ウォーターゲーム

著者 :
  • 幻冬舎
3.51
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本棚登録 : 662
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344032989

感想・レビュー・書評

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  • またもや、、シリーズものを順番に読まなかった。故意的にではなく。読み終えて、「シリーズものであったのか…最初から読みたかった」と、ガックし…

    「考えるんだ。 たとえ1%でも、可能性があるなら。 晩秋の夜、突如ダムが決壊し、濁流が町を飲み込んだ。 死者97名、行方不明者50名を超える大惨事。 新聞記者の九条麻衣子は、被害を取材するうちに、決壊が事故ではなく大規模な犯罪である可能性に気づき、その夜に町を抜け出した土木作業員の男を探し始める。 一方その事件の陰で、AN通信の鷹野一彦とその部下・田岡は、ダム爆破計画を阻止するべく奔走していた。水道事業の民営化に金の匂いを嗅ぎ取った代議士や国内外の企業によるテロ計画の一部だったが、いつのまにか計画の全てが盗まれ、首謀者が正体不明の人物に入れ替わっていた!? 情報が錯綜し、混乱を極めるなか、九条麻衣子と若宮真司の出会いが、世間を揺るがす大スクープを生み出すことに……。 敵か味方か、嘘か真実か、善か悪か——!? 金の匂いに敏感な男女が、裏切りあい、騙し合いながら、真っ暗闇の“今"を駆け抜ける!(幻冬舎書籍紹介より)」

    AN通信という産業スパイ組織とか、人身売買組織、ダム決壊とか、「007」のように思えて、ハラハラしながら一気読みしてしまった。
    書籍紹介の通り、とにかくいったい誰の言葉を信じて、どんな展開になるのか、裏切り、騙し合いで、二転三転するストーリーで、実際にこんな世界があるのであれば、この世界で生き抜くための手段であるのだろうと感心してしまう。そして、一方で「もし、私ならきっとすぐに騙されて、生きていくことはできないし、もしかしたら殺されて殺されているだろうなだ」など、冷静にその世界を傍観している自分を感じてしまった。

    終盤の飛行機の墜落阻止の臨場感が圧巻。まさにAN通信の鷹野一彦が「007」のジェームズ・ボンドにダブって見える。そして、その着地点は、想像通り。そして、鷹野の敵となる側に対して「ザマアミロ」と、舌を出す。がしかし物語的にはさらに続編がありそうで最後の終わり方に違和感が残った。

  • 3部作を読み続けていると、確かにお腹いっぱいになってきた感じは否めない。
    でも、やっぱりおもしろいんだよなぁ。
    ずっと気になっていた人も出てきてビックリな展開になったし、ちょっともう一回読み直したいと思った。
    続けて読んだので、あれはこの話だったっけ?とこんがらがった自分もいる。笑

    一人一人にスポットを当てたドラマも書いて欲しいなぁ。鷹野、風間、田岡、アヤコ、キム、柳。
    吉田さんは人を魅力的に描写する天才だと思う。心の機微まで描いているわけではないけど、その人を知りたいと思ってしまう。

  • スパイアクションを堪能した。騙し騙され、今日の味方は明日の敵。なかでも「アヤコ」が最高!ルパンの不二子を彷彿とさせる。

  • 完結かー。納得半分惜しい半分。
    しっかし、こんな感じで地球が回ってたら途方に暮れる。

  • 『太陽は動かない』『森は知っている』に続くシリーズ3作。AN通信に所属するスパイ鷹野がライバル、アヤコとアジアの水利権をめぐって対決する。騙し騙され展開が二転三転、手に汗握るアクションも交え飽きさせない仕立てはさすが。自作が待ち遠しい。柳、寛太との再会もうれしい! 鷹野の今後も気になるところ…

  • 鷹野のAN通信、産業スパイのエンターテイメントもの。ダイナマイトによりダムが突然、決壊する。決壊前に逃げた男、若宮。それを追う新聞記者。首謀者を追う鷹野、エネルギー政策転換方針を狙う政治家。中央アジアの水を巡り、金のために動く人たち。誰が敗れ、誰が笑い、鷹野はどうなるのか…。少々雑なところがあったけれど、こういうスパイものは好きです。ストーリーも複雑すぎず、登場人物もわかりやすい。テンポよく読み進めた。吉田さんの今まで読んだ中で一番惹きつけられたかも(それぞれ良さはありますが)。実は『森は知っている』読んでないので、すぐに読みたくなった。
    …アヤコが出てくると峰不二子が頭に浮かんだ。

  • AN通信鷹野シリーズとは知らずに読み始めて気づいて、少し嬉しくなった。昔夢中になった大藪春彦や西村寿行を思い出した。こういうハードボイルドは楽しめる。

  • 国家謀略物です。
    主人公が産業スパイで不二子ちゃんみたいなセクシー女スパイも出てきます。
    ダムを爆破したり阻止したり、飛んでる飛行機の翼に抱きついたりします。
    いやはやなんとも振り幅の大きい作家さんですね。とても芥川賞作家とは思えないエンタ-テイメントっぷりです。
    大ヒット作品「悪人」は重厚なエンタ-テイメントでしたが、こちらは軽快で薄味のアクションエンタ-テイメントです。
    水戦争というのが世界で始まっているというのは聞いていましたが、小説の題材になるくらいなのでこれから深刻になっていくのでしょう。
    既に水源が他国に買われているという話も聞きますが、日本の国を動かしている人たちは何を考えているのでしょうね。先日7/5に水道を民営化する法案を可決した所なのでめちゃくちゃリアルタイムな話題です。小説の内容云々よりも日本のインフラが外資に喰いあらされる可能性が出てきたことが分かって愕然としました。水道料金が莫大な値上がりにならない事を本当に願っています。外国では水道料金が5倍になったりしているようです。
    この本もそういう事を考えるという点では役に立ちました。

  • いつものことながら、ただあらすじに惹かれて、読み始めた作品。
    産業スパイである「AN通信」の鷹野たちを中心に、様々な人物の騙し合いに、途中で続編であることに気付く…
    調べたら、3部作の完結編とのこと。
    前2冊を読んでなくても、水道事業を巡る利権の争いや、映画並みのアクションシーンなど、十分楽しめる。
    そう言えば、だいぶ前にこの3部作の1作目「太陽は動かない」を友人に勧められて読んだが、何となく話が散らばり過ぎて、イマイチだったような…
    今作も内容自体が散らばり過ぎている感じはあるが、スリリングな展開と民間の諜報合戦と言うのが、とても面白く一気読み!
    順番は逆になるが、2作目も近いうちに読もう。

  • 森は知っているを見てから見た方が、物語の登場人物の関係がわかると思います。

    テーマは、あきらめないなのかなと、思いました。

    やらなくても、やっても、同じ結果ならやった方がいい。それがとても無理だと思うことでも。

    と言われたような気がしました。

    そして、あきらめないで生きていくと、素敵なこともありますね。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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