私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 440
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344038349

作品紹介・あらすじ

はるな檸檬氏、感涙!最初の自殺未遂から30年。誰よりも人付き合いが苦手だったあの頃。
「大丈夫?」「大丈夫だよ」 湿った暖かい手を握り、私たちはそっと歩き出す。

「孤独だったんですね」
その言葉を耳にして、私は喉の奥に何かが詰まり、次の言葉をつなげなくなった。自分が孤独だということは薄々感じていたけれど、それを認めたくなかったのだ――
いじめに遭っていた子供の頃、ペットのインコが友達だった。初めてできた恋人には、酷い扱いを受けた。たくさんの傷を負い、何度も死のうとしたけれど、死ねなかった。そんな私をここまで生かし続けたものは何だったのか。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。そう思えた時、一歩ずつ歩き出すことができたのだ。
どん底を味わった著者が、人生で出会った人たちとの交流を見つめなおし、再生していく過程を描いた渾身のエッセイ。
「人生はクソだ。それでも生きてさえいれば、いつか必ず美しいものに巡り合う。そういうふうに、できている」――はるな檸檬氏

感想・レビュー・書評

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  • 読後に街行く人たちの顔を眺めた。表面からは見えないけれど、みんな孤独や不安を抱えている。無力な私たちはお互いの手を取り合いながら、時には自分のパンを分け与えながら人生を歩いていく。怖がらなくていいんだ。みんな怖いのだから

  • 【3月4日】トークイベント開催決定!|私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに|小林エリコ - 幻冬舎plus
    https://www.gentosha.jp/article/20450/

    4度の自殺未遂。それでも生きてきた。|私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに|小林エリコ - 幻冬舎plus
    https://www.gentosha.jp/article/19812/

    私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b13994.html

  • なんだかんだで豊かな人間関係を築いている作者に羨望を感じる。

  • 向田邦子のエッセイに「ごはん」というのがあるけれど、その作品で印象的だったのが、美味しく楽しく幸せだった食事より、心に引っかき傷が残った場面での食事のほうが記憶に焼き付いて、描かれる光景も美しいということ。
    きっとこれは食事に限らないのだろう。
    とても孤独な幼年期から青年期を過ごしたこの著者の、訥々と、あまりに赤裸々に表した第一部のエネルギー。
    似たような孤独をわずかでも感じたことのある人ならひりつかずにはいられない。
    人一人の幸福を論じるなら本来歓迎すべき第二部は、前半のダイナミズムの前に霞んでしまった。

  • 小林エリコのエッセイ集を読むのは、本書で6冊目である。

    一般にエッセイというと、日常のよしなしごとを書くものというイメージがあるだろう。だが、著者のエッセイは過去のヘビーな思い出が中心である。エッセイ的な軽みよりも、私小説に近い重みがあるのだ。本書もしかり。

    本書も含めた6冊のエッセイ集は、どれも著者の半生が素材になっている。ゆえに、時にはエピソードの重複もあるし、マンネリに陥るリスクもある。

    本書でいうと、最初に働いたエロ漫画誌編集部の先輩との短い恋愛(とも呼びにくい)関係は、「またこの話かよ」と思ってしまった。

    それでも、本ごとに角度とテーマを変え、初登場エピソードを投入するなど、読者を飽きさせない工夫がなされている。だからこそ、私も毎回著者の新刊に手を伸ばしているのだ。

    本書の場合、タイトルからは内容が連想しにくいが、著者が経験してきた友情(と恋愛)のエピソードが中心となっている。

    孤独な幼少期を経て、ようやく居場所を見つけ、かけがえない友情にも出合ってきた著者の来し方が綴られているのだ。

    前半で描かれる少女時代は、この世に一人も仲間がいないかのような激しい孤独感に満ちている。

    たとえば、高校時代に友人に裏切られた(客観的には裏切りというほどではないが、著者はそう感じてしまう)日について綴った部分には、次のような一節がある。

    《私は、ノートにずっと日記を書いていた。その日あったことや、悩んでいることを書き記していたのだが、その日のノートにはこう書いていた。
    「ずっと一人で生きていく。誰のことも信じちゃいけない」》59~60ページ

    年齢に関わらず、いま孤独感にさいなまれてる人が本書を読めば、深い共鳴を覚えるだろう。

    だからこそ、終盤に著者が自分の居場所を見つけ、仲間にも恵まれていく様子に、我がことのようにホッとする。

    孤独と貧困、将来への絶望から自殺未遂も重ねた著者が蘇生するまでの軌跡を綴った、味わい深いエッセイ集だ。

  • 小林エリコさんの本はいままでほとんど読んでいるし、『精神病新聞』も読んでいたんだけど、この本にたどりつけてよかった!
    私はこの本の祥子さんのような立ち位置の人間なのですが、エリコさんのように悩んでいたはずの親友のことを気がつけなったことは、ずっと後悔している。でも、それに気がつけないのが私であり、だから仲良くいられたのかもしれないなとか、エリコさんの本を読むといろいろ考える。彼女と一緒に『車掌』も読んでいたので、なおさら。

  • これまで出版されている小林エリコさんの本を全部読んでいる人間には目新しい情報はなかったように思う。
    辛い事を克服した本が多い中、小林エリコさんはまだ苦しみの最中にいるので、本が出る度に少しずつ前向きになれていっている様子に感動を覚えます。

  • あまりにもエピソードが不幸すぎる、不幸のてんこ盛り丼だって思ったけど、いろんな人の名前が出てくるあたり案外人望には恵まれてると思う。
    私の人生も割といろんなことがあって不幸エッセイ書けるのではって思ってたけど、不幸を押しすぎるとまたか、またか、となってしまって何も感じるものがなくなってしまうなと思った。作者に対して大変だったねとか辛かったねと言う気持ちは生じるけど、著書、人生含め中途半端な完成度の感じが自分と重なるなって思った。不幸話もお腹いっぱいになるね。

  • 2023.12.15

  • 精神疾患を患った当時のことを思い出しながら、人間関係で悩み続けている今を想った。本書を読む中で分かった。僕も、居場所が欲しかったんだなって。今もね。

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著者プロフィール

1977年茨城県生まれ。短大卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職、のちに精神障害者手帳を取得。デビュー作『この地獄を生きるのだ』(2017年、イースト・プレス)が話題を呼ぶ。『家族、捨ててもいいですか?』(2020年、大和書房)、『私がフェミニズムを知らなかった頃』(2021年、晶文社) など著書多数。

「2022年 『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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