鎌倉駅徒歩8分、空室あり

著者 :
  • 幻冬舎
3.49
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本棚登録 : 1967
感想 : 127
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040571

作品紹介・あらすじ

誰かと生活することは、めんどくさいけどあたたかい。鎌倉駅から徒歩8分。木々と小鳥に囲まれたシェアハウスには、今日もカレーとコーヒーの香りがいっぱい。まだ空室アリ〼。男手一つで育ててくれた父が死んで、鎌倉のカフェを引き継いだ香良。ある日離婚した親友が押しかけてきて、いつの間にかシェアハウスをはじめることに! 次々やって来る入居者たちは、みんなちょっとワケあり。慣れない他人との共同生活に、イラっとしたり文句を言ったりもするけれど……。家族だから言えない、家族だから甘えられない。そんなひとりぼっちになった住人たちが見つけた新しい形のきずなに、あたたかい気持ちになる1冊。

感想・レビュー・書評

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  • シェアハウス「おうちカフェ」は、鎌倉駅徒歩8分。
    オーナーの香良の淹れたて珈琲と土曜日は賄いのカレーつき。
    訳あり住民ばかりだが、ちょっとずつ解放していく姿が見えてくる。
    遠慮、戸惑い、けっして協調性があるわけでもなく、なんなら共同生活不向きかも…と思っていただろう者たちが一緒に生活する。
    他人同士が暮らすってのは、簡単にはいかない。
    生い立ち、性格、学歴、年齢、違いはあるのが当然だからそれを認めあっていくしかない。

    案外と心地よくなっていくのがいいなぁと思う。
    きょうからここがふるさと飛花落花、と千恵子さんの詠んだ句がいい。
    そして、ラストの春の雨を眺めながら娘の香良へ宛てた手紙に愛情を感じた。

  • 舞台は鎌倉。
    江ノ電の音を聞きながら、テラスで
    ティータイム。
    趣のある洋館。

    主人公香良(カラ)の母親は、香良が5才の
    時に家を出た・・・・それには深い事情が
    あった。父子ふたりで暮らしてきたが、
    父も一年前に亡くなった。父は香良が
    困らぬようにしっかり遺言を残してくれていた。

    香良は大きな洋館で、ひとりで生きて
    いくつもりだったが、図々しくやって
    来た大学時代の友達が“シェアハウスに
    しよう” と言い出す!

    人には誰しも悩みや事情があるという。
    歳がいくと特にではないだろうか?
    独身で縁がない、離婚、職場環境 etc.
    ひとりで悩まずに、頼って良いと思う。
    周りに誰かひとりはきっといるはず。

    私は鎌倉に行ったことがない。
    鶴岡八幡宮、紫陽花で有名な長谷寺。
    銭洗弁財天、宇賀福神社などが本文中に
    描かれている。目に浮かぶようだ。

    鎌倉で採れた野菜を売る、鎌倉市農協連
    即売所という所があるらしい。
    略してレンバイ。食いしん坊にはたまらない、野菜のパラダイス。
    人参、ルッコラ、ビーツ(赤カブに似ている)、タマネギ、菜の花 etc.
    この市場へ行ってみたい!と思う。

    シェアハウスには、様々な女性たちが
    集まる。やはり事情を抱えて。

    また初読み作家さんが増えた。
    越智 月子さん、他にはどんな本を
    書いているのだろう。
    探してみようかな?

    2023、7、15 読了

    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      ☆4つですね。
      以前鎌倉に住んでいたので、雰囲気はわかります。
      でも土日は人が押し寄せるので、大変。
      なので、鎌...
      アールグレイさん、
      ☆4つですね。
      以前鎌倉に住んでいたので、雰囲気はわかります。
      でも土日は人が押し寄せるので、大変。
      なので、鎌倉でも北鎌倉がお薦めです。
      寺社仏閣をゆっくり堪能できます。
      小町通りとかはあまり行かなかったな。
      2023/07/18
  • 鎌倉駅から徒歩8分、亡き父親からカフェを引き継いだ香良…そんな香良のもとへ、離婚して家を出てきた親友の三樹子が訪ねてくる…。三樹子に、おいしいカレーとコーヒーを提供するシェアハウスとすることをすすめられ…悪くないと思った香良だったが、募集を初めてすぐに入居希望者が現れた…。一章ごとに入居した住民目線で物語が展開、それぞれが背負ってきた過去や葛藤などが徐々に明らかになっていく…。

    自然豊かな鎌倉にある洋館、雰囲気がとってもいいです!!ますます鎌倉好きになりました。洋館での部屋割りとか、おいしいカレーのレシピとそれにあうコーヒーの紹介が巻末についているのもよかったです。ストーリーも、それぞれの家族に対しての愛情や住民同士のささやかだけれどかけがえのない支え合いを通して、みんながポジティブな思考を持てるようになっていく過程なんか、優しくあったかい気持ちになりました。こんな隠れ家のような場所、自分でも欲しくなります(^^)

  • 『鎌倉駅徒歩8分、空室あり』
    ほっこり ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    涙ほろり ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    珈琲香り ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    【購読動機】
    読者レビューで、ゆっくりと本の世界に入れるなぁ・・・と感じたからです。この印象は、読了後も変わりません。物語の中盤までは、何事もおきず、ただただ平和に時間が流れます。

