのが惜しい。あまり本屋に置いてないのでamazonで買ってみようかな♪
      2012/07/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「中島さんのブログ拝見しました!」
      ホント素敵ですよねぇ~
      私的には、機会があればお芝居観に行きたいと思っています。
      「中島さんのブログ拝見しました!」
      ホント素敵ですよねぇ~
      私的には、機会があればお芝居観に行きたいと思っています。
      2012/07/20
  • 新しいジャンルの登場という印象です。小学生のころ夢中で読んだ魔法使いのお話のようでありながら、登場人物はみんな大人で、私たちと同じような大人の悩みを抱えている。
    ファンタジー好きの心をくすぐる地図なんかも心憎い。
    魔法使いものらしく、続編が出てシリーズ化すると面白そうなんだけどな。
    きっとこういう作品を求めている女子はたくさんいるはず!

  • P200
     「人って脆いものなのよ。正しくないことが必要な瞬間が誰にだってあるの。」

    ページの番号が真ん中な本を始めて見た。

    P221
    「信じられないなら求めないで。あんたが求める分、カナメは傷つくの。」
    「私は何も求めていない。与えるって決めているから。」

    児童書だと思って手に取った。
    ほのぼの魔女の話だと。でも、不倫から始まり・薬物中毒・近親相姦・現代がタブーとされている事ばかり起きる。ただ、ふあふあした物語として宙に浮く。

    細かいところを除けば(いろんなタブーを形にしなければ)少女の自分を見つける物語だ。ジブリの魔女宅に似ているような終わり方も、作中のキキと思わせるホウキの話も、ジブリの魔女宅に近い。(ちょっと大人の話だけど)

    読後は悪くない。だけど、もっとふあふあしたかったな。

  • 魔女!!
    ジャケット素敵!!

    って事で借りた本。
    日本?外国?まぜこぜの不思議ファンタジー。

    さくさく読めて、気持ちよし!

  • ーーーオトフリート=プロイスラーと、コリコの町で頑張るキキに絶対的に捧げた上で、ちょっとした魔法が使えたらよかったのにと思っているすべての女の子に捧ぐーーー


    この世界がすごく好きだ。
    ファンタジーなのに、魔女は恋に悩む。
    ままならない。
    カフェでコーヒーを飲みながら、あるいは部屋のソファでミルクティーを飲みながら、そんな時間に読む大人の「女の子」のための童話。

    誰か素敵なアニメーションにしてくれないかなぁ。

    「ああ誰か。『外は雨だね』という前に、泣いているのですかと、それすら訊かずに、そばに座って。」

  • 図書館で、表紙とタイトルに惹かれて手に取りましたが正解でした。

    ファンタジー要素と、現実味のある登場人物のバランスが好き。
    なにより舞台となっている街の描写が素敵。

    この同じ街が舞台の話があったら読みたい。

  • 現代劇とファンタジーのバランスが絶妙なかんじ。これがもうちょっと現代劇よりだったら途端に私の嫌いな大人の女がぐちぐちと自分の思いを吐露する小説になってたかも。続編もあったら読みたい。111204

  • こんなに心に刺さってきた本は本当に久しぶりだった。装丁やカバーイラストに惹かれて手に取った自分を褒めたい。
    術使いの女の子が様々な人に出会い、色々な出来事を経て一歩前進する話。架空の世界の設定は細やかで、でも分かりづらさがないのは丁寧な描写のおかげ。
    主人公の繭子に自分を重ねて読んだ。見えない壁に通せんぼをされて、言葉にできないもやもやを胃のあたりにずっしりと感じている人にすすめたい本。

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