- 本 ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344031081
感想・レビュー・書評
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「冤罪」は現実生活ではニュースでお目にかかる事は滅多にないが、小説の世界では驚くほど多く取り上げられる。それだけ問題だと感じている作家がいて、正義感を揺さぶられる人が多いのだろう。
そもそも人が人を裁くシステムを採用している以上、間違いが起こることはあり得ると思わなくてはならない。そのためのセーフティネットとして、警察→検察→裁判所の各プロセスで冤罪を防ぐことは可能な仕組みになっているはずだ。日本の刑事裁判は99%が有罪だとよく言われるが、それは少しでも公判が成立しないと検察が考えれば起訴しないためで、見方を変えれば「疑わしきは罰せず」のセーフティネットが機能していると言ってもよい。ただそれでも人であるが故に間違いはあるので、例え何重にネットを張っても冤罪が起こり得る可能性はゼロではなく、それを前提とした社会の仕組みであるべきだ。
ただし、本作でも取り上げている冤罪に関する問題はそこではない。それを公にせず隠蔽しようとする個人や組織が問題なのだ。当然そこには不公平なというより悪意ある隠蔽工作のために、人生を変えられた恨み辛みも発生する。かくして冤罪を題材としたドラマが発生するという訳だ。
残念ながら今後もこの手の題材を扱った作品はたくさん出るだろうし、対岸の火事と思っている私たちも面白く読むことだろう。自分に火の粉が降り掛かって来るまでは…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「後悔と真実の色」の続編。
前作ですっかりファンになってしまった西條のその後が書かれていて、一気読み。
ただ、なんだか事件の内容は前作よりは大分荒削りな感じがしたかな。
また続編が出るのを期待。 -
「後悔と真実の色」続編。
前作は警察官が犯人だったが、今回は被害者が警察官の連続殺人。所轄の女刑事が新しく登場するものの、登場人物は前作とほぼ同じなので、きちんと前作から読まないと、背景が分からない。
前作で警察を辞めた西條だったが、敵対してたように見えた九係の村越や、機捜の綿引に引き込まれ、連続殺人事件の真相に迫っていく…真相に迫っていく過程は、面白かったし、犯人の正体も分かりそうで分からない、分かった時の衝撃もなかなか。そして、ラストの何とも救われない感じは、貫井作品ならでは。
ただ、1つ、どうしても許せないことが…
前半40ページぐらいで、刺殺された遺体の身元が指紋で照合できない件…警察官は指紋はデータベースに登録されてるんじゃないの???警察小説では定説だけど、それは風説???どうにも腑に落ちない感じが、最後まで続いてしまった。それ以外は前作より全然面白い! -
西条をとにかく応援したくなります。本屋の主人とのやりとりがいいです。
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読みたかったああああああ!!1
前作『後悔と真実の色』を読んで、続きが出ていると知った時のあの気持ち……!!
いつ読めるかいつ読めるかと心待ちにしていたのはしーなだけじゃないハズ
もうね、西條さんがね、どうなってしまったのか
綿引のオッサンがどうなってしまったのか
九係がどうなってしまうのか
続き読めるの!?ホントに!?
と、大歓喜なのですよ
救われない悲痛な底から少しでも救われてたら良いな……何だったら復帰してたら良いのに(良くないのですが)と思い読み始めたのですが
西條登場には感動すら覚えたのです
主人公が女性刑事になったのは、とっても読みやすくて
しかも嫌な予感のする、無理矢理女子高生じゃないし、ロリ不思議ちゃんとかでもないし、コスプレとかもしないし、スーパー超絶なバックボーンとかも無いし、な現実的な女性!
完全に貫井作品では要らない心配なのでしょうが……
いえいえいえでもでも心配するような本も多いのですよね
それで食傷気味になってしまうのです
とんでも設定が飛び出してこなくて良かった……!!1
男性社会で卑屈に伸し上がろうとする理那が西條に憧れる気持ち……!!
分かるううウウウウうウ!!1
すっごく分かるううう!
余談なのですけど
しーなが読んだ後、前作から同じく楽しみにしていたお友達がこの『
宿命と真実の炎』を読んだのですが
二人でとてもドラマ向きな本だと言う話になったのですよ
読んでる最中から思っていたのですけど
最初のシーズンの追い込まれ方と、次のシーズンでの再登場。
しかもセカンドシーズンでは主人公は女性。
めっちゃドラマ行けそう!!1
と言う事で「西條の俳優さんは……」と二人でニヤニヤ
しーなが即イメージしたのはイケメン俳優のNさん
お友達は2次で見つけてきたのです
お友達が見つけたイラストを見て一言。
「この3次元バージョンを知ってるのです……!」
と、俳優Nさんをぐぐったらもうそのまま
二人とも同じ西條をイメージしてて笑ったのでした
もしかしたら他の人がイメージする西條もあの人なのでは……!!1
もし……と言うか、きっと3作目は出ると思うのですが
西條がどう言う結末を辿るのか。
嫌な予感しかしない……!!1
けど、読みたい……!!1 -
『後悔と真実の色』の続編。前作で警察を退職することとなった西條と連続殺人事件をどう繋げていくのか興味をもちながら読んだ。
いやあ、面白かった。前作とほぼ同等のボリュームでありながら、読むスピードは格段に違った。著者は、前作は悩みながら書いたのかな?今回は楽しみながら書いたように感じた。それが読者にも伝わって、こちらもグングン進むのではないだろうか。
さて、連続警察官殺しが発生する。今回の主人公は所轄刑事の高城理那。彼女は前回にも登場した9係の村越とコンビを組んで事件に立ち向かう。
しかし、解決の手掛かりが掴めず八方塞がりになった理那はは『あの男』に手助けを求める・・・。
今回は、フレッシュで正義感の強い理那と、やる気があるのだかないのだかわからないが、仕事はできる村越のコンビがいい味を出していて、また、理那の成長も逞しく感じる。そして西條。やはりこの男無しではこのシリーズは成り立たないのだと再確認させられる。
もちろん警察官殺しの動機も面白いし、最後に明かされるトリックも見事。また、やはりこの著者は人物描写が実に丁寧だ。
でもねぇ。やっぱり後味は悪いかなぁ。誠也の気持ちを思うと切なすぎる。 -
自分が正しいと思う事を貫けば必ず誰かは見ていて認めてくれる。
誰も人を批判する資格なんてない。でも、人は誰かに批判されないといけない。だから、それは批判できる者が資格で批判するんじゃない。批判できる者の義務である。
誰しもが自分の善良な心と組織という枠組みでの板挟みに悩むことがある。でも、自分がしている事で救われる人がいる。その事を誇りに思って生きる事は大事。 -
山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編
連続して起こる警察官の死。警察への復讐に燃える幼馴染の2人。事件を追う女刑事。スキャンダルで警察を追われた男。事件自体についてはわかっていたはずなのに、最後の最後に呆然。
あぁ、そういうことだったのか、と目まぐるしく頭の中を今までのストーリーがかけめぐる。
読んでる途中の「すごく面白い」が最後に「めっちゃくちゃ面白い」に変わる。
著者プロフィール
貫井徳郎の作品