    【読み終えて】
    人は誰かを支え、また、その誰かも誰かを支えている。世界は、そんな相互互助でできあがっているのだな・・・と感じることができました。
    年齢を重ねると、関係は広がることは少なく、むしろ閉鎖的になっていくのがわたくしの印象です。
    しかし、主人公は40代半ばで、シェアハウスをはじめ、そして他人と同居するというライフスタイルに入ります。そう、「静」ではなく「動」への始まりです。
    個人的には、この勇気、決断に「ほー」となりました。

    【こんなひとにおすすめ】
    心がほっこりする物語に出会いたい人。
    珈琲、喫茶店のあの雰囲気が好きな人。
    カレーが好き、いろいろなカレーに出会いたい人。
    鎌倉。あの雰囲気が好き。出かけるにはちょっと・・・という人。

    【物語】
    主人公は、独身の女性です。父が亡くなり、遺産として、金銭と鎌倉駅徒歩8分の洋館を相続します。この洋館は、大正時代から続く、また庭もある雰囲気ある建造物です。
    主人公は、ここで喫茶を営んでいます。メニューは珈琲だけです。1日のお客様は5組ほどです。
    でも、心配はいりません。洋館で暮らす賃貸料と生活費は、父が遺してくれたお金で賄うことができるので・・・。

    そんな静かな安定した暮らしに「変化」がおきます。
    それは、同級生の親友の居候が始まったのです。なぜならば、離婚して独り身になったからでした。
    さらに、そんな彼女が「シェアハウスをはじめよう!」と言い出したのです。。。
    どうなることやら・・・。

    SNSや近所の方の紹介をあり、部屋は少しずつ埋まっていきます。
    だって、安いですから・・・。
    あの鎌倉で、庭付きの洋館で、賄いつきで、なんとなんと家賃が6万円ですから!
    条件はひとつ。女性であること。
    ーーーーーーーー
    ひとりめ;
    幼き頃、養女に出された女性。義理の父、母が逝去したこともあり、出版社を早期退職。それを機会に、愛犬とともにシェアハウスに・・・。

    ふたりめ;
    精神を疾患して退社。たまたま視聴していた番組で鎌倉を知る。あんな空気のところで暮らしてみたいな・・・とシェアハウスに・・・。

    さんにんめ;
    息子が事業で失敗し、終の住処を売ることに・・・。息子夫婦との同居がNGとなり、引っ越す羽目に、、、。知人を頼りにシェアハウスに・・・。
    ーーーーーーーー
    シェアハウスのオーナー/主人公と同居人たちの生活に、取り立てて大きな事件が起きるわけでもありません。しかし、他人ですから、当然のように小さな綻びは発生します。
    それを、丁寧に紡いで分かり合っていく、そんな物語です。

  • こういう年をある程度重ねてからのシェアハウスってちょっと羨ましいなぁと思う。
    子ども達が大きくなって、夫と2人で暮らすより少し気を遣いながらも女同士生活した方が楽しいかなって。
    まぁ相性もあるから、そううまくはいかないんだろうけど。
    でもなんか、いつかこんな暮らし方もアリだよなぁって思いました。

  • 鎌倉にある古い洋館の自宅で父親とカフェを営んでいた香良。父亡き後、同級生の三樹子が現れ、洋館はシェアハウスに。1章ごとにそれぞれの住人目線で物語が進んでいく。私は鎌倉で暮らしたことはないが、時々出てくる季節ごとの鎌倉の様子や海、自然と調和した様子が何とも素敵でとても魅力ある場所であることを再認識した。古い洋館と四季折々の庭の様子にも癒され、出てくるコーヒーや料理も美味しそうだった。住人の個性はかなり強く、一見疲れそうだが、それぞれが実は辛い経験を持ち、痛みの分かる人たち。遠くから家族を思い続ける心などにも触れ、読後、温かい気持ちになった。

  • 鎌倉のシェアハウスを舞台に、そこに住まう、心に何かしらの傷を負った人たちの物語。ほっこり系の話だけれど、登場人物に微妙にイラッとさせられるというか、事情があるからなんだけど、今一つデリカシーが足りないというか、ガサツな人がいたり、かと思えば変に神経質な人がいたり、要するにこのシェアハウスに私は住めないなっていう感じでした。

  • 2階の間取りと部屋の割り振りが264ページに載せられている。
    間取りやステンドグラスを想像してその部屋で過ごす時間をイメージするのは楽しかった。
    シェアハウスでの日常や生活とは少し離れたそれぞれの背景の掘り起こしの方が比重が大きかったように感じる。
    日常というより、非日常な感覚の方が大きい作品だった。

  • 越智月子さんの作品は初めて読みました。
    鎌倉、カフェ、シェアハウスと王道な設定でしたが、季節感の描き方や全体の雰囲気がとても良く、また別の作品も読んでみたいと思いました。
    個性的なメンバーによるこの距離感でのシェアハウスはこんなにうまくはいかないのでは?と思うところはありましたが…

  • 心が温かくなって思わず微笑んでしまう物語だった。誰かのために何かをするって自分も相手もいい気持ちになるんだなって改めて感じた。人に言えない秘密や過去の辛い出来事、それはお互いに聞き出したり探り合わなくても抱えたまま受け入れて認め合えれば関係は崩れていかないんだろうなと思えた。

    他人を思いやって家族を思いやって、生きていくことは心を豊かにするんだということ、歳を重ねても新しい出会いはどこにでも転がっていることを知れる1冊だった。

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著者プロフィール

一九六五年、福岡県生まれ。女性誌のライターなどを経て、二〇〇六年に『きょうの私は、どうかしている』でデビュー。他の著書に『モンスターU子の噓』『花の命は短くて…』『帰ってきたエンジェルス』など。

「2020年 『咲ク・ララ・ファミリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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