著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 121
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041349

作品紹介・あらすじ

二人が出会った時、Jは85歳。作家であり尼僧。人生最後の恋の相手は、母袋晃平(もたいこうへい)、IT企業を経営する37才。 Jは二十代で夫と娘を捨て出弄。男性作家と浮き名を流し、次々と問題作を発表。五十歳をすぎて仏門に入るも創作活動はより勢いを増した。老いてこそ身体(からだ)も心も業火のごとく燃える愛の軌跡。かつてない〈老いの自由〉を描き切った痛切な純愛小説!「母袋(もたい)はJのことをよほど誰かに話したかったのだろう。私は仰天し、痺れながらも手帖を取り出した。贅沢な恋愛をさせてくれたJと別れ、ただの男になりさがって家庭に戻り、かつての恋人の死を知った母袋の声はしとしと降る小雨のように寂しげだった」老いらく恋の豊穣な息遣いが聞こえてくる……

感想・レビュー・書評

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  • 表紙がとてもきれいなので ☆+1

    早く読めると思い読みはじめたところ
    何度も止めようかと本を置いてしまい
    なかなか進まず
    やっと読了。

    とは言え
    心に残る表現もいくつかあり、
    ある意味、心の片隅に残る作品でした。

  • ◆男女の分かり合えなさ[評]東えりか(書評家)
    <書評>『J』延江浩 著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/277744?rct=shohyo

    『J』延江浩 | 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041349/

  • Jにはしているけれど、お話の中で瀬戸内寂聴さんであることを全く隠していない笑
    「生ぜしもひとりなり。死するも独りなりけり」「釈迦も犀の一角のように独り歩めと言っている。人間は孤独この上ない存在なのだ」という神父さんの言葉が刺さった。

  • 高名な尼僧にして小説家であるJと、ベンチャー企業経営者である母袋晃平との48歳差の「純愛」を綴る、事実をベースにしたとされる小説。
    伏字にはなっているが、読めばJが誰かはすぐにわかる。頭にすっと浮かぶあの姿のあの人がそんな年齢でこんなことをしていたとはにわかには信じられないが、母袋晃平のモデルと思しき人物も調べればすぐにわかるので、事実の一端は示しているのだろう。Jの凄まじい生(性)のエネルギーを感じたし、滅茶苦茶な人生ではあったがやはり魅力のある人物だったのだろうと思う。一方で、晩年はあんなに慈愛あふれる感じではあったが、意外にも、人間らしいというか、俗っぽいところが出家してからも色濃く残っていたのだなと感じた。
    純愛小説という触れ込みだったが、果たしてこれは「純愛」なのだろうかとは思った。また、妻子がいても平気で不倫をするJや母袋の感覚は、やはり自分には理解し難たかった。
    好奇心を抑えられず読んでしまった自分が言うのもなんだが、この小説というか企画には、純粋に年齢を超えた恋愛を描くというよりも、センセーショナルな話題で人々の野次馬根性をくすぐる商魂たくましさを感じてしまった。
    あと、難点として、性描写がしつこく感じたし、かっこつけたような文体も苦手だった。とりわけ、著者が女優と性交渉するくだりはいらなかったと思う。

  • 読みにくかった。
    私が母袋から聞き取った、Jとの物語…
    とわかったうえで読んでも、
    主語がなかったり、どの目線で描かれているのか、
    戸惑うことが多く、混乱した。

    癖のある文体にもようやく慣れてきた頃、
    この本の着地と
    Jの過去作品の頻出に興味が湧き、
    先を急いで読んだ。
    この歳でも、愛に生きる女性として
    生ききったのだとしたら、本当にすごいこと。

    良いことも悪いことも永くは続かない。
    これを無常という。
    とどまらずに変わってゆくことがみ仏の教える
    無常だとしたら、この寂しさからどうにか
    抜け出すこともみ仏の導きなのかもしれない。
    寂しさも修行のひとつ。

    悲しいと苦しいを背負っていくのが人間で、
    それを書くのがJの仕事だった。書くことは彼女をこの世に繋ぎとめておく艫綱だった。

    人間を一番成長させるのは恋愛です。本ではない。学問でもない。本気で恋愛したら必ず成長します。

    身を千切るようにして、
    孤独と向き合った女性である。
    Jの人生に思いを寄せる。
    誰にもできることではない、
    だからこそ惹かれるのかもしれない。

    瀬戸内寂聴さんの作品、引用多し、
    風景、夏の終わり、花芯、わかれ、吊
    橋のある駅、蘭を焼く、など
    色々読んでみようと思う。

  • 延江 浩さんは、村上春樹の「村上RADIO」のゼネラルプロデューサーだからちゃんとしてる人。本も何冊も出していて、中の『井上陽水英訳詞集/ロバート キャンベル』の企画編集なんていい仕事でしたが、小説は出してるのかな?音楽関係の本が多いイメージです。

    その人がたまたま瀬戸内寂聴さんの最後の恋人のインタビューがとれて、張り切って彼女の本を読んで彼女の一生を俯瞰する小説を書いてみましたという出来です。

    ちぐはぐで表面をなぞってる感じ。小説にしなければよかったのかも。

  • 亡くなったJとの出会いから別れだけでなく、それまでを小説から引用して物語に。でもなんだか軽い感じで短く終わってしまった。

  • 私小説は合わない,私小説の作者は碌でもない人たちだ。

    Jは最低な女だということが分かっただけ。

    ラジオでこの本を知って図書館に予約,かなり待って借用したのだが,読む必要のない本,読まない方が良い本だった。

  • 事実に基づくなら驚く。でも瀬戸内寂聴さんなら頷ける。
    夫が死んで悲しい、と言う相談に「思い出すということは、ご主人があなたのそばにいるということ、寂しくて泣き続けるのはよくない。明るく楽しく生きて安心させてあげて。」腑に落ちた

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著者プロフィール

1958年3月31日生まれ、東京都出身。
TOKYO FMゼネラルプロデューサー。
「村上RADIO」などのラジオ番組を手掛けるほか、作家としても活躍。
国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞。

「2022年 『さはしひろし 今夜、すべてのロックバーで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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