天下、なんぼや。

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 45
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026377

作品紹介・あらすじ

摂津国伊丹で酒蔵を営む鴻池新六は、ひょんなことから濁りのない酒「清酒」を発明する。評判を呼ぶ新六の前に現れた謎の男・半一。彼は新六が「ある名将」の忘れ形見であることを知っていた。半一を遣わした"大御所"徳川家康の思惑とは。やがて新六は、茶屋四郎次郎、淀屋善右衛門ら大物商人と出会い、海運業、大名貸へと乗り出していくが-。乱世から泰平へ、黎明期の商人の生き様を描き切った、人情溢れる歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 知らなかったのですが、主人公は実在の人物で、鴻池財閥の始祖の鴻池新六。

    戦で父を亡くし、大叔母との生活の将来を考えた新六は、
    酒蔵へ十歳で丁稚奉公に上がり、厳しい修行の毎日。
    だが酒蔵の先輩杜氏や店の主など、実は新六を一人前にするために
    見守っている人たちが周りにいて温かいなと思う。

    独り立ちし、酒蔵鴻池屋の主になってからの日々も、
    苦労あり喜びありで楽しく読めた。
    武士と商人をこのような角度から見るのも、新鮮で面白い。
    鴻池屋、こんなにうまくいっていいのか?と不安になるが、
    読了後に実在の人物の話だと知って、改めてすごさを感じる。

    ただ頭が良いだけでなく、周りの人や子供にも恵まれ、
    自分の欠点を少しずつ抑えて堪えて、成長していったのだろうと思う。
    とても楽しく読み終えました。

  • 豊臣から、徳川の時代へ動く時代。
    武士の息子ではあったが、たった一人の孤児として生きると決めた新六。
    大叔母を助けるために大鹿屋という酒蔵に
    丁稚として入るのが9歳。
    毎回殴る蹴るとどつかれ、ぼろぼろ。
    だが杜氏の以蔵は実は新六を高く評価していたのだった。

    無事に、杜氏となり、修行を経て大鹿屋から大叔母がいる鴻池村に。

    そこで酒蔵を始める。

    酒から始まりのちの「両替屋」となる。
    一大財閥となる鴻池財閥の始まりの物語。

  • 鴻池新六。諸白。樽廻船。両替商。
    信念を持った経営。面白い。

  • 痛快男一代記。
    けっこう、愉快。
    小ネタの盛り方が吉川さんらしくて好です。

  • 武士を捨て商人となり大出世した鴻池新六さんのお話。実在の人物。齢9歳で造り酒屋へ丁稚奉公して杜氏となり、最後は酒造業から廻船業、そして両替商となって大財閥を築いた人。立身出世した人はみな頭の回転が速く、時代を先読みする先見の明がある。新六さんもそんな人、そして驚くほどに子だくさん。本人もそうだが、子供もよくできた子で少し良く描きすぎた風があり、全体的に物足りない感じがした。でも話的には良かった。

  • 鴻池財閥の始祖・鴻池新六の一代記。

    家伝によれば、新六は山中鹿之助の長男で、幼くして実父と養父を喪い流浪の身となり、武士から転じて商人となった。その後、家康の庇護を得て、淀屋常安などとも交誼を結びながら、江戸時代随一の豪商にまで登り詰めていく……てな話です。

    つまづきこそあるものの、基本的にはトントン拍子に成功を収めていくので、歴史モノとしてはあっさりしすぎる感はあるものの、個人的に心惹かれる登場人物(鹿之助とか常安とか)が多かったので、気軽に楽しめました。

    久々に、鴻池新六を主人公にして「太閤立志伝Ⅴ」をプレイしたくなりましたとさ。

  • 新六は武士にはできぬが商人ならできることがあると齢9歳から精進し、酒造業を皮切りに廻船業を経て、両替商となった江戸時代における日本最大の財閥を築いた始祖である。
    辛苦も描かれてはあるが、成功物語としてはあっさり出来すぎ。実際はもっと嫌なことや辛いこともあっただろうし、新六自身もここまで出来た人ではなかったはず。
    実際の人物を元にした話としては物足りない。

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著者プロフィール

吉川永青
一九六八年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。一二年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。一五年、『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。一六年、『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞。近著に『新風記 日本創生録』『乱世を看取った男 山名豊国』などがある。

「2023年 『憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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