- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344037601
作品紹介・あらすじ
人はここまでむごくなれるのか――
SNSで知り合った9人を殺害・解体した男の素顔。
2017年10月、神奈川県座間市のアパートの一室で、クーラーボックスの中から切断された頭部など9人分の遺体が発見された。
逮捕された白石隆浩はSNSを通じて知り合った女性8人男性1人を殺害・解体していたことがわかり、その残虐さで世間を震撼させた。
白石とはどんな人物か? なぜ事件を起こしたか?
ノンフィクションライター・小野一光による11回330分の獄中対話と裁判の模様を完全収録。犯罪史上まれにみる凶悪殺人犯の素顔に迫った、衝撃のノンフィクション。
「腐敗臭がとにかく辛いけど、捕まりたくない一心だったんです」(面会第4回)
「‟獄中結婚相手募集”って出してもらえないですかねぇ」(面会第6回)
「(死刑について)痛いのはイヤだなって感じです」(面会第10回)
感想・レビュー・書評
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三年前に小野一光さんの『全告白 後妻業の女: 「近畿連続青酸死事件」筧千佐子が語ったこと』を読みました。
聞くのがとても上手な方なのですね。
私自身、この事件にはとても興味をもっていました。
小野さんが書いてくれてとても嬉しいです。
被害にあった女の子たちとご遺族の皆さん
大変気の毒です。
こういうことは自衛するしかないので、
今生きている人たちはこれで学んでいかしていくしかないでしょう。
それより、やはり問題は小野さんが言われるように
被告と両親との関わりではないでしょうか。
それがこの本ではよくわかりませんでした。
小野さんも悔やんでいるようなので、
ご両親になんらかの形で発表していただけたらと思います。
こんな事件が二度とおこらないように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私がここ数年で最も興味の惹かれる事件、座間9人殺害事件を追ったルポルタージュです。
SNSを駆使して、己の性欲と金のためだけに、若い女性の希死念慮を獲物にした猟奇的な連続殺人。
拘置所での面会を経て、公判の様子から判決に至るまでを具に綴っており物凄く濃密な内容になっている。
ただ読んだ。この本を読んで何かを考えたり、憤ったり、そういう感情の動きは無く、ただひたすら最後まで貪るように読んだ。
被害者について、白石被告が当時の取り調べ「『話をきいてほしい』と言っていた。本当に死にたい人はいなかった」と話していたという記事を目にした時、しばらく頭から離れなかったのを覚えてる。
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2017年、神奈川県座間市で発覚した殺人事件「座間9人殺害事件」
SNSを利用して自殺志願者を募り殺したという白石隆浩。
ニュースで報道された彼の供述、裁判での発言などから知る白石隆浩という人物。
その人物と事件に迫ったルポ。
筆者は刑が執行される前まで面会を重ねて彼の本質に迫ろうとしている。
ふとした会話に漏れ出るその人となり…
読んでいくうちに思う
果たして彼は何者だったのだろうか? -
とても詳しい内容なので、読む人を選ぶだろうなとは思う。ただ残忍冷酷な事件だったな、で終わらせてはいけないような気がして、あえて読んだ。
読んでいて、私は犯人はもちろんのこと、
被害者の家族にも怒りが込み上げた。
私の心が「何を今更」と思っているのを感じていた。
生きている時に、彼らに何をしてあげられたのか?
後悔はないのか?
自殺と他殺に、とても大きな差を見るのは仕方ないし、犯人のやった事は確かに残忍極まりない。
「それでも」
と思う。
近くに居る間に
苦しい家族の肩を叩ける間に
拒否られても愛を伝えられる間に…
それは、明日とか来週とか来月また…ではなくて、
今、お互いに生きているうちに、とつくづく思う。
「死んでも許さない!」と言い放ったパワーを、
生きている間に娘に向けられたのなら、娘は愛を受け取ったに違いない、と思ってしまう。
動揺も感情も決して見せない犯人というのは、自らを「救いようがない」と誰よりも見下しているのではないか?と思った。反論が全く湧かないほど、自分を見捨てて見下し無価値だと思って生きてきたのかもしれない。
この犯人像を作ったであろう家族にも言いようのない怒りが募った。
で、あれば
読んだ人が1人1人、自分たちの家族に声をかけられたら、って思う。
他人事にせずに、家族に、生きているうちに愛を伝えたい。
そう思った1冊だった。。。 -
読んでるそばから、「忘れたい」と思った。解体の様子が読んでて辛い。本人の証言なので生々しく禍々しい。
人を殺めて、解体するまでの助走がほぼゼロで、約2ヶ月の間に9人の人が同じ部屋で白石の性欲のために殺害され(長くても殺害の間隔は2週間程度)、解体。頭部とともに生活していたとか、解体途中に食事をするなど、常軌を逸しすぎて言葉にならない。白石にとって人間とは血肉のある人形という認識なんだろうか。
記憶力も高く、コミュニケーション能力も特定の場面では高いが、共感する力が欠如しているサイコパスなのでしょう。インターネットのせいにするのは簡単だが、自殺死亡者と犯罪者の会う機会を高めて、悪意を発現する敷居を少し下げた程度で、根本は突然変異のような異常者の検出と治療なのだと思う。
しかし、作者の小野氏はまともな精神状態を保てていたんだろうか。白石にインタビューし、思想も理念もなく短期間に9人も殺害したのが、自分と同じ人間だと思えるのだろうか。人の皮を被った悪意が存在していることに気づいて正気を保てているのだろうか。 -
犯罪ルポをいくつも書かれていらっしゃる著者。べたべたした過剰な表現が少なくサッパリと気持ちよく読めた。精神、人格、脳の特性に生まれつきの偏りがなく、IQが高い人間。育成歴にも極貧や虐待などの問題がなかったようす。ただ、極端に「合理的」なヒトなのかな。諦めがはやい。簡単にできることしかしない。サイコパス・ソシオパスに類するような。どこかで道が変わっていたら、大きな社会的成功もあり得たのではないかとさえ想像した。
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人間はどこまで動物か。
SNSで知り合った自殺志願の女性を言葉巧みに自宅に引き込み殺害した座間9人殺害事件。被告との11 回の面会と24回の公判の記録。
SNSを使ったセンセーショナルかつ猟奇的な事件。人はここまで冷酷に殺人を犯し死体を解体処分できるものなのか。信じられない事実の羅列、怖いもの見たさでイッキ読み。
筆者も気にしているように、本書は被告側と公判の視点のみ。それぞれの被害者に人生は多くは出てこない。片落ちであろうが、それでもこれだけ読ませる事実とそれを伝える取材力、筆力は凄まじい。
久々に衝撃から人間不信に陥りそうな読後感であった。 -
裁判傍聴記という感じで、本人に獄中取材した割にはあっさりした仕上がり。
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犯人と裁判の事実関係のみ。謎も、被害者への掘り下げも特になく。多いとはいえ自殺志願者の幇助。